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メコン河開発メールニュース2008年11月17日
先日来お伝えしているタイ中部の2つのガス火力発電所建設計画に対する住民の抗議行動についてです。10月27日、住民はJ-Powerに対して抗議書簡を送り反対を表明していますが、それに関するバンコクポストの報道をお送りします。本事業に関しては、メコン・ウォッチのウェッブサイトに掲載されている以下のニュースをご覧ください。
タイ・J-Power発電事業>住民がJ-Powerに抗議書簡(2)(2008.11.12)
バンコクポスト 2008年10月28日
建設計画中である4つの発電所から影響を受けるであろう住民が27日、在タイ米国、ドイツ大使館およびバンコクにある日本の電力開発会社の外で相次いで抗議行動を行った。住民らは多国籍企業に対し、議論を呼んでいる事業からの撤退を求めた。チャチュンサオ、サラブリ、アユタヤ、ラヨン、4県からの50人の住民代表が数10億バーツの開発に反対を表明した。
石炭火力発電所建設がそれぞれチャチュンサオ県とラヨン県に、また天然ガス火力発電所建設がそれぞれチャチュンサオ県とサラブリ県に計画されており、4つ全ての事業においてタイ発電公社(EGAT)に電力が売られることになる。チャチュンサオ県のカオヒンソン石炭火力発電所には、ガセートルンルアンプートポン社(タイ)とCMS 社(米)が共同投資している。
ラヨン県のGheco-One石炭火力発電所は、グローエナジーとヘマラート・ランドアンドディベロップメント株式会社のタイ企業による合弁事業であり、ドイツの銀行が事業者に融資をしたとの報告がある。バンクラガス火力発電所(チャチュンサオ県)とノンセンガス火力発電所(サラブリ県)は、日本の電力開発会社J-Power(旧電源開発)とタイ企業ガルフパワーが建設を計画している。
4つの発電所計画の中でGheco-Oneの環境アセスメント(EIA)は国家環境委員会の承認を得ているが、その他3つの計画はEIAの承認を待っている状況にある。抗議に参加した住民は、彼らのコミュニティに発電所が建設されれば、大気や水質の汚染など環境への影響が懸念される、と建設反対を訴えた。住民はまた、EGATの独立発電事業者(IPP)入札過程にも不正があったのではないかと疑っている。Eastern People Networkのコーディネーター、Suthi Atchasai氏は「タイ発電公社と企業が結んだ事業契約を明らかにするため、私たちは協力してタイ発電公社に働きかける」と言った。
ノンセン発電所建設(サラブリ県)に反対する農民の生活を守る会のTeeTrarattasangmanee代表はJ-Powerに27日出した書簡で、この発電所による汚染は2,000人以上の農家への影響が考えられると述べた。
「あなたたち(J-Power)は、タイでもっとも重要な米生産地と農業地帯の破壊に、今まさに手をつけようとしている」と同氏は言った。同氏は更に、ノンセン発電所は農業から水を奪うと指摘した。発電所の稼動を維持する上で、1日あたり6万4,400立方メートルの水が必要になる。これは60ライ(=約9.6ヘクタール)の農地を潤すことができる水量である。
ペートリゥを愛する会は、バンクラ発電所の抗議書簡にチャチュンサオ県の住民1万2,400人以上が署名したと伝えた。J-Powerタイ支店に宛てた書簡の中で同会は、「計画されている発電所は、寺院や学校から300メートルしか離れていない。発電所による汚染は人々の健康を害することになる」と指摘している。
(文責・翻訳 木村祥子/メコン・ウォッチ)