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ビルマ・ダウェイ経済特区>ビジネスと人権(2)タイ国家人権委員会:企業による人権侵害を報告

メコン河開発メールニュース2016年5月25日

ダウェイ経済特区(SEZ)の開発は、2008年にミャンマー、タイ政府によって基本合意され、その後2010年に、タイの大手建設会社のイタリアン・タイ・デベロップメント(ITD)社がミャンマー政府より開発事業権を獲得したことで始まっています。事業は、ITD社(75%)とマックス・ミャンマー社(25%)の出資で作られたダウェイ・デベロップメント社が進めてきました。 (日本の公的機関はダウェーと表記しています)

ITD社の構想では、現在は農村地域である予定地に、工業団地20,451ヘクタール(日本第2位の湖面積を持つ霞ヶ浦とほぼ同じサイズ)を開発、深海港、造船場、石油精製コンプレックス、製鉄所、肥料・石油化学工場、パルプ・製紙工場、中・軽工業工場、発電所等を建設するという壮大なものです。また、SEZ地域外の関連インフラ事業には、SEZとタイを結ぶ国際幹線道路連結事業、SEZへの水供給を目的とした大型貯水ダム事業もあげられています。

しかし、タイの建設最大手のITD社であっても、これだけの巨大な事業規模を1社で担うことはできず、同社は資金調達に失敗し計画は頓挫しました。2013年には、両国政府の同比率の出資で特別目的事業体(SPV)が結成され、同社は同年11月にその開発権を喪失します。

ビジネスサイドから見たこの間の経緯は、こちらの記事に詳しく紹介されています。
「日本が協力を表明したミャンマー・ダウェー経済特区のポテンシャリティとは!?」

 (リンクは2016年5月24日に最終アクセス)

 

一方、開発権を喪失する前、すでに、ダウェイ・デベロップメント社は関連アクセス道路の整備、2車線の道路開発(ダウェイSEZからミャンマー・タイ国境のティーキー・プーナムロン検問所までの道路)、SEZ内の一部整地、移転地の整備などを進めました。その中で同社は、住民に対し事前に情報開示や協議を十分に行わず、立ち退きの際の補償は一部で支払われているものの不十分、かつ住民にとって不公平なもので、更に、工事による環境の改変で地元の農業や漁業に大きなダメージを与える、といった大問題を引き起こしていました。

現地NGO、ダウェイ開発連合(DDA)は住民と協力して被害状況を調査し、その結果を「現場からの声:ダウェイ経済特別区および関連事業に関する懸念」にまとめ2014年に発表しました。
報告書は こちら http://www.ddamyanmar.com/?p=811f です(英語)。

また、同調査結果の発表に先立つ2013年3月5日には、DDAとタイのNGOが共同で、タイ国家人権委員会(NHRC)に対し「事業に関連した人権およびコミュニティ権の侵害に対する懸念」について苦情を申し立て、受理されました。NHRCは、1997年タイ憲法に基づき起草された国家人権委員会法に従い1999年に設置されたタイの独立機関で、タイの憲法およびその締結する国際条約の定めに従い人権を促進し擁護する活動を行うものです。その活動は「人権尊重の促進」「人権侵害行為の検証」「国の人権状況に関する年次報告書の提出」「法律や規則の改正の提案、政策提言」など多岐に及びます。また、NHRCが発行する報告書は人権侵害の証拠としてタイ国内の裁判でも採用されています。


NHRCの委員は2013年6月にダウェイ現地を訪問、2015年11月23日に調査報告書を完成させ、同12月25日、事実関係とNHRCの意見および政策勧告を含む報告書「コミュニティの権利 タイ政府が開発の覚書を交わしているミャンマー連邦共和国内ダウェイ深海港、経済特区事業におけるダウェイ住民に対する人権侵害(2015年11月23日付)」をタイの内閣に提出しました。


NHRCはITD社による人権侵害があったことを認め、ITD社が主張する、開発権の喪失による責任の消失という主張は認められない、とも指摘しています。

報告書原文はタイ語で、既に関係者に公開されており、訴えを起こしたDDAはタイの市民の協力でこれを英訳しています。

人権委員会の報告書の全文英訳とサマリー(非公式版)はこちらです。
全文

サマリー

この報告書は、ITD社がこれだけの大事業において環境アセスメントを実施せずに工事を開始したことも明らかとしました。次回はこの環境アセスメントの不備について、ご紹介します。

(文責 メコン・ウォッチ)

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