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J-Power発電所>ノンセンの住民、行政裁判提訴へ

メコン河開発メールニュース2010年10月3日

日本の電力卸会社大手のJ-Power(電源開発株式会社)はタイで2つのガス火力発電所の建設を計画しています。しかし、住民の強い反対でチャチュンサオ県サメッタイ地区の事業地の移転が決まりました。また、サラブリ県ノンセン地区の発電所は、行政裁判で予定地の土地利用の適正さが争われています。

この問題について第3回では、タイの法律家NGO、環境のための法的正義プロジェクト(英語名称Environmental Litigation and Advocacy for the Wants :EnLaw)が裁判提訴の際に発行したプレスリリースの翻訳をお届けします。

事業についてはこちらをご参照ください。

第3回:ノンセンの住民、行政裁判提訴へ

今年の3月、住民はEnLawを代理人として、行政裁判で発電所の建設用地が田園・農業地帯保全地域内にあり、今後発布される予定の都市計画に反すること、その都市計画の発布を怠ってきた行政機関の怠慢を訴えましました。住民は、田園・農業地帯で営まれている自分たちの暮らしが発電所の建設で脅かされており、その根幹の原因は行政の不作為である、と主張しています。

住民側は、責任のある機関が都市計画を発布させることを裁判所が命じ、更に、サラブリ県包括的都市計画省令草案で田園・農業地帯保全と指定された場所で、工場の建設停止命令を出すことを求めています。これは、既に建設許可が出て工事が始まっているJ-Powerの発電所の建設中断を視野に入れた要求です。5月6日に訴状は受理され、裁判が始まっています。9月21日、住民側は更に、工事の差し止めを求めた別の裁判を起こしています。

以下は、住民が訴えを起こした際、支援NGOが発行したプレスリリースの翻訳です。

プレスリリース
サラブリ県ノンセン郡住民、サラブリ県に都市計画の発布を求め行政裁判所に訴え
   2010年3月23日10:00 中央行政裁判所

 

 サラブリ県包括的都市計画訴訟内容のまとめ(行政裁判所)

原告:ブンチュー・ウォンアヌを筆頭とするサラブリ県ノンセン郡農民生活保全グループ住民56名(住民はこの訴訟で、環境のための法的正義プロジェクト(EnLaw)に権限を委譲し、ソンクラーン・ポンブンチャン、スラチャイ・トロンガーム、アムリン・サーイチャンを代理人として指定) 

被告:1. 内務省大臣、2. 建設・都市計画局、3. この地域の都市計画担当官に指名されたサラブリ県知事、4. 都市計画委員会

◆原因 サラブリ県の包括的都市計画の法制化と、都市計画の法制化が実施されるまでに区分に反する土地利用の禁止の公布に関し、法律の定めた実施義務の放置または著しい遅延。

都市計画の発布を怠ること、またはその遅延は、国民がより良い環境で暮らすという憲法で定められた権利に対する政府機関の侵害である。また、土地の活用を定める際の住民参加と、コミュニティーの文化に即した生活の選択を尊重していない。

サラブリ県の包括的都市計画作業は2003年に開始され、現在まで7年以上が経過したが終了していない。これは、法の定める政府機関の責任を果たさない違法行為にあたる。

今回の提訴では、裁判所が一定の基準を定める、もしくは原告の苦難を軽減する方策として、判決が出るまでの間、サラブリ県の包括的都市計画を定めた省令に反するサラブリ県ノンセン郡の土地利用の一時的な禁止命令の発行を求める。

◆訴状のまとめ

サラブリ県は現在、2003年に始まった県内の包括的都市計画の策定中である。住民の意見聴取を終え、2006年には都市計画委員会の審議を経ており、重要なプロセスを終了しサラブリ県の包括的都市計画の省令を起草した。また、内閣は2007年6月15日に原則について審議確認している。住民への意見聴取と都市計画委員会の審議を経ているため、省令についての重要な内容の変更をすることができないと思われる政府機関の手続きを残すのみである。

都市計画の選定手順とそれぞれの作業の期間は建設・都市計画局のウェブで公開されており、その時間は最初の作業から終了まで24か月または約2年間と定められているにも関わらず、作業開始から7年以上が経過したが、サラブリ県の包括的都市計画は終了していない。

故に、7年以上経過しながら、内務大臣(被告1)と建設・都市計画局(被告2)がサラブリ県の包括的都市計画の省令法制化の放置、またはその著しい遅延は、法の定める政府機関の責任を果たさない違法行為である。

この、義務の不履行、または遅延という法の定める政府機関の責任を果たさない行為により、土地利用に関する省令に違反した状態が続いている。特に、サラブリ県ノンセン郡ではこの省令により、田園・農業地帯保全地域に指定されており、省令が定めた例外にあたる小規模工場を除き、いかなる工場も建設することは禁止されるはずである。しかし現在、工場の操業のための建設が進んでいる。そして、ノンセン郡内には、大型発電所の建設許可申請が進んでいる。

このように省令に反した土地利用が放置されれば、国民の意見聴取を経て進められた包括的都市計画は、無意味なものとなる。これは、環境と住民を守ることを目的とし、問題発生後に緩和策を講じるよりも効果的である“予防原則(Precautionary Principle)”を基本とした都市計画法の趣旨に反するものである。また、これは農業と水田稲作を営み、その文化慣習と地域の知恵の保全を求める原告と、サラブリ県ノンセン郡内にある村落にとり、憲法66条、67条が認め保護するところのコミュニティーの権利を侵害するものである。

都市計画の発布の未実施だけでなく、建設・都市計画局(被告2)、サラブリ県知事(被告3)、都市計画委員会(被告4)は、都市計画が終了するまでの間、財産の利用について基準を定めるという、1975年の都市計画法15条第3項に定められた業務を遂行していない。特に、これから発布される都市計画省令に反する土地利用が該当地で行われないようにするため、省令の添付が定める小規模の工場を除いたサラブリ県ノンセン郡での全ての工場の操業禁止を発布していない。
これは、法が定める行為または義務の不履行または著しい遅延であり、同様に違法である。

◆原告の要求

1.被告1と被告2に対し、判決後30日以内、または裁判所が適当と判断する日数までに、両者の義務である都市計画を発布させることを(裁判所が)命じる

2.サラブリ県の包括的都市計画が省令として発布されるまで、被告2、3、4に対し、サラブリ県の包括的都市計画実施に利益となるよう、都市計画における財産の利用の基準を定めるよう裁判所が命じることを求める。それは、サラブリ県包括的都市計画省令草案で、田園・農業地帯保全と指定された地域で、サラブリ県包括的都市計画省令が例外とする小規模工場を除き、労働法が定めるところのあらゆる種類の工場の活動が、この土地で行われないことによる。

(文責・翻訳 木口由香/メコン・ウォッチ)

 

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