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 メコン本流ダム>MRC評議会をめぐる動き(2) 市民社会の声「メコン河を守ろう!」

メコン河開発メールニュース2014年6月26日

本日(6月26日)、タイの首都バンコクでメコン河委員会(MRC)第20回評議会が開催され、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム四か国の閣僚が、メコン河の共同管理をめぐる話合いを行っています。

メコン河本流でのダム開発に対してより慎重な立場を取るタイ、カンボジア、ベトナム政府が、これまでのように、ラオス政府の一方的なダム建設を許してしまうのか。「開発パートナー」として会合に参加する日本や欧米各国政府が、ラオスの説得に役割を果たすのか。市民社会は注目しています。

結成以来、一貫して本流ダム計画に異議を唱えてきたNGOと住民組織の緩やかなネットワーク、セーブ・ザ・メコン連合(Save-the-Mekong Coalition)は、今回のMRC評議会開催に際し、あらためて四か国首脳に、本流ダム計画を即時中止し、豊かな自然資源と生物多様性に恵まれたメコン河の保全のために協力するよう呼びかける声明を発しました。以下、全文を日本語訳で紹介します。

メコン・ウォッチも、セーブ・ザ・メコン連合の一員として、メコン河流域の自然と人びとを守るための活動を続けています。

メコン河本流ダムをめぐる問題については、以下をご覧下さい。
下流域 http://www.mekongwatch.org/report/tb/lower.html
上流域(中国領内) http://www.mekongwatch.org/report/yunnan/dams.html

 

セーブ・ザ・メコン連合声明
「本流ダムは、流域の食糧安全保障と人びとへの脅威〜市民社会は、流域国首脳にダム計画の中止を求める」

6月26日、タイ・バンコクでメコン河委員会評議会(MRC Council)第20回会合が開催されるにあたり、セーブ・ザ・メコン連合(Save-the-Mekong Coalition)は、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム各国の首相に対し、11か所のメコン河本流連続ダムが流域の食糧安全保障と人びとにもたらす脅威に、協力して対応することを求める。各国の首脳は、サイヤブリ、ドンサホンの両ダムをはじめ、計画中のダム建設を中止するとともに、今後、地域の共有財産であるメコン河にかかわる判断を下す際には、科学的な知見と国境を越えた影響の評価に基づき、流域国と各国市民が有する透明な意思決定への参加の権利を尊重しなければならない。

世界最大の内陸淡水漁場であるメコン河は、6,000万人もの流域住民に日々の糧をもたらし、類(たぐい)まれな水生生物の多様性は、アマゾンに次いで世界第二位を誇っている。メコン河が流域を形成し、周期的に洪水と干ばつをくり返すことは、豊かな生態系と魚類を育み、肥沃な氾濫原での作物生産を維持する堆砂を供給するために不可欠である。メコン河委員会が2010年に公表した戦略的環境影響評価は、本流ダムが流域の環境、社会、文化にもたらす脅威に警鐘を鳴らし、魚類への被害を緩和するには非常な困難をともなうこと、そして賢明な判断を下すには知見が圧倒的に不足していることを指摘した。また、その後の調査では、流域の発展に必要なエネルギー需要を確保するには、電力セクター計画を見直し、再生可能なエネルギー源を選択する必要があることも浮き彫りとなった。

メコン河委員会と加盟国は、本流ダムが流域にとって大きな脅威であるにもかかわらず、同委員会が本流ダムをめぐって賢明な意思決定を成し得ていない現下の危機的状況を十分に認識し、即時に対応すべきである。本流ダムの是非をめぐる協議は、2010年から現在に及んでいるが、共有財産であるメコン河を管理し、上・下流間の各国政府が持つ需要や懸念に対応する上で、非常に曖昧な点が多く、大きな問題を孕んでいることが露呈している。カンボジア、タイ、ベトナム政府が調査と協議の継続を求め、カンボジア、ベトナム政府が決断を10年間保留することを呼びかけたにもかかわらず、ラオス国内では、サイヤブリ、ドンサホン両ダムの建設がすでに進行している。メコン河委員会は、1995年のメコン協約の規定に則った加盟国間の協調を実現できず、国境を越えた本流ダムによる被害の顕在化といった、さらに危機的な状況を招こうとしている。

この6年間、メコン河流域国政府やメコン河委員会には、内外から、請願や書簡といった形で、本流ダムに対する広範な市民の反対の声が寄せられてきた。にもかかわらず、建設工事は着々と進行している。

セーブ・ザ・メコン連合は、何百何千万人もの流域の人びとの暮らしを支え、地域の象徴的存在であるメコン河を、取り返しがつかないまでに脅かす11か所の本流連続ダム計画に対して、これからも反対の立場を堅持する。

今すぐ工事を中止し、流域全土に及ぼす影響を検証することなしに、本流ダムをめぐる賢明な意思決定は不可能である。本流ダムによる深刻な被害を考えた時、早急に協議と対応を実施することで、流域各国の首脳は、自らの責任を果たし、さらには相互の説明責任を求めていかなければならない。私たちは、流域各国の首脳に、今回の評議会の席で、本流ダムをめぐる話合いを優先的に中心課題として扱うことを要請したい。同時に、ラオス政府に対しては、サイヤブリ、ドンサホン両ダムの建設を即時に中止し、メコン河の自然資源に依存する流域国と流域住民に国際条約が保証する協議参加の権利を尊重するよう要求する。これ以上ないほど危機的な状況の中で、すべての人びとが力を合わせて、メコン河を守る努力をしなければならない。

2014年6月25日
賛同30団体(団体名省略)


セーブ・ザ・メコン連合(Save the Mekong Coalition)
所在地:C/O 409 Soi Rohitsuk (Ratchadapisek Soi 14), Pracharajbampen Road, Huay Kwang, Bangkok, 10320 THAILAND
電話:(66) 02 691 0718-20
ファクス:(66) 02 691 0714
電子メール:info@savethemekong.org
ウェブサイト:www.savethemekong.org


英語原文は、以下で閲覧可能
http://www.internationalrivers.org/files/attached-files/statement_of_save_the_mekong_coalition_24.06.14_final_english.pdf

(文責・翻訳 土井利幸/メコン・ウォッチ)

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