ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > メコン下流本流ダム>サイヤブリダムをめぐる諸問題(その9)〜メコン河委員会
メコン河開発メールニュース2011年12月7日
メコン河流域に住む何千万人もの人びとの未来を左右する、サイヤブリダム建設計画に対する判断が、本日(12月7日)、カンボジア・シェムリアップで開催されるメコン河委員会(MRC)評議会で下されようとしています。
これに先立ち、昨日(12月6日)、メコン河の生態系を守ろうとする市民とNGOの流域・国際ネットワーク、「セーブ・ザ・メコン連合」は、MRC評議会に対して、サイヤブリダム計画の中止を決議するよう求める要請書を提出しました。
以下は、要請書に関する報道発表の日本語訳です。是非、ご一読下さい。
なお、報道発表原文(英語)は、以下で閲覧できます。
また、要請書本文も以下で閲覧できます。
2011年12月6日
メコン河委員会(MRC)評議会の閣僚が明日(12月7日)、サイヤブリダム計画の今後を協議しようとする中で、メコン河流域および世界各国のNGOと市民団体で構成するネットワーク、「セーブ・ザ・メコン連合」(Save the Mekong)は、本日(12月6日)、MRC評議会に対して、サイヤブリダム計画の中止を決議するよう呼びかける要請書を提出しました。この要請書は、MRC評議会こそがMRC加盟国政府にとって、メコン河を共有し、メコン河の生態系と流域住民の生活を脅威から守る1995年メコン協定の精神と法的義務への誓約を示してみせる最後の機会であると指摘しています。
39の市民団体およびNGOが名前を連ね、セーブ・ザ・メコン連合の意思を表明するこの要請書は、MRC加盟国政府に対して、これまで3年間にわたって一般市民などから寄せられてきた強い反対の声に耳を傾けるよう呼びかけています。先週には、メコン河流域および世界各国から約50,000人の人びとが、ラオス・タイ両国政府の首相に対して、サイヤブリダム計画と同ダムからの電力売買を中止するよう求める署名を提出しました。
「私たちが呼びかける内容は簡単です。メコン河を守ることが、豊かな漁業と実りある農業を育み、流域に住む何百万人もの人びとの生活と食糧の安全確保を支えるために不可欠なのです」と、カンボジアNGOフォーラム(The NGO Forum on Cambodia)のチット・サマット(Chhith Sam Ath)氏は述べています。「メコン河下流本流に計画されている水力発電所第一号であるサイヤブリダムは、メコン河の生態系、漁業、河の資源を活用した生活に大きな被害をもたらし、国境を越えた深刻な環境影響に発展します」。
セーブ・ザ・メコン連合の要請書は、バンコク・ポスト、プノンペン・ポスト、カンボジア・デイリー3紙での全面広告と同時に公表され、全面広告でも、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム各国の首相に、サイヤブリダム計画に反対し、メコン河と流域の人びとを守るよう要請しています。メコン河の生物多様性と豊かな魚類が比類のないことを指摘した全面広告は、サイヤブリダムをはじめ、メコン河本流ダム計画が世界最大の淡水漁場にもたらす深刻な影響を警告しています。
「過去二年間にわたる数々の科学的調査によって、メコン河にダムを建設することの危うい側面が明らかになりました。こうした多くの根拠に鑑みて、MRC評議会は、わたしたちの未来をギャンブルに賭けるのではなく、この地をメコン河とその流域のためのあらたなビジョンに導き、本流ダム計画を慎重に再考すべきです」と、ベトナムに拠点を置く「人びとと自然の和解」(People and Nature Reconciliation)のチン・レ・グエン(Trinh Le Nguyen)氏は語っています。
「サイヤブリダムをはじめとする本流ダムが建設されることになれば、メコン河の豊かな資源と生態系がもたらす恩恵は台無しになってしまう恐れがあります。メコン河の水産資源を未来に引き継げるよう、各国政府が声をあげて、ラオスに対してはサイヤブリダム計画の中止を、タイに対してはサイヤブリダムからの電力購入の撤回を呼びかける時がやってきています」と、タイで活動する「メコン流域8県タイ住民ネットワーク」(Network of Thai People in Eight MekongProvinces)のコーディネーター、イティポン・コメスック(Ittipol Komesuk)氏は話しています。
「昨年来、サイヤブリダム計画は、各国政府と市民の間に不協和音を生みだしてきました」と、「生態系回復と地域連合を目指す」(Towards Ecological Recovery and Regional Alliance)のシースウォン・クアンカチョーン(Srisuwan Kuankachorn)氏は述べています。「流域政府の首脳たちに、前途にある問題を回避する手段として、サイヤブリダム計画を中止する決議を採択するよう呼びかけます。結局のところ、地球全体から見ればちっぽけな、しかし多くの課題をはらむこの流域の国家間の関係を構築してゆくのは、技術云々ではなく、政治的な意思なのです」。
メディア連絡先
・シースウォン・クアンカチョーン(Srisuwan Kuankachorn、Mr.)
生態系回復と地域連合を目指す(Towards Ecological Recovery and Regional Alliance=TERRA)
バンコク
電話:+66 81 431 4525
電子メール:srisuwan@terraper.org
・シャルマリ・ガタル(Shamali Guttal、Ms.)
フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス
(Focus on the Global South)
プノンペン
電話:+855 17 489 763
電子メール:s.guttal@focusweb.org
・チット・サマット(Chhith Sam Ath、Mr.)
カンボジアNGOフォーラム
(The NGO Forum on Cambodia)
プノンペン
電話:+855 12 928 585
電子メール:samath@ngoforum.org.kh
・チン・レ・グエン(Trinh Le Nguyen、Mr.)
人びとと自然の和解
(People and Nature Reconciliation=PanNature)
ハノイ
電話:+84 912 095 045
電子メール:nguyen@nature.org.vn
・イティポン・コメスック(Ittipol Komesuk、Mr.)
メコン流域8県タイ住民ネットワーク
(Network of Thai People in Eight Mekong Provinces)
タイ・ノンカイ県
電話:Tel: +66 84 962 8586
・エイミ・トランデム(Ame Trandem、Ms.)
インターナショナル・リバーズ
(International Rivers)
バンコク
電話:+66 86 882 2426
電子メール:ame@internationalrivers.org
「セーブ・ザ・メコン連合」は、メコン河流域および世界中のNGO、住民組織、研究者、ジャーナリスト、芸術家、漁民、農家、市井の人びとからなるネットワークです。サーブ・ザ・メコン連合およびメコン河本流ダム計画の問題点については、 http://www.savethemekong.org/ で英語および流域国言語を通して閲覧できます。