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メコン河開発メールニュース 2005年11月18日
中国によるメコン河流域国のインフラ整備への援助や投資が拡大しています。私たちにとっては、次の点で懸念があります。
【懸念1】事業によって大きな環境・社会面での悪影響が予想されること
【懸念2】ODAによる破壊的な援助を止めても中国がそれを拾ってしまうこと
【懸念3】中国がやるよりは先進国や国際機関がやった方がいいという理由でODAが破壊的な事業に関与すること
中国は他のメコン河流域国同様、ビルマにおける水力発電ダム建設に対しても積極的な支援を行っており、イェユワ(Yeywa)ダムもそのうちの1つです。このダムが完成し、計画通りに動けば、発電量はビルマ国内最大のものとなります。
以下は、いずれも中国・人民日報から、イェユワダムに関する最近の記事、及び中国とビルマの経済関係についての1年前の記事を、メコン・ウォッチの大澤香織(中国・雲南)が翻訳したものです。
(人民日報、2005年8月1日)
中国葛州バ水利水電工程集団有限公司(China Gezhouba Water & Power (Group) Co Ltd、以下CGGC)【注1】はビルマ電力省の水力電力部とヤンゴンにてイェユワ(Yeywa)水力発電ダム事業の契約を結んだ。このダムはビルマ最大のダムである。
契約金額は4630万ドルで、中国企業は機械機器の提供によってコンクリートダムの建設を進める予定である。これはイェユワ水力発電事業についての4度目の契約である。
1度目は中国電工設備総公司(The China National Electric Equipment Corporation、以下、CNEEC)【注2】が2004年3月、ビルマとイェユワダム水門を建設するため220万ドルの契約を結んだ。
2度目と3度目は、2005年7月中国の合弁事業体によって総額1億2500万ドルが契約された。合弁事業体は、中国中信集団公司(China International Trust and Investment Corporation (CITIC) Technology Co. Ltd.)【注3】と中国水利水電建設集団公司(Sinohydro Corporation Ltd.)【注4】よりなる。この2度目および3度目の契約で、中国側は鉄骨の枠組みとタービン発電機や変圧器などを含む電力機械を提供することになった。
790MW、4つの発電機をそなえるこのイェユワ水力発電事業はマンダレーから50km南東の ミンゲ川に建設中であり、完成すれば年間35億5000万KW/hを発電する。生み出された電力は230kVの2本のケーブルによって チャウセー、メッティーラ、マンダレーを通じてビルマ全土に供給される。
(人民日報、2004年3月22日)
ビルマと中国の2国間の経済と貿易関係は近年、強まってきている。これは中国が近隣諸国との友好関係を築こうという政策をとり、ビルマもまた同様の政策により、近隣諸国との関係を維持しようとしているからである。
公式の統計によれば、ビルマー中国の辺境貿易を含む2国間貿易は2003年に1億ドルを超え、ビルマの中国への輸出は1億7000万ドル、中国からの輸入は9億ドルだ。
2国間の経済、技術協力のもと、中国企業はビルマでの多くのプロジェクトを手がけ始めている。これには水力発電所、商業ネットワーク事業、セメント及び製紙工場、農業機械工場、橋梁プロジェクト、森林生産物及び海産物の加工業などが含まれる。
ビルマ政府の統計によれば、中国はこれまでに10のプロジェクトで640万ドルをビルマに注入しており、ビルマの海外投資の15番目に位置している。
ビルマにおける中国の投資のなかで、主要なプロジェクトにおける雲南省のものですでに完成しているものは2億2700万ドルに達する。これらのプロジェクトにはコンテナ用埠頭、中国から輸出された浚渫機、セメント工場、中国から輸出された水力発電所機器などが含まれる。
相互の利益のもと、中国はその主要な国内企業に海外での投資を奨励し、発展途上国との経済、貿易関係を強めようとしている。ビルマへ接近する多くの中国企業はそれによる国内でのさらなる繁栄を模索している。
一方、両国指導者の数回にわたる相互訪問はまた、両国の経済・貿易関係を強めるのにたいへん役立っている。両国の訪問中に締結された合意によれば、中国はビルマに対して農業、産業、輸送、電力、教育、衛生、人的資源開発の事業において多くの援助を拡大してきている。
特に、ビルマの最高指導者 Than Shwe将軍が2003年1月に行った中国への訪問のなかでは中国がビルマに対して5000万元の経済、技術協力援助を行い、ビルマにおける790MWのイェユワ水力発電事業を実行するため、2億ドルという低金利かつ最大の優先的融資を供与することが合意がされた。
また中国の Li Lanqing 前副首相が2003年1月後半にビルマを訪問した際、両国はビルマに対する債務の一部救済が合意され、また文化、教育についてさらなる無償援助を行うことについてのMOUが結ばれた。また、航空、海洋航路についてのプログラムに関する別のMOUも結ばれた。
さらに2002年12月に中国のChen Jian商業大臣補佐がビルマを訪問した際、両国は中国の無償融資についての枠組み合意およびまた別の経済技術協力について合意をした。中国によるこの融資はビルマのインフラおよび経済成長に貢献すると信じられている。
今週、中国のWu Yi副首相がビルマを公式訪問する。この訪問により2国間の経済、貿易面での繋がりがより強まるだろうと見られている。