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ビルマ・ダウェイ経済特区>女性団体が報告書発表 「地域の経済を破壊するダウェイ事業は中止すべき」

メコン河開発メールニュース2014年12月26日


今週、タボイ(ダウェイ)女性連合(Tavoyan Women's Union:TWU)が、ビルマ南部のダウェイ経済特別区(SEZ)開発の女性への影響についてまとめた報告書を発表したので、ご紹介させていただきます。

「Our Lives, Not For Sale(私たちの生活は売り物ではない)」と題された新しい報告書は、ダウェイ経済特別区(SEZ)開発事業が、農業や漁業といった地元の生計手段を徐々に台無しにしてきているなかで、特に女性に対して深刻な影響が及んでいる実態を明らかにし、同事業を直ちに中止するよう訴えています。

同報告書のなかで、インタビューを受けた6村(同事業の主要開発地域であり、すでにタイ企業が主体となって初期建設工事を始めていた村々で、人口10,000人以上)の女性たちは、広範にわたる土地収用、農地の破壊、沿岸地域へのアクセスの制限によって、地域社会経済の根幹がどのように崩れてきているかを語っています。

まず、ほとんどの女性が、農地や果樹栽培、沿岸での貝採集による収入をまったく失ったか、一部失っており、食料の確保もままならない状況に陥っていると話しています。また、4分の3以上の女性が、金銭的な理由で、子どもたちの通学を止めさせざるをえなかった(小学校を含む)と答えました。より多くの若い女性が、タイへ出稼ぎに出され、人身売買や搾取のリスクに晒されている実態もあります。

これまで、同事業の女性に対する影響を軽減しようとする試みはありませんでした。以前から周辺化されてきた女性たちは、同事業の情報をほとんど提供されず、また、土地等の書類がほとんど男性名義であることから、補償プロセスに関する意思決定からも外されてきました。事業地で働く労働者からの性的嫌がらせも、地元女性の安全を脅かしています。

何万人もの住民が強制移転させられるこの巨大事業は、先祖代々暮らしてきた土地から追いやられることで、コミュニティーと文化の存続にかかわるのではとの不安をダウェイの女性たちの間に駆り立てており、彼女たちは土地収用等に対する抗議活動の先頭に立ち、権利を守るための活動に参加しています。

報告書の全文(英語:31ページ)はこちらでダウンロードできます。
http://en.tavoyanvoice.com/wp-content/uploads/2014/12/OurLives_NotForSaleEng.pdf

ダウェイSEZ開発は、現在、日本が官民をあげて進めているヤンゴン近郊のティラワSEZ開発の数倍の規模となり、完成すれば、東南アジア最大の工業地帯になると言われています。2008年からタイ企業が主体となり進められてきましたが、2013年に資金調達の失敗から同企業が撤退。その後も、土地収用や補償問題などは残されたまま、多くの住民が苦しい生活を強いられてきました。

今年10月に入り、タイ・ビルマ両国政府が同SEZ事業の再開を確認していますが、日本政府も以前から同SEZ事業への参画に関心を示しています。日本の政府・企業もダウェイSEZ開発に参加するのであれば、こうした女性団体も含め、現地住民・グループの声にしっかりと耳を傾ける必要があります。

(文責 メコン・ウォッチ)

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