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ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > カンボジア土地問題>急増する土地紛争、新たな影響世帯は前年の3倍に

カンボジア土地問題>急増する土地紛争、新たな影響世帯は前年の3倍に

メコン川開発メールニュース2015年3月12日

ダム開発などの大規模インフラ建設地も含め、カンボジアでは土地紛争が急増しています。現地人権団体LICADHO【1】は先月、2014年に新たに土地紛争の影響を受けた世帯は2013年の3倍以上にのぼったと発表し、政府に対して早急な対策を促す声明【2】を出しました。これに対し、あろうことかカンボジア政府はその情報は間違っていると主張。独自のデータでは土地紛争は近年減少しているとしました。LICADHOでは求めに応じ、政府にデータを提供したそうですが、政府が見解をあらためるかどうかはわかりません。

以下、Radio Free Asiaの記事【3】を日本語訳で紹介します。

また、過去の関連情報はこちらでご覧になれます。
http://www.mekongwatch.org/report/cambodia/evictions.html


土地紛争の影響世帯、カンボジアで2014年は前年の3倍に:人権団体報告

2015年2月19日
『Radio Free Asia』
Joshua Lipes 記者

カンボジアで急増する土地紛争による影響世帯は、前年(2013年)の3倍以上だったと現地の人権団体がこの木曜、報告した。フン・セン首相率いる政府に、中身のない約束をするのではなく、長期的な解決を打ち出すよう促した。

人権団体LICADHOは、土地紛争の新たな被影響者として、2014年は10,625世帯、もしくは個人で数えると推定49,519人を確認したとした。これは前年の3,475世帯から大幅に増え、前々年の5,672世帯の2倍近くにのぼる。

しかし政府の反応は、この団体が2014年4月にはすでに増加を非難していたにもかかわらず、調査結果を「虚偽だ」と主張する記者会見を開くというものであった。

LICADHOは木曜、政府による否定と行動の欠如を、その4か月後に起きたプレアビヒア州の土地紛争での事件に照らし合わせ、「とりわけ恥ずべきこと」だとした。事件では、軍が土地紛争の相手である農民グループに向けて発砲し19歳のカンボジア人が殺されている。

「カンボジア政府が土地紛争に関して同じ約束を何度も繰り返しているのは嘆かわしい」とLICADHOのNaly Pilorge氏は声明で述べた。

「政府は長期的に効力のある解決方法で、問題に早急に取り組むべきだ。」

LICADHOは、強制立ち退きや打ち壊しは2015年に入ってからも続いており、状況は昨年とさして変わりないだろうとした。

「土地紛争の根本原因はすでに報告されているように、腐敗した、政治に左右される司法制度、そして軍人を含めた軍事力の誤用、それから官民の癒着だ」とLICADHOのテクニカルコーディネーターAm Sam Ath氏は語る。

「この毒入りカクテルは、あまりにも長く国中の紛争を助長し続けた。」

LICADHOは、カンボジアの人びとが影響を受ける土地紛争に関して、破壊が継続しないよう「緊急に行動すること」を呼びかけ、そして政府に、「事態の重さを認識し、意味ある行動を早急に取ること」を促した。

■苦々しい問題

土地紛争はカンボジアにとって苦々しい問題だ。地方および都会の住民、双方が陥る問題で、カンボジアの人権状況に関する国連特別報告者が警告するように国の安定を揺るがしかねない。

信頼できるNGO、国際人権連盟(FIDH、拠点パリ)の推計によると、770,000人が土地収奪により悪影響を受けた。その土地収奪は少なくとも4百万ヘクタール(1千万エーカー弱)に及ぶ。

先月、フン・センは自身の記録を更新する形で、首相の座についてから30周年を迎えた。そこに含まれるのは、1975-79年のクメールルージュ政権の直後に行なった土地改革、これは大規模な避難と移転を強要し、その後の土地権をめぐる大混乱期と1990年代に難民が帰還した際に不法占拠地が形成されることにつながった。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(拠点米国)の報告書によると、首相の統治は威嚇と政治的操作に特徴付けられ、大勢のカンボジア人が影響を受ける土地危機は、彼の政府により近年引き起こされている。


【1】LICADHO (Cambodian League for the Promotion and Defense of Human Rights)は、カンボジア内戦終結直後の1992年から活動する現地の人権NGOで、現在、首都プノンペンと13の州に事務所を設置し、人権侵害を調査・記録するとともに、被害者への法的あるいは医療等の支援を行なっている。人権全般はもちろんのこと、個別事例についても、詳細な報告書だけでなく、ウェブサイトで音声ニュースやビデオ映像で伝えている。
団体のウェブサイト(英語、カンボジア語)http://www.licadho-cambodia.org/

【2】LICADHOの声明(2015年2月19日付、英語)はこちら
http://www.licadho-cambodia.org/pressrelease.php?perm=374

【3】記事原文(英語)はこちら
http://www.rfa.org/english/news/cambodia/families-02192015114159.html

(文責・翻訳 メコン・ウォッチ)

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