ホーム > 資料・出版物 > メールニュース >メコン本流ダム>【映像】続くメコン河の水位異常の影響
メコン河開発メールニュース2014年6月25日
先日のフォーラムMekongでお知らせしたように、2013年末からメコン河は異常な水位変動を見せています。その原因は、上流の中国で建設されたダムの運転によるものだと見られています。現在メコン河流域の中国国内部分には、6つの大規模ダムが完成しています。
レポート「メコン河の変動、下流の損害の責任を誰がとるのか?」
http://www.mekongwatch.org/PDF/FM-PDF-5.pdf
タイの北部で様々な被害が出ていることは、このレポートで報告されていますが、さらに下流、カンボジアと国境を接する東北タイ・ウボンラチャタニ県を流れるメコンの支流ムン川の河口付近でも、その影響は顕在化していました。この地域は、ムン川に作られたパクムンダムの影響も強く受けており、川の漁で生計を立てる漁師さんたちは、ダムの放水と水位変動に振り回されながら生活をしています。
ムン河で漁をする人たちの経験を撮影するため現地を訪問した際、最近の漁とダムの影響について地元漁師さんにお話を伺い、下記にアップロードしました。
【映像】 続くメコン河の水位異常の影響―インタビュー映像
「ダムのもとに暮らす―ムン川河口付近の漁師の声―」(日本語字幕付き)
http://youtu.be/ElTz9c27uN4
お話を聞いた二つの集落では、パクムンダムの放水によって漁具を流されてしまう被害が恒常的になっていますが、今年は更にメコンの変動で漁に影響が出ていると言います。例年よりも乾季のメコン河の水位が高いため、ムン河の河口5kmの位置に作られたパクムンダムが水門を閉じると、本流メコン河の水が支流のムン川に逆流していくほか、毎日のように目に見えて水位が上下しているそうです。水位変動によって回遊などの行動に移るメコンの魚は、その生態に大きな影響を受けると思われますが、水域の生態系に与えるダムの影響は今まで検証されてきませんでした。
流域では、中国だけでなく、ラオスでもメコン本流でのダム建設が進んでいます。ラオス政府は更に、ラオス南部の本流部分にもダムの建設を明言していますが、下流のカンボジアとベトナムからは強い懸念の声が上がっています。
今月24日にはタイの行政最高裁判所が、タイの住民から訴えのあった、サイヤブリダムの売電契約の違法性についての裁判を受理する判断を下しています。
ロイター報道:
http://uk.reuters.com/article/2014/06/24/thailand-laos-lawsuit-dam-idUKL4N0P51PN20140624
また、26日には、流域の調整機関であるメコン河委員会の評議会が開かれます。メコンの環境と開発を巡って様々な動きが生まれています。メコン・ウォッチでは引き続き、関連情報をお伝えしていきます。
(文責 メコン・ウォッチ)