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ドンサホンダム>既存データの語るリスク

メコン河開発メールニュース2014年1月21日

中国より下流でのメコン本流ダム。また一つ計画が進み始めました。

ラオス南部、カンボジアとの国境近くに作られるドンサホンダムです。計画が持ち上がった際には、メコン河の生態系と漁業に大きく影響するとしてNGOだけでなく研究者からも国際的な大きな反対の声が上がり、中断していました。移転住民も少なく大規模とはいえないこのダムが世界的な注目を集めたのは、建設予定地がメコン河流域の豊かな漁業資源を支える生態系のカギを握る場所だからです。しかしラオス政府は昨年、建設の意思を公にしています。

このダムに関し、国際的な非営利の調査機関であるWorldFishセンター(http://www.worldfishcenter.org/)の発行した2007年のレポート「ドンサホンダムとメコンの漁業」をご紹介します。

日本語訳は、こちらからご覧いただけます。
http://www.mekongwatch.org/PDF/DonSahong_WorldFish2007_j.pdf

また、原文はこちらです。
http://www.worldfishcenter.org/resource_centre/DonSahong-final.pdf


レポートは、魚と漁業に関する既存の科学的な情報を分析し、ドンサホンダムの影響を予想したものです。この中では、ダムがつくられるフーサホン分流が、メコン河流域の魚の回遊に特に重要な役割を担っていること、メコン河下流域は世界で最も生産性の高い淡水の漁場で、流域の食料の安全保障と農村部の生計の持続性に大きく寄与していること、漁業に対するダムの影響を緩和する効果的な手段はこの地域に存在しないこと、更に、ダムから得られる利益よりも、その影響の大きさが深刻であること等を指摘しています。

報告は最後に、「失われる漁業生産は、予想されるダムの経済的利益よりも価値があり、包括的な科学的評価が求められる」と結んでいます。

ドンサホンダムについては、こちらもご覧ください。
http://www.mekongwatch.org/report/tb/Donsahong.html

少々古い情報に思われるかもしれませんが、指摘されている問題は現在も全く変わっていません。メコンの自然の危機はそのまま、人びとの食料安全保障を脅かす問題となります。メコン・ウォッチでは引き続き、このダムに関する情報を発信して行きます。

(文責 メコン・ウォッチ)

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