ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ラオス > ナムトゥン2ダム > 商業運転の開始を延期
メコン河開発メールニュース2009年10月10日
ラオスのナムトゥン2ダムの商業運転の開始が、当初予定されていた今年12月から、2010年の第1四半期に延期されたというニュースです。延期の原因は、タービンに技術的な問題があったことと発表されています。
同事業は、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)の支援を受けて、建設が進められています。
貯水池が建設されたナカイ高原では、すでに住民移転が完了していますが、換金作物のマーケットが確保されていない、家畜の放牧地が不足している、貯水池の漁獲量に早くも減少傾向が見られるなど、移転住民の長期的な生計回復の見通しはまだ立っていません。実施企業であるナムトゥン2電力会社(NTPC)は、同事業のコンセッション契約に基づき、商業運転の開始までに、ナカイ高原の移転住民や運転開始後に影響を受けるダム下流の住民への生計回復策を確実に実施する必要があります。商業運転の開始に向けては、生計回復プログラムの実施状況が注目されます。
ビエンチャン・タイムズ
2009年10月9日
ナカイのダム、貯水池、発電所、調整ダム、下流の導水路、変電所および送電線などのナムトゥン2水力発電ダムの設備はまもなく完成する。そして、2010年初頭に商業運転を開始することになった。
ナムトゥン2電力会社(NTPC)が昨日(10月8日)発表した報告によれば、同事業に関連する環境・社会プログラムは、長期的な視点に立って実施されているが、今まで通り申し分なく進められる。
今年6月、タイへの輸出用の電力を発電するタービンの試運転が開始された。この試運転によって、いくつか技術的な問題があることが分かり、それらの問題は現在、技術的な改良によって修正されているところだ。
特に、発電量が中規模になると、タービンが効率良く作動しない。この問題が実施企業による発電設備の管理方法に支障をきたしている。これにより、タイとラオスに電力を売る商業運転の開始日(COD)は、2010年の第1四半期に延期されることになった。CODの延期によって、タービンが確実に信頼でき安定的な電力を生産できるようにするため、(タービンの)筆頭施行業者であるフランス電力会社に時間が与えられることになる。
この状況について、NTPCの最高経営責任者(CEO)のJean Pierre Katz氏は、「水力発電設備のタービンに関してこのような技術的な問題が起きるのは珍しいことではない。だからこそ、このプロジェクトでは商業運転を開始できるまでに、安全性を確保し運転上の複雑な問題を特定するために、注意深い試験の手順を踏んでいる」と語った。
最高の性能を完全に発揮できるようになれば、NTPCはタービンとその他のプロジェクトの資産の所有権を持つことになる。NTPCの報告によれば、遅延を最小限に留めるために、NTPCは徐々にタービンの作動を開始し、それぞれの発電設備の電力生産の質を保証するようにしたいとしている。
NTPCとその株主は、(事業が)遅延した場合、事業契約に記載されている全ての契約上の義務を果たすと確約している。NTPCは操業開始までの進捗状況をステークホルダー(関係者)に随時報告していく。
8月にラオスの送電線への試験的な配電が行われたため、9月にNTPCはラオス電力公社に販売した電力からの最初の歳入を受け取った。
この歳入を得たことで、今年の初めにナカイのダムからトゥンヒンブン電力会社に水を流したことで10月に得られる歳入と合わせて、NTPCはラオス政府に対する 最初のロイヤリティの支払いを準備できるようになった。
最初の試験発電によるタイ発電公社から同事業への支払いも今月中に予定されている。
さらに、NTPCは、タケクからニョマラートまでの国道12号線が完成間近であることを受けて、プロジェクトのインフラの(ラオス政府への)最初の受け渡しの証 書を準備している。
この道路はイタル−タイ開発会社によって建設され、間もなくラオス政府に国家の資産として受け渡される。タケクからニョマラートへの移動は、同事業が実施 される以前は雨季には6時間かかったが、今はこの道路のおかげで1時間以下に短縮された。
(文責・翻訳 東 智美/メコン・ウォッチ)