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メコン河開発メールニュース2015年4月8日
メコン河本流の中国より下流部分で2つ目のダムの建設が進もうとしています。ラオス南部で計画されているドンサホンダムは、流域の持続的発展の調整機関として作られたメコン河委員会(MRC)の設立時の協定で定められている「通知、事前の協議および同意の手順(PNPCA)」での協議を終え、建設を進めようとしています。期間中、協議そのものがダム建設を進める口実になることを批判し、複数のタイの住民グループや国際NGOが公聴会への参加をボイコットしました。それだけでなく、ラオスを除く3か国政府代表からも懸念が表明されています。
メコン河は1100種以上の魚が生息する生物多様性の豊かな河であり、世界最大の淡水の漁場でもあります。ドンサホンダムは、希少種である淡水のイルカの仲間(カワゴンドウ)のラオスで唯一の生息地のすぐそばに建設されるだけでなく、魚の回遊にも甚大な悪影響を与えることが懸念されています。また、世界最大の穀倉地帯のひとつ、ベトナムのメコン・デルタへの影響も明らかにされていません。
現在、協議はMRCの閣僚級会合に持ち越されていますが、ラオス政府は建設に向けて着々と準備を進めています。
この事業はマレーシアのメガ・ファースト社によって実施されますが、ダム付帯工事を中国のシノハイドロ社の関連会社が行っており、今後の中国の関与が取りざたされています。
以下に、MRCの協議が不十分であると伝えるベトナムのVietnam Net Bridgeの記事の翻訳をお届けします。
2015年2月6日
『VietNamNet Bridge』
ベトナム、タイ、カンボジアの代表団は、ラオスのドンサホン水力について開始する前に6か月から1年間の追加協議プロセスを設けるべきだと提案した。
1週間前に終了した(ドンサホン)ダムのリスクと利益に関する6か月間協議を評価するため、先週ラオスの首都ビエンチャンで開催されたメコン川委員会(MRC)の合同委員会で、この案は提案された。
今までの国家や地域レベルの協議プロセスでは、事業の投資家によって提供された情報が、統計情報や、プロジェクトの負の影響を最小化するための措置、特に魚の回遊への解決法を欠いていることを示した。
ラオスは2013年9月、ドンサホン水力発電ダム事業の実施を発表した。これは、隣国(ラオス)によってメコン河本流に建設される2番目のダムとなる。
ダムは260MWの水力発電所のために、十分な水を供給する機能を持っている。だが、多くの専門家が、魚の回遊や生物多様性への越境影響を挙げ、建設への懸念を表明している。
先週の水曜日の会議でカンボジア代表団は、下流域への事業の環境·社会·経済影響の慎重な評価を求めた。加えて、MRCメンバーとそのパートナーによる綿密な研究と詳細な越境影響評価のため、更に多くの時間を必要とすると要求した。
タイは、正負の影響を精査し、かつ適切な解決策のための追加データや情報を求めた。また同国は、生物多様性、魚の回遊やタイの人々の生活への懸念を表明した。
ベトナム代表団は、漁業や(メコン・デルタの)沖積層について、また投資家により実行される影響緩和策の効率について、さらなる情報提供を求めた。
影響を受ける国だけでなく、多くの地域及び国際NGOがドンサホンダム建設への懸念を表明している。
しかしラオスは、プロジェクトの協議プロセスは終了したと述べた。
代表団は評価のため、MRCの国際協議会へ事業のデータを提出することで合意した。
(翻訳・文責 木口由香/メコン・ウォッチ)