ホーム > 資料・出版物 > メールニュース >メコン下流本流ダム>サイヤブリダムをめぐる諸問題(その6)〜日本政府・外務省はサイヤブリダム計画の延期を主張すべきだ。
メコン河開発メールニュース2011年12月5日
ついに今週水曜日(12月7日)、メコン河委員会(MRC)がラオス・サイヤブリダムに対する判断を下します。
メコン・ウォッチは、サイヤブリダムだけでなく、メコン河下流本流ダム計画全体がメコン河流域に住む何千万人もの人びと、とりわけ貧困層の生活を直撃し、流域の食糧および人間の安全保障を脅かし、さらには、流域国の不安定化や国家間紛争の原因になりかねないことを深く懸念し、この計画には強く反対します。
7日からはじまるMRCの会合には、日本政府・外務省もMRCの開発パートナーとして参加し、ドナー声明の発出にも加わります。そこで、メコン・ウォッチは12月1日、外務省・玄葉光一郎外務大臣宛に、下流本流ダム計画、特にサイヤブリダム計画の延期を関係国に働きかけてもらうよう、要請書を提出しました。
メコン・ウォッチが下流本流ダム計画を問題視する主な理由は、以下の通りです。
1. 下流本流ダム全般にかかわる問題
A. 魚類が激減することで流域住民の生活が破壊される。
B. カンボジア・トンレサップ湖の漁業およびベトナム・デルタ地帯の農業に大きな悪影響を及ぼす。
C. メコン河の水位の季節変動を利用した河岸農業に打撃を与える。
D. 魚道や養殖などの緩和策は効果が期待できない。
E. 最近の調査で、投資効果が大きくマイナスとなる可能性が指摘されている。
F. アマゾン流域についで世界第二位と云われる水生生物の多様性が脅かされる。
2. サイヤブリダム単体にかかわる問題
A. タイでは、サイヤブリダムから輸入しなくても電気が足りている。
B. ラオス国内だけでも大規模な住民移転をともなう。
C. ラオス政府の追加調査は、国境を越える影響を調べていないなど不十分な点が多い。
D. 建設で影響を受ける人びとをはじめ市民社会に対する情報公開が不十分である。
A4二枚にわたる要請書原文では、以上の問題点それぞれに簡潔な説明と出典を付したほか、これまでの経緯もまとめてあります。
ぜひ、ご一読下さい。
(文責 メコン・ウォッチ)