ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ラオス > セピアンセナムノイダム > ラオス>セピアン・セナムノイダム、サドルダム決壊は「不可抗力」ではないとラオス政府が発表
メコン河開発メールニュース2019年5月31日
これまでお伝えしてきたように、ラオスでは、2018年7月に大規模なダム決壊事故が起こっています。
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セピアン・セナムノイダム決壊事故についてラオス政府は5月28日、事故原因の原因究明委員会下の専門家パネルが、事故は不可抗力ではなかったと結論づけた、という記者発表を行いました。しかし、会見は国内記者のみで海外メディアには事前に伝わっておらず、公開された情報は限られています。ラオス政府が調査報告書自体を公表するか、今後どのような手続きをとっていくかなども不明です。
記者会見の様子を報じたLao Economic Daily(ラオス語)のニュースを匿名の協力者が翻訳してくださいましたので、以下にご紹介します。
一方、韓国国内では、工事を担当していたSK建設が専門家パネルの結論は科学的根拠に欠ける、として反発していることが報じられています。
中央日報:「ラオス補助ダム崩壊、防げた」という発表に韓国建設会社「同意できない」
https://japanese.joins.com/article/878/253878.html
この、中央日報の記事でSK建設は「深層的かつ追加的な検証を通じて、すべての専門家が同意できる結果が導き出されるように最善の努力を尽くす」、「当社は今回の結果発表とは関係なく、過去10カ月間行ってきたように、被害の復旧と補償のために最大限の努力を尽くす」と発言しています。しかし、現場の状況は昨年12月にメコン・ウォッチが現地訪問をした時から大きくは変わっていないと見られ、また、被災者は不自由な避難所生活を強いられています。しかも、「補償」は死亡者の遺族へ支払われたのみです。
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発表!セピアン・セナムノイダム、サドルダム決壊原因は「不可抗力」ではない
Lao Economic Daily 5月28日
https://laoedaily.com.la/52378/?fbclid=IwAR1FqttMedQB5eE3iR4zHslnp4fezZxjfGdUg7xcWXyfXRoXHsk3-_YDi54
政府監査機関副主席・原因究明委員会副委員長は原因について説明を行った。説明では、サドルダムDの決壊の前に連日の降雨が見られたが、決壊の時点では貯水池の水位は堰堤より低かった。したがって、結界の原因をForce Majeure(不可抗力)でと呼ぶことができないとした。
5月28日、首相府で開かれた記者会見には、シンペット・ブンサワッティパン政府監査機関副主席・首相合意54号国家原因究明委員会副委員長や韓国大使館代表らが出席した。
シンペット副主席によると2018年8月8日、ラオス政府は、政府、ラオス国民、国際社会や他の関係者に報告するための、セーピアン・セーナムノイダムサドルダムD決壊の原因究明委員会(または国家原因究明委員会)を設置し、副首相・政府監査機関主席を委員長とした。
Dダムの決壊の原因究明を公正で事実に基づき、透明に実施するために、政府は国家原因究明委員会の設置と同時に、国際的に有名な専門家を招き、独立専門家委員会(The Independet Expert Panel:IEP)を設置した。委員は、スイスにある国際大ダム会議(ICOLD)名誉理事長Anton J. Schleiss氏、同元副理事長でモロッコのAhmed F. Chraib氏、同副理事長でカナダの Jean-Pierre Tournier博士で構成されている。
また、「政府は外国の多くの機関へと調査を依頼した。ラオス政府は韓国の建設会社も調査に協力したと理解している」とした。
IEPは、関係機関からの情報分析、現場観察を8月から、またIEPの指導による再調査を実施し、最終報告書を国家原因究明委員会へ2019年3月20日に提出した。
IEPによる最終報告書では、Dダムは連続した降雨の後に決壊したが、決壊時のダムの水位は満水時より低く、このためコンセッション契約で定めた不可抗力であるとは結論出来ないとした。
さらにIEPは、決壊の主な理由は、サドルダムDの基礎の崩壊しやすい土の部分に水が浸透し微小な水の通り道が出来て繋がり、同時に貯水池の水位が上昇し更にサドルダムDの基礎部分へ水の浸透が増加したこととした。これにより、基礎部分に崩落が起き、ラテライト土壌の軟化を招いた。崩落と土壌の軟化により安定性を欠いた状態が一定の基準を超え、サドルダムDの上層部がDeep Rotational Sliding(深層円弧すべり)を起こした。これに続いてダムの崩壊が起こり、大量の水が貯水池から流出した。サドルダムDの基礎部分が今回の事故に関連している。
(文責:メコン・ウォッチ)