ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ベトナム・石炭火力発電>ブンアン2は支援せずパリ協定に日本も足並み揃えるべき
メコン河開発メールニュース2020年1月30日
地球温暖化による気候変動の影響は顕著になっており、オーストラリアで続く大規模な森林火災については、日本でも断続的に報道されている通りです。
パリ協定の1.5度目標【1】を達成するためには、すでに新規の石炭火力発電所を建設する余地はないとされています。しかし2015年の協定採択後も、日本政府はベトナムのビンタン4拡張、ギソン2、バンフォン1といった石炭火力発電事業に、国際協力銀行(JBIC)の融資や日本貿易保険(NEXI)の付保という形で支援をしてきました。このようなパリ協定と矛盾する姿勢をとっている日本は、昨年9月に開催された国連気候行動サミットでスピーチの機会を与えられず【2】、また、昨年12月のCOP25開催中、不名誉な「化石賞」をNGOから2度も贈られ【3】、その後ろ向きの姿勢を国際的に広める結果となっています。
現在、日本政府はベトナム・ブンアン2石炭火力発電事業への支援を検討中ですが、今年2020年はパリ協定が本格的に始動する年です。1.5度目標に向かって、締約国197ヵ国が一致協力して進んで行こうとしている最中に、日本政府がこれまで同様に石炭火力発電事業を推進していたのでは、協定の出鼻をくじき、国際社会の信用を更に失うことになりかねません。
石炭火力発電事業は二酸化炭素の排出に止まらず、各地で環境破壊や健康被害も引き起こしています。少なくとも、パリ協定に鑑みて、日本政府はブンアン2の支援はすべきではなく、1.5度目標に向かって足並みを揃えるべきです。
注
【1】 パリ協定第二条1(a)「世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏二度高い水準を十分に下回るものに抑えること並びに世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏一・五度高い水準までのものに制限するための努力を、この努力が気候変動のリスク及び影響を著しく減少させることとなるものであることを認識しつつ、継続すること。」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000197312.pdf
【2】 気候ネットワーク2019年9月24日プレスリリース「日本政府、国連気候行動サミットで対策強化の約束示せず 石炭依存の政策方針が足かせ。国連気候外交への関与の機会失う」
https://www.kikonet.org/info/press-release/2019-09-24/unca-summit
【3】 日本経済新聞:脱石炭示さぬ日本に再び「化石賞」COP25で環境団体(2019/12/12)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53249590S9A211C1CR0000/
メコン・ウォッチは、日本の官民による石炭火力発電事業の推進に対し、中止を訴えて来ました。その要請書等はこちら。
http://www.mekongwatch.org/report/vietnam/coal.html
また、ベトナムの電力状況につきまとめた情報はこちらです。
http://www.mekongwatch.org/PDF/Vietnam_Energy_FS.pdf
(文責 メコン・ウォッチ)
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