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 メコン本流ダム>MRC評議会をめぐる動き(5) サイヤブリ・ダムにも見直しの機運か?

メコン河開発メールニュース2014年6月30日

先週、タイの首都バンコクで開催されたメコン河委員会評議会(MRC Council)第20回会合では、ラオス政府が推進するドンサホン・ダムの扱いが話題になり、ラオス政府が、タイ、カンボジア、ベトナムとの事前協議に応じることになりました(詳細は>http://www.mekongwatch.org/resource/news/20140627_01.html)。

一方で、ラオス政府は、北部でも、流域国間の合意を得ることなしに、本流ダム第一号となるサイヤブリ・ダム(発電容量1,260メガワット)の建設工事を進めています(サイヤブリ・ダムの問題については>http://www.mekongwatch.org/report/tb/Xayaburi.html)。

3月25日付『プノンペン・ポスト』は、ラオス政府Viraphongエネルギー鉱山副大臣の発言を引いて、「サイヤブリ・ダムの建設は、予定通り30%完成している」と報じています。このままですと、来年2015年第一四半期には、メコン河の流れを迂回させる建造物(coffer dam)の建設が始まり、いよいよ回復不可能な被害が顕在化する恐れがあります。(WWFのサイトでは、シミュレーションで工事の進捗状況を見ることができます>http://wwf.panda.org/wwf_news/?218410/NGOs-set-one-year-deadline-to-stop-Xayaburi-dam)。

このように、着々と既成事実化するサイヤブリ・ダムですが、まだまだ紆余曲折がありそうです。先週、MRC評議会の開催を意識したかのように、タイの最高行政裁判所が、サイヤブリ・ダムの下流に住む北・東北タイの住民たちの申し立てを容れて、タイ政府がサイヤブリ・ダムから電力を購入する際に交わした契約の違法性を審査する決定を下しました。審査の結果によっては、サイヤブリ・ダムの建設にも影響をもたらす可能性があります。

以下では、この件について、現地紙の日本語訳を通してお伝えします。

発電公社の買電契約に疑義
裁判所がサイヤブリ・ダムの件で審査に同意

2014年6月25日
『ネイション』
Janjira Pongrai記者

(タイの)最高行政裁判所が、現在、ラオスで建設中のサイヤブリ・ダムに関する件で、審査に応じる決定を下した。

この件は、ダムの建設工事の可否に直接関係するわけではないが、発電公社(EGAT)がサイヤブリ・ダム(建設費1,200億バーツ=約3,600億円)から電力を購入する契約に影響を及ぼす。

仮に契約破棄にでもなれば、工事の中断ということもありえる。EGATが、サイヤブリ・ダムの電力の大口購入先だからである。

インターナショナル・リバーズなどの非政府組織(NGO)から協力を受けたタイ東北8県の住民37名が、EGATをはじめとする複数の政府機関を相手取って、政府が買電契約を結ぶにあたって関連法を十分に遵守しなかったことを根拠に、行政裁判所に申し立てを行っていた。

サイヤブリ・ダムはメコン河本流に建設中で、ダムの下流域に住む人びとは深刻な懸念を抱いている。

行政裁判所に申し立てを行った住民は、全員がサイヤブリ・ダムの下流域に住んでいる。

住民たちの申し立ては、国家エネルギー政策評議会、環境・自然資源省、エネルギー省、内閣も対象としている。

先に、中央行政裁判所は、住民たちが買電契約によって被害を受けることはありえないとして、申し立てを受理しない決定を下していた。

しかし、最高行政裁判所が下級審のこの判断をくつがえした格好だ。

「本件を受理するのは、入手可能な証拠から、管轄省庁が住民の意見に十分耳を傾けず、通知・事前協議・合意手続きに遵守していないことが示唆されるからである」と、昨日、Suchat Mongkollertlop判事は語った。

同判事は、公聴会が3県のみで開催されたが、メコン河沿いでははるかに多くの県が影響を受ける可能性があると指摘した。

同判事はさらに、関係者(stakeholders)に十分な情報を提供するとともに、環境・公衆衛生・社会への影響を評価する必要性にも触れた。

本件で住民を支援している弁護士のSor Rattanamanee Polkla氏は、今回の裁判所の判断に満足していると述べた。

Sor氏は、今週後半、タイで開催されるメコン河委員会(MRC)の会議の場でも、住民たちの懸念が話題になるだろうと語った。


【訳注1】 英語原文は、下記で閲覧可能
http://www.nationmultimedia.com/national/Egats-access-to-dam-power-in-doubt-30237048.html

 

(文責・翻訳 土井利幸/メコン・ウォッチ)

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