ホーム > 資料・出版物 > メールニュース >ベトナムODA>デンマーク政府、資金の不正使用で3つの事業停止
メコン河開発メールニュース2012年6月19日
デンマーク政府がODAの不正使用の指摘を受け、ベトナムで実施中の3つのプロジェクトに対し、援助を停止しました。ベトナム外務大臣は下記の報道で、調査結果を受けて関係者を処分するとしていますが、「不正に使用されたODA資金もあるが、すべてのODA事業の総額に比べれば大きな金額ではない。」と発言しています。
日本政府は、あれほどのスキャンダルであった東西ハイウェイ建設に関する汚職で、たった3か月だけ援助を中断しましたが、今回の件は、その後もベトナム側の体質が変わっていないということを表しているのではないでしょうか。
対ベトナムODA>汚職で凍結のODA、近く全面再開(2009.3.5)
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20090305_01.html
日本は今、そのベトナムに原子力発電所を輸出しようとしています。輸出に関する日越合意では、低金利かつ優遇的な融資が約束されており、それには国際協力銀行(JBIC)による融資が想定されています。ベトナムへの原発輸出には、福島の事故を未だ収束させることのできない日本が、「安全な」原子力技術を輸出するという根本的な疑問に加えて、汚職・腐敗が日常的に行われているベトナムの公共事業の現状で、社会的な意思決定が適切に行われるかという疑問も生じます。
2012年6月4日(月) Thanh Nien News
http://www.thanhniennews.com/index/pages/20120604-vietnam-to-punish-those-misusing-oda-funds.aspx
ベトナム政府は、デンマークからのODA資金の不正使用に関わったとみられる者を厳重に処分する、とベトナム外務大臣のPham Binh Minh氏は述べた。
不正の報告を受けたハノイのデンマーク大使館が、ベトナム政府に供与した気候変動対策に関する3つのODA案件への支援停止を決定した後に、彼のコメントは公表された。
ベトナム当局は、不正容疑に関するデンマークから提供された全ての情報をベトナム当局が検討するには時間がかかる、と国会の休憩中にMinh氏は述べた。
彼は、二つのベトナム省庁(科学技術省と農業地方開発省)がこのプロジェクトの監視責任があり、現在でも不正使用について責任があるという。警察はまだ捜査を開始していない、と彼は付け加えた。
先週の金曜日、デンマーク外務省は、4つのベトナムの気候変動プロジェクトによる不正金額はUSD547,000であるとする(英国の会計監査法人)Price Waterhouse Coopers(PWC)の報告書を発表した。
政府によると、デンマーク国際開発援助庁(DANIDA)が昨年10月に支援した4つのプロジェクトで不正が発見され、不正金額はプロジェクト予算総額の23%にあたると算出された。
PWCの報告書は、4つのプロジェクトは、デンマークとベトナムのパートナーシップのもと行われていたが、すべての不正はベトナム関係者によって行われていたと主張する。
もっとも不適切に計上された資金は、使途不明金と、プロジェクト雇用者への給与と賞与として使われた、とレポートは報告している。
4つのプロジェクトのうちの1つは、比較的不正資金が少なかったため継続される予定であるとデンマーク大使館は言っている。
プロジェクトの投資者はこのプロジェクトに関する情報提供を表明してくれた、とMinh外務大臣は言った。
「これでことはすぐに明らかになる。」
ベトナムは、長年ODAの支援を受けており、最も効果的に支援を使っている国の一つであると国際的なドナーに認識されてきた。とMinh氏は言う。
「不正に使用されたODA資金もあるが、すべてのODA事業の総額に比べれば大きな金額ではない。」
「ベトナム政府は、常にODA資金を高く評価している。私は国際ドナーがベトナムへの信用を失わないことを願っている。」
ベトナムの最近のODAスキャンダルは、日本から支援されたホーチミン市のVND13.4兆ベトナムドン(642.7百万米ドル)の東西ハイウェイ建設事業である。
Huynh Ngoc Si前ホーチミン市公共事業副局長は、東京のコンサルタント会社から同社がハイウェイ工事を受注できるように262,000米ドルの賄賂を受け取ったとして、2010年に終身刑の判決を受けた。
贈収賄の発覚により、ベトナムへの最大のODA供与国である日本は、2008年12月から2009年2月までベトナムへの開発援助を停止した。
(文責 木口由香/メコン・ウォッチ、翻訳 高橋布美子/メコン・ウォッチ)