ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ラオス > セピアンセナムノイダム > ラオス>セピアン・セナムノイダム決壊事故(3):事故を巡る各国の報道
メコン河開発メールニュース2019年4月22日
2018年7月23日にラオス南部で発生したセコン川水系に建設中のセピアン・セナムノイ水力発電ダム(以下XPXNN)について、これまで公表された情報と現地訪問で得られた情報を合わせ、7回にわたってお伝えします。3回目は、事故後の各国の報道についてです。
(リンクは全て、Youtubeなど外部サイトに移動します。ご注意ください。)
ニューヨークタイムズは、事故後すぐに現場に記者を送り、ドローンを使うなどして現場の状況を記録しました。「ダム崩壊後のラオスに残されたもの」と題された映像はこちらで公開されています。
What's Left in Laos After a Dam Collapsed
こちらは、タイ3チャンネルの報道「ラオス・アッタプー県の災害現場をたどる」。タイ語ですが、XPXNN貯水池周辺の様子がよくわかります。最初に出てくる土砂崩れは、XPXNNの事故現場ではなく、フアイホダム付近でおきたものです。
https://www.youtube.com/watch?v=Q7VUjZPUFOw
公共放送タイPBSは事故後、2週間ほど現場に記者を派遣し、救助の状況を詳しく報道しています。You tube 上には以下を始め多数の記録があります。使用言語はタイ語です。
https://www.youtube.com/watch?v=sjm5hqUPK5Y
タイの写真家、ルンリット・コンムアンさんは、事故後すぐに現場に入り撮影、Way Magazineというネットメディアで写真を公開しています(記事はタイ語)。
被害を出した原因企業であるSK Engineering and Construction (SK建設)は韓国の財閥企業です。韓国でもこの件は大きく報道されています。前述のルンリットさんの写真は、雑誌Sisainに掲載されました。同誌のチームは、その後ラオスでの取材も行っています。
BBCは、2018年7月25日の「ラオスのダム決壊、数十人死亡 6600人以上が家失う」というニュースで、事故に至るまでの状況を以下のように記載しています。
https://www.bbc.com/japanese/44948159
22日午後9時(日本時間同11時)― 「サドルダムD」に部分的な破損を発見。当局が通報を受け、近隣住民の避難開始。修理チームがダムに向かうが、豪雨のため作業難航。豪雨で複数の道路も被害を受けている。
23日午前3時(日本時間同5時)― 亀裂の入ったサドルダムDの水位を下げるため、主ダム(セナムノイ・ダム)の1つから水を放出。
23日正午(日本時間同午後2時) ― ダムの破損状態が悪化する危険の知らせを受け、州政府は下流の住民にも避難を命令。
23日午後6時(日本時間同8時)― ダムの亀裂拡大を確認。
24日午前1時半(日本時間同3時半)までに― サドルダム近くの村が冠水。午前9時半までに、7つの村が冠水。
日本のメディアでは、朝日新聞の記者が事故後すぐ現場に入り、その後も取材を続けています。紙面で事故状況が報じられた他、ネットメディア上で現場写真や詳しい状況が掲載されました。
「アジアの最貧国」でダム決壊。記者が現場で訪れて見えてきたこと?ダム開発に頼らざるを得ない国の現状と、それにほんろうされる、ダム周辺の村人たちの姿
ここでは、国家ではなく民間が主導する事業であったため、国連等も支援がしにくい状況が生まれ、被害者が不当な状態に置かれていることなども伝えられています。
次回は昨年12月の現地状況をお伝えします。
(文責:メコン・ウォッチ)