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メコン河開発メールニュース2013年4月24日
ビルマ(ミャンマー)東部のサルウィン川流域では、ビルマ国軍と少数民族武装勢力とが敵対を続け、情勢が安定しない中、ダム建設計画が進められています。シャン・サパワ環境団体によるプレスリリース(2013年4月1日付)をご紹介します。
プレスリリースに添付されていた地図の日本語版はこちら。
シャン・サパワ環境団体 2013年4月1日
ビルマ国軍が北部シャン州軍(SSA-N)に対し、複数の中国企業が大型ダム建設を計画しているサルウィン川西岸の一部地域から即時撤退を命じて最後通牒を発した。
2013年3月26日、ビルマ国軍の北東軍管区司令官はSSA-Nに対し、シャン州のタンヤンとムンカオを結ぶ道路の東側から即時撤退するよう命じ、従わない場合は攻撃するとした。SSA-Nは1989年の国軍との停戦合意および2012年に新たに結ばれた和平協定のもと、当該地域での活動を許可されていた。
今年2月以来、数千の国軍兵士や大砲、戦車が、ビルマ中央部およびラショーから、シャン州のタンヤンと、ムンカオの南のムンシュにかけて配備された。
タンヤンはノンパの20キロ南西に位置する。ビルマ議会で2月27日に発表されたところによると、ノンパではビルマ領内のサルウィン川で計画されている6つのダム建設のうちの1つが進行中である。このダムについては情報が限られているが、ビルマの第一電力省と中国水力発電エンジニアリングコンサルティンググループ(ハイドロチャイナ)とが2つのダム開発について覚書を交わしたことが2009年12月に発表されている。2つのダムのうち、1つがノンパであり、もう一方はその近く、サルウィン川の支流ナムマ川上のマントゥンで、ノンパ及びマントゥンの合計設置出力は1,200メガワットとされる。
国軍は2009年にシャン州北東部で、当時停戦合意を結んでいたコーカン軍に対し大規模な攻撃を行っており、今回、SSA-Nの支配地域を制圧するのにも同様の武力攻撃を行うことが懸念される。コーカン地域の制圧によって中国のダム建設企業がサルウィン川に巨大なクンロンダムを建設することが可能になり、現在、クンロンダム建設現場へのアクセス道路整備がアジア・ワールド社によりほぼ完了している。クンロンダムで発電される1,400メガワットのほとんどが中国に輸出される予定である。
SSA-Nは国境警備隊になることを拒否したため、2011年半ばにビルマ国軍により攻撃を受けたが、その際には3万を超える村民が避難を余儀なくされた。しかしシャン州の当該地域が孤立していることからほとんど報道されなかった。
シャン・サパワ環境団体のサイ・クーセンは「もしも再びシャン州北部で本格的な戦争が始まれば、広範囲の住民が避難や移転を強いられ非常な苦しみが起きることになる。それがビルマの紛争地帯にダムを建設することの代償なのだ」と述べた。
現在、様々な少数民族武装勢力との和平交渉が[ビルマ政府との間で]行われている。シャン・サパワ環境団体は、こうした交渉が行われている間はサルウィン川のすべてのダム建設プロジェクトを停止することを強く求める。サイ・クーセンは次のように述べた。「天然資源の開発問題はシャン州で起きている紛争のまさに中核をなしている。サルウィン川は我々の州、シャン州の活力源。それを十分な協議もせずに売り払うようなことをすれば、和平プロセスは確実に失敗に向かうだろう」
連絡先:サイ・クーセン+66 81 672 2031
詳細情報:www.burmariversnetwork.org および www.ecdfburma.org
出典:Burmese military stokes war in northern Shan State to clear way for Salween dam, press release by the Shan Sapawa Environmental Organisation, April 1, 2013.
http://www.burmariversnetwork.org/actions/press-releases/23-press-releases/886--burmese-military-stokes-war-in-northern-shan-state-to-clear-way-for-salween-dam.html
(文責/翻訳 メコン・ウォッチ)