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ビルマ>少数民族のための南東部地域総合開発> 「JICA開発調査は対立を助長しかねず」 カレン民族ネットワーク、記者会見で報告書を発表

メコン河開発メールニュース2014年9月16日

国際協力機構(JICA)が調査を実施中の「ミャンマー少数民族のための南東部地域総合開発」に対し、カレン民族の市民社会団体の集まりとしては、ビルマ(ミャンマー)国内最大となるカレン民族平和支援ネットワーク(KPSN)から懸念の声があげられています。

同総合開発計画は、ビルマ南東部のカレン州およびモン州の少数民族を対象としたもので、国外難民・国内避難民(IDPs)の帰還支援や道路・都市インフラ・工業団地の整備、農産業の育成など、さまざまな開発プロジェクトが含まれています。

去る9月9日、KPSNはヤンゴンで記者会見を開き、同JICA調査に関する報告書を発表。中央政府によるカレン少数民族地域の天然資源の搾取と土地権の無視が、60年以上におよぶ紛争の主因であることを指摘し、JICAがそうした背景を十分に認識せず、コミュニティーとの適切な協議をせぬまま計画を進めれば、和平構築を支援をするどころか、対立を煽ることになると警鐘を鳴らすとともに、8つの具体的な提言を行いました。

これまで、KPSNは、中央政府や州政府のみでなく、数十年にわたり、紛争地域の現場でコミュニティー支援を続けてきたカレン民族の市民社会団体とも、意義ある協議の場を持つよう、JICAに求めてきましたが、実現してきませんでした。同KPSN報告書も、すでに8月末にJICAに提出済みですが、JICAからはその後も回答がない状況が続いています。

 <JICAによる同計画の実施状況・現状>
 ・2012年5月〜7月  「少数民族地域支援に係る情報収集・確認調査」を実施済
 ・2013年2月〜10月 「少数民族のための南東部地域総合開発支援プログ ラム形成準備調査」を実施済
 ・2014年1月〜2015年5月(予定) 「少数民族のための南東部地域総合開発計画プロジェクト」を実施中

以下、KPSNが9月9日に発出したプレス・リリースを和訳でご紹介します。
KPSNの報告書全文の概要については、こちらをご覧ください。(報告書概要の和訳 http://www.mekongwatch.org/PDF/news20140916_Burma_kpsn.pdf)

新しい報告書の発表
「日本のビルマ/ミャンマーにおける計画は少数民族地域の対立を増長しかねない」

カレン民族平和支援ネットワーク(Karen Peace Support Network: KPSN)によるプレスリリース(2014年9月9日付)(英語版を和訳)

 

 「日本が最近出した南東ビルマ/ミャンマー開発計画は、和平の促進どころか、対立を煽りかねません。」今日、ヤンゴンで発表した報告書のなかで、カレン民族組織からなるビルマ国内最大のネットワークはこう警告を発しました。

 カレン民族平和支援ネットワーク(KPSN)は、本日、「国際協力機構(JICA)の南東ビルマ/ミャンマー開発計画案に対する批評」という報告書を、ヤンゴンのミャンマー・ジャーナリスト・ネットワーク(MJN)事務所で発表。同報告書のなかで、30近い数のカレン民族組織からなるネットワークは、同国の和平と政治的安定が確保されるまで、大規模開発プロジェクトを一時停止するよう求めています。また、KPSNは、日本の開発機関であるJICAに対し、対立の危険を回避するため、プロジェクトの計画立案、設計、実施のすべての段階で市民社会組織と連携するよう求めています。

報告書の全文は、こちらでダウンロードできます。
ミャンマー語(http://kesan.asia/index.php/resources/publications-media/reports/viewdownload/4-reports/100-critique-of-japan-international-cooperation-agency-s-blueprint-for-development-in-south-eastern-burma-myanmar-full-report-burmese
英語(http://kesan.asia/index.php/resources/publications-media/reports/viewdownload/4-reports/99-critique-of-japan-international-cooperation-agency-s-blueprint-for-development-in-south-eastern-burma-myanmar-full-report-english

報告書の要約版は、こちらでダウンロードできます。
ミャンマー語(http://kesan.asia/index.php/resources/publications-media/reports/viewdownload/4-reports/102-critique-of-japan-international-cooperation-agency-s-blueprint-for-development-in-south-eastern-burma-myanmar-brief-summary-burmese
英語(http://kesan.asia/index.php/resources/publications-media/reports/viewdownload/4-reports/101-critique-of-japan-international-cooperation-agency-s-blueprint-for-development-in-south-eastern-burma-myanmar-brief-summary-english

 JICAは最近、「ミャンマー少数民族のための南東部地域総合開発予備調査」という計画案を発表しました。同計画案は、カレンおよびモン州の産業開発を提案し、道路網のアップグレードと拡大、工業団地や都市インフラ、またゴム・プランテーションなどの商用農地を整備することに重点を置いています。また、カレンおよびモン州の国外難民・国内避難民(IDPs)の帰還と定住を名目として掲げています。しかしながら、KPSNはJICAに対し、同計画案が時期尚早かつ欠陥を伴い、さらに地域内の対立を増長する危険性があると警告します。大規模な開発計画を立案するにあたって、支援しようとしている国外難民など、地域の人びとの声を無視する一方で、中央政府や任命された州政府と一義的に協議を行うというJICAのアプローチは、既存の中央集権型の統治構造を正当化し、強化しています。

 このJICAの計画案では、開発が進むことによって国外難民やIDPsが自主的に帰還し、また大規模な工業やインフラの開発がこの地域に適切であり、これらを和平プロセスと同時進行で実施すると想定しています。KPSNはこうした想定に異議を唱えます。現在の和平プロセスでは、少数民族の人びとが政府の開発政策に意見を述べることができるような、意味ある形での権力の分権化は依然として起きていません。中央政府が地域の天然資源を搾取する一方で、少数民族に平等な権利を供与せず、土地の権利を尊重してこなかったことは、依然として、少数民族地域での60年以上におよぶ紛争の主因となっています。実際、この地域での紛争の背景にある原因を無視し、コミュニティーとの協議や彼らの懸念を考慮せずに金銭的な投資や技術支援を行うことは危険です。

 「JICAは、JICAが支援したいとする人びとを無視しています。そうした人びとを支援するどころか、実際には損害を与えかねません。」KPSNのコーディネーターの一人であるSaw Paul Sein Twaは述べました。「私たちは、JICAの計画案が不安定な政治的背景を十分に認識しておらず、また、市民を中心に据えた開発の代替案を提案していないことを懸念します。JICAが私たちの国の持続可能な発展に向け、人びとの懸念について、私たちと対話するよう期待します。」
私たちのコミュニティーが適切な国際援助や技術支援を必要としていることは、疑いありません。また、私たちは日本人の善意を歓迎します。問題は、1)同計画案が日本人の善意を代表していないこと、2)カレン民族の最善の利益を提供するものでないことです。JICAが方針を変え、本当の意味での人びとを中心に据えた持続可能な開発を行うと約束できるのであれば、KPSNはJICAに喜んで協力するでしょう。

 報告書では、以下の重要な提言を行っています。

1. JICAは、南東地域に関与するにあたり、同地域での紛争の原因に関し、深く包括的な独自分析の情報を知っておかなければならない 。
2. JICAは、南東地域での開発のプロセスと実施が、少なくとも国際的な人道的開発原則に則っていることを明確に保障しなければならない。
3. JICAは、意味ある戦略的環境アセスメントが行われ、政策、計画、プログラムに環境配慮が取り入れられることを確保しなければならない。
4. JICAは、JICA自身が定めた原則(付録3参照)であるコンセンサスの確保に向け、プロジェクトの計画立案、設計、実施のすべての段階で市民社会組織と十分に連携し、コンサルテーションのプロセスを見なおさなければならない。
5. JICAは、KPSNと協力し、コンサルテーション、計画立案、実施のプロセスをリードする代表チームを結成すべきである。
6. JICAは、JICAが行った全ての調査、合意、 提案について、完全な情報公開を行う仕組みを整備すべきである。
7. JICAは、地域の能力を高め、また地域が持続可能なものとなるよう、同計画案に関わる全ての開発プロジェクトが、地域の市民社会組織との意味ある協力関係を確立することを明確に確保しなければならない。
8. JICAは、KPSN、女性、国外難民、国内避難民を含むカレン民族の市民社会組織との対話を行い、パイロット・プロジェクトの現実的な選択肢を探るべきである。

より詳細な情報はこちらまで:
(以下、連絡先)

カレン民族平和支援ネットワーク(Karen Peace Support Network: KPSN)は、以下の組織で構成されています。
1. Burma Issues
2. Back Pack Health Worker Team
3. Burma Medical Association
4. Committee for Internally Displaced Karen People
5. Federation of Trade Unions Kawthoolei
6. Karen Affairs Committee
7. Karen Baptist Convention
8. Karen Development Committee
9. Karen Development Network
10. Karen Education Department
11. Karen Environmental and Social Action Network
12. Karen Human Rights Group
13. Karen Office for Relief and Development
14. Karen Refugee Committee
15. Karen Refugee Committee Education Entity
16. Karen Rivers Watch
17. Karen Student Network Group
18. Karen Teacher Working Group
19. Karen Women Empowerment Group
20. Karen Women Organization
21. Karen Youth Organization
22. Mae Tao Clinic
23. Hsar Mu Htaw
24. Hku Po Ka Paw
25. Karen Environment Network
26. Youth Circle
27. Mutraw Community Development Committee
28. Taw Oo District Humanitarian and Development Committee

(以上)

(文責/翻訳 メコン・ウォッチ)

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