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タイ汚水処理>10年後も続く損害、ODA失敗事業のつけはタイ国民に?

メコン河開発メールニュース2014年11月29日


甚大な環境影響、高額な維持費で持続的な運営の見込みが全くなく、事業にまつわる不正も暴かれ、プラントの95%以上が完成していていたにも関わらず2003年に中止となったタイのサムットプラカン汚水事業で、一つの判決が確定しました。事業を実施していたタイの公害管理局が敗訴、事業関連企業体への賠償金の支払いを命じられました。その額、約320億円です。

この事業には、国際協力銀行(JBIC)が円借款(ODA)としてタイ環境基金を通じて70億円、アジア開発銀行が2億3000万ドルを融資しています。

事業について詳しくはこちらをご覧ください。

http://www.mekongwatch.org/report/thailand/samutprakarn.html

以下に、公共放送タイPBSの報道からお伝えします。
放送時の映像はYou tubeに掲載されています。タイ語ですが、最初の40秒ほどは10年以上放置され「国家事業失敗のモニュメント」、と評される事業地の荒れた様子が写っています。合わせてご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=gTKa_EvzbzM

***
公害管理局、クロンダン裁判の損害賠償を国家予算として請求準備
タイPBS(タイ公共放送)2014年11月24日放送

(見出し)タイ最高行政裁判所は、公害管理局に対し、サムットプラカン汚水処理事業に関して約100億バーツ(約320億円)に上る違約金を企業に支払うよう命じた。現内閣は、これをどこから支出するのか頭を痛めることになるだろう。利子は1日200万バーツ(640万円)にも上る見込みだ。(訳注:支払期限は判決から90日で、遅延した場合に1日約200万バーツの違約金がかかるものと思われます)この事業に関してしてはまだ他にも係争中の裁判が進行している。しかし、PCDがこれらの裁判から損害を回収できるかどうかは未定である。

行政最高裁判所は、天然資源環境省公害管理局に対し「サムットプラカン公害管理地区汚水収集・処理場事業」、通称クロンダン・プロジェクトの設計・建設のキャンセルを命じた件で、合弁企業体であるNVPSKG社に約100億バーツの損害賠償を支払うよう命じた。

ウィチアン・ジュンルンルアン公害管理局局長は判決に従うと表明、90日以内に国家予算から96億1800万バーツ、加えて約200万バーツの利子を負担、という支出を認めるよう内閣に上申するとしている。

現在、係争中の裁判は、最高裁判所で不正な土地転売にかかわったとして19名の被告(8社とその委員11名)の刑事事件があり、一審では(原告の)公害管理局が勝訴している。もう1件は、タイ国家汚職防止撲滅委員会が3名を刑事告訴、他に重大な公務員倫理違反で4名、公務員倫理違反で10名を告訴している。

また、事業監査とまとめで財務省に虚偽の報告をした公務違反では、財務書の調査で国家特別公務員2名、地方特別公務員3名、公害管理局職員3名、関連省庁職員7名の15名がこれに関わったとされた。損害賠償総額は211億3200万バーツで、現在執行手続きに入っている。また、公害管理局は最高検察庁に協力を求め、刑事事件で汚職撲滅委員会が汚職を告発した3名に対し85億バーツの民事訴訟を起こしている。

タイ語原文はこちら:http://goo.gl/pHuhn8

追記:テレビ放送では、この事業に反対してきた住民リーダー、ダワン・チャンタラ・ハッサディさんにもインタビューを行っています。ダワンさんは「財務省は、国家予算からではなく不正を行った公務員・議員から損害賠償を取り戻し、支払に充てるべきだ」、とコメントしています。

 

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