工業化等に伴い、電力消費が伸びているベトナムでは、水力・火力・再生エネルギーによる新規の発電事業が多数計画されています。火力のうち、特に石炭火力発電については大量の温室効果ガスを排出するため、世界で自然エネルギーへの転換が図られています。しかし、ベトナムではその流れに逆行し、石炭火力発電事業が推進されています。そこには、日本の開発機関であるJICAや、公的金融機関であるJBIC、貿易保険を提供するNEXIが深く関与しています。
温室効果ガスの問題だけでなく、石炭火力発電事業に起因する問題は多数あります。例えば、排出される微粒子(PM)や水銀などの公害物質、石炭灰の飛散等による農業や製塩業等への影響、温排水による事業地周辺の海水や河川の水温上昇、それによる生態系や漁業への影響、複合汚染による健康被害、生計手段の喪失、事業地からの非自発的住民移転をめぐる諸問題などです。
バンフォン1石炭火力発電所の建設予定地付近