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 メコン下流本流ダム>タイ住民がサイヤブリダムの買電契約の無効を求めて訴訟

メコン河開発メールニュース2012年8月16日

メコン河流域に住む6,000万人の人びとの暮らしに影響を及ぼすラオス・サイヤブリダムをめぐって、タイ8県の住民代表らが行政裁判所に訴えを起こしました。当初予定(7月23日)を延期して、インラック首相にサイヤブリダムからの電力購入を思いとどまるよう要請したが容れられず、8月7日に訴状を提出することになりました。

住民代表らは、タイ政府が憲法で規定する手続きを踏まずに買電契約への署名を許した点が問題であると主張しています。タイの行政裁判所は、これまでにも発電会社(EGAT)の民営化や東部マプタプット石油化学工業団地の拡張計画に対して違憲判断を下しており、今後の成り行きが注目されます。

以下では、現地報道の日本語訳で原告住民の声などをお伝えします。

また、オーストラリアADBラジオでは、原告側弁護士の解説(英語)が視聴できます。
http://www.radioaustralia.net.au/international/radio/program/connect-asia/thai-activists-sue-energy-authorities-over-xayaburi-dam-deal/996378

タイの住民、ダム計画を法廷に

2012年8月7日

ラオス・サイヤブリダムに反対する住民たちがタイの裁判所に訴えを起こした。

火曜日(8月7日)、メコン河流域で暮らす住民と環境保全団体のメンバーが、首都バンコクにある裁判所に対して、政府系電力会社に隣国ラオスで計画中のサイヤブリダムから電力を購入させないよう求めた。

原告によると、タイ政府は、タイ発電会社(EGAT)に、環境影響評価を実施しないまま、ラオス・サイヤブリ電力会社と、サイヤブリダム(発電能力1,260メガワット)から電力を購入する合意に署名させてしまった。

東南アジアの大動脈、メコン河の流域に位置するタイ国内8県の村々から30名を超える住民が、EGATと内閣および三つの政府機関を相手取って、バンコクの行政裁判所に訴えを起こした。

(昨年)10月の買電合意によると、EGATは、サイヤブリダムの完成後にその電力の95%を輸入する。

住民代表の一人二ワット・ロイケーオ(Niwat Roykaew)氏は、ラオス・タイ両国政府、ダム計画に融資する銀行団、建設を担当するタイ企業チョー・カンチャーン社にダム計画への懸念を伝えた今となっては、反対住民が頼みとするのは法的措置だけだと語った。

「われわれは、タイの四銀行、チョー・カンチャーン社、バンコクのラオス大使館といったすべての関係者に問題を訴え、首相官邸にも請願を提出した」と、訴訟を起こした草の根組織、メコン河流域タイ8県住民ネットワークのリーダーの一人、二ワット氏は話した。

ラオス政府は、環境影響についての追加調査を待つべきとの求めに応じてダム計画を中止したと言う一方で、チョー・カンチャーン社に対しては初期工事の開始を許可している。

「われわれは、関係者に問題を認識してもらおうと手段を尽くしたが、今のところ、働きかけた部局や機関の一つとして、サイヤブリダムの影響を未然に防ぐために、建設を中止し、問題を解決しようとはしてくれない。そこで、われわれは、裁判所に法的判断を仰ぐことにした」と二ワット氏は語った。

二ワット氏は、原告団が、サイヤブリダムの下流で暮らすラオス、ベトナム、カンボジア、タイのすべての住民を代表して、建設を中止するよう訴えを起こしたと付け加えた。

本流ダム
サイヤブリダムは、メコン河上流の中国領内にすでに建設された5ヶ所のダムは別として、本流下流域で計画中の12ヶ所のダムのうちで最初に建設の始まるダムとなる。

原告団の調整役、イティポン・カムスック(Ittibhol Khamsouk)氏は、メコン河流域で暮らす住民は、すでに上流のダムによって被害を受けていると語った。

「補償について言えば、政府にしろ、どこかの機関にしろ、中国領内のダムによってわれわれが受けた被害に対して支援の手を差し伸べてくれたところはない」とイティポン氏は述べた。

タイ、カンボジア、ベトナムで活動する環境保全団体も抗議の声をあげ、サイヤブリダムがメコン河の生態系、漁業、下流住民の食糧の安全保障を脅かすと指摘している。

メコン河開発を共同管理する目的を掲げて4ヶ国で設立したメコン河委員会(MRC)は、サイヤブリダム計画に対して慎重な態度を表明しているが、ラオス政府の行動を法的に拘束する権限はない。

MRCが委託した調査では、下流本流ダムによる壊滅的な環境・社会被害の可能性をさらに調査する必要から、全計画を10年間凍結すべきであるとの提言がなされた。

隣国にダムの電力を輸出することで東南アジアの「バッテリー」になることを目指すラオス政府は、国内の河川の70ヶ所以上でダム建設を準備している。

同じ火曜日、ラオスの政府系メディアは、ルアンパバーン県のナムグム第5発電所、ボリカムサイ県のトゥンヒンブン発電所、セコン県のセカマン第3発電所の3ヶ所のダムがほぼ完成し、年内に発電を開始する予定であると報じた。

【訳注】原文(英語)は、以下のサイトで閲覧可能。
http://www.rfa.org/english/news/laos/xayaburi-08072012171723.html

(文責・翻訳 メコン・ウォッチ)

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