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被害を受けた家屋 (2018年12月)
事業の移転計画によると、貯水池のできるチャンパサック県と、施設のできるアッタプー県で2337人が移転、153世帯が農地を喪失するとされた。実際は20年以上前に、貯水池の予定地で焼畑を中心とした農業で生活していたニャフン(Nya Heun またはHeuny)民族、約3000名の人たちが移転を強いられた。この移転地での農業に失敗し、元の場所に戻った人もいる。
ダムの建設が進んでいた2018年7月23日、折からの大雨がきっかけとなり、貯水池の補助的なダム(サドルダムD)が決壊、50億立法メートルとみられる水が、大量な土砂と共にアッタプー県のセピアン川に流れ込んだ。十分な情報を得られず避難が遅れた川沿いの住民、14,000名以上が家屋や農地に被害を受けた。そのうち、特に甚大な被害の出た6村では、7000名以上が家を失い、71名の方が死亡・行方不明となっている。被害はセピアン川が流れ込むセコン川流域でも広がり、カンボジア領内の5600名も避難する事態となった。家を失った住民は、雨季に数ヶ月のテント生活を強いられ、2019年3月時点で、約3750人が避難所生活を送っている。ラオス政府は移転地の造成と住居の建設に4年から5年はかかるとしている。
韓国企業、タイ企業、ラオス国営企業の共同出資によって進められてきたBOT(build-operate-transfer)事業で、企業が建設も含め32年間操業した後、ラオス政府に移管される。発電所の発電能力は410メガワット、発電した電気の9割はタイに輸出される予定。ファイマクチャン、セピアン、セナムノイという3つの川を堰き止め、ボロベン高原上に2つの貯水池を作り導水、高原の高度を利用して発電する。