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カンボジア・セサン下流2>影響住民が「川のための国際行動デー」に事業への反対を表明

メコン河開発メールニュース2015年3月24日

3月14日は「川のための国際行動デー(International Day of Action for Rivers)」【1】です。この日、セサン下流2ダム(LS2)【2】の影響村である北東カンボジアのストゥントレン州クバールロミア村の住民が、川の重要性を考え自分たちの川を守ろうと、イベントを開催しました。

LS2は、ストゥントレン州のセサン川とスレポック川の合流地点付近に位置し、2014年2月に建設が開始されました。2008年に実施されたEIAによれば、2河川沿いの7か村が水没し、約5,000名の住民が移転を余儀なくされます。事業の中止を訴える影響住民たちは、カンボジア政府や事業主との直接対話を求め続けていますが、何の対応もとられないまま強行に事業が進んでいます。

「川のための国際行動デー」について知った住民たちは、自分たちの川が直面するLS2の問題を国際的に訴えようと、今年初めてこのアクションに参加しました。

一見牧歌的に見えるこの行事ですが、村では補償のための計測がすんだという印のペンキが既に複数の家屋に塗られています。住民の危機感は高まっており、眠れない日々を過ごしている人もいると言います。

しかし、カンボジア政府や事業主は、住民の訴えを真摯に受け止める気配がありません。事業は、カンボジアのロイヤルグループ、中国の企業ハイドロランチャン・インターナショナル社とベトナム発電公社の出資で進んでいます。中でも、ハイドロランチャン・インターナショナル社は51%を出資する模様です。メコン・ウォッチでは、今後も引き続き現地の状況をお伝えしていきます。

以下、クバールロミア村の住民のプレスリリースを日本語訳でご紹介します。

ダム影響住民が「川のための国際行動デー」に参加し、北東カンボジア ストゥントレン州のセサン下流2ダム事業に反対を訴える

(2015年3月14日付、原文は英語)

[北東カンボジア、ストゥントレン州、セサン郡]2015年3月14日(土)、北東カンボジアストゥントレン州のクバールロミア村に暮らすプノン先住民族約140名が、「川のための国際行動デー」のアクションに参加しました。彼ら/彼女らはセサン下流2ダムの影響住民です。村人たちは、生活や生計の糧である川や自然資源がLS2から被る深刻な影響に対し、懸念を訴えました。

イベントの冒頭、村人たちは日々の生活を支えてくれている川の精霊に感謝を伝え、また、未来の子孫のために川を守ってくれるよう祈りを捧げました。

村の長老Nhoy Sro氏は、「川は非常に重要だ。何世代にもわたる村での生活を支えてきてくれた。 魚や水などの豊かな自然資源をもたらしてくれる。」と川への想いを語りました。また、村の若者たちに向かって「あなた達が川を守っていってほしい。若いあなた達から行動を起こすべきだ。川を失うことは、全てを失うことだ。生活も将来も、全てが無くなってしまう。一緒に川を守ろう」と訴えました。

クバールロミア村はLS2の貯水池に水没します。LS2はセサン川とスレポック川の合流地点から約1.5km下流、両河川がメコン河本流と合流する約25km上流に位置します。7か村が貯水池に水没し約5,000名が移転を余儀なくされると言われていますが、影響はダムの上流を含む広範囲に及ぶとみられています。支流ダムとして扱われていますが、建設されればトンレサップ湖やメコン河下流域全体の漁業や生態系に甚大な影響を及ぼす恐れがあります。専門家の試算では、このダムによって、メコン河流域に生息する魚類の9.3%が減少するとされていますが、これは1年間で約20万トン分の漁獲量に相当します。

イベントの主催者の一人、Dam Samnang氏は「私たちは川を遮断するLS2を非常に不満に思っている。 この事業は川を破壊する。私たちはカンボジア政府と事業主体の民間企業に対し、建設工事の即刻中止と、事業が私たち村人や、女性や子ども、貧困層を含むカンボジア人全体に与える計り知れない影響を鑑み、事業自体を中止することを強く要求する。」と述べました。

Dam Samnang氏はまた、イベントを振り返り、「今年、初めて“川のための国際行動デー”に参加しました。この日は、川が私たちにとってどんな存在であるのかを改めて考えるのにとても良いきっかけになりました。子どもたちも楽しんで参加していました。これから毎年この日のアクションに参加したいと思っています。」と語りました。

住民たちは最後に、「川は誰か個人の物ではない。私たちみんなの物だ。みんなで守ろう!私たちの大切な宝物、スレポック川を破壊させてはならない。川は私たちの命だ!」と叫び、イベントを締めくくりました。


【1】 川のための国際行動デー(International Day of Action for Rivers)は、1997年3月にブラジルで開催されたNGOとダム影響住民による国際会議の場で制定された。ブラジルの反ダム運動の日が3月14日だったことから、破壊的な開発事業に抗議し、川の健全な流れを取り戻し公正で持続可能な流域管理を求める行動を世界で一斉に行う日と定めたもの。詳しくはこちらをご覧ください。

【2】 LS2について、詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.mekongwatch.org/report/cambodia/LowerSesan2.html

 

(文責/翻訳 メコン・ウォッチ)

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