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クーデター前、2019年に国連が国軍の経済的利益について報告書

メコン河開発メールニュース2021年2月24日

 

2月1日に国軍によるクーデターが発生してから、ミャンマーでは市民の不服従運動が続いています。クーデター発生当日にメコン・ウォッチでは以下の声明を発出しました。

【声明】ミャンマーの国軍による非常事態宣言に強い懸念
日本政府は同国の真の民主化へ更なる働きかけを
http://www.mekongwatch.org/PDF/rq_20210201.pdf

また、インターネットなど現代において基本的なインフラである通信が、国軍によって断続的に遮断されていることから、人権配慮を求める以下のリリースを発行し、ミャンマーで通信事業に参画するKDDI、住友商事に送付しています。送付後、両社からはそれぞれ、人権と関係者の安全に配慮し情報収集を進めながら対応するという、短い返答がありましたが、残念ながら市民団体の要望に応えてくれているのか不明です。

【プレスリリース】
「国軍の遮断命令に抗議を」ミャンマー市民団体が通信各社に呼びかけ
通信事業に関与してきた日本の官民は人権侵害回避に向けた対応を
http://www.mekongwatch.org/PDF/pr_20210208.pdf

以下に、 2月1日の声明に引用した「ミャンマー国軍の経済的利益についての報告書」について紹介します。

同報告書は国連のミャンマーに関する事実調査団の一連の調査報告の一つで、国軍を裨益している企業として、日本企業もリストに掲載されています。報告には、一部企業の反応も掲載されています。またキリンは、報道されているように国軍関連企業との提携を解消すると発表しています。

この報告書には記載されていませんが、日本の官民が関与して国軍の兵站局に莫大な賃料を支払っている、ヤンゴン都市開発事業の問題も、メコン・ウォッチでこちらにまとめています。後日、新たにわかったこともお知らせする予定です。

ヤンゴン市内都市開発(Y Complex事業)
http://www.mekongwatch.org/report/burma/ycomplex.html


***
国連のミャンマーに関する事実調査団(以下「調査団」)は2019年8月5日、ミャンマー国軍の経済的利益についての報告書(”The economic interests of the Myanmar military”)を発表した。

この報告書は、ミャンマー国軍がその所有会社や外国企業との取引を利用して少数民族に対する残虐な軍事作戦を支えている実態を初めて詳しく明らかにした。報告書によれば、ミャンマー国軍が国内外の商取引から得る収入が、同軍が深刻な人権侵害を行う能力をおおいに高めている。調査団は国際社会に対し、ミャンマー国軍と、同軍が支配し利用する諸企業が構成する広大なネットワークとの関係を断つよう求めた。

ミャンマー国軍はミャンマー・エコノミック・ホールディングス・リミテッド(MEHL)とミャンマー・エコノミック・コーポレーション(MEC)の二つの会社を所有、経営している。調査団によれば、MEHLおよびMECと両社の子会社がミャンマーで文民が所有するどの企業よりも多額の収入を生み出している。

報告書によれば、14の外国企業がミャンマー国軍関連企業とジョイントベンチャーを組んでおり、少なくとも44の外国企業がその他の形でミャンマー国軍関連企業と商業関係を持っている。調査団は報告書の結論部分で、「ミャンマー国軍とその所有会社であるMEHLやMECが参加する外国企業の活動はすべて 、国際人権法や国際人道法の違反の一因となる、またはそれらの違反と関連づけられる危険性が高い」と述べる。

報告書の付録には、ミャンマー国軍とその活動に貢献する、またはそれらから利益を得ている国軍関係の企業やミャンマー国内外の企業の一覧が含まれている。このうち日本の企業または日本の企業の子会社などの記載があるのは次の四項目である。

・2017年8月にラカイン州北部でロヒンギャ住民に対して始まったミャンマー国軍の「掃討作戦」を支援するためにミャンマー国軍の求めに応じて寄付をした企業(付録IV)
   キリンホールディングス
   東洋タイパワーミャンマー

・MEHLまたはMECのジョイントベンチャーパートナーである外国企業(付録V)
   日本ミャンマー開発機構株式会社
   キリンホールディングス

・MEHL及びMECと契約関係または商業関係にある外国企業(付録V)
   JCB
   日新運輸株式会社が所有するNisshin (Myanmar) Co Ltd

・ミャンマー国軍が軍事目的で軍民両用の物資や技術を調達または調達しようとした民間企業(付録VI)
   アイコム株式会社
   株式会社ニコン

報告書は投資家や企業に対し、ミャンマーで活動している、またはミャンマー企業との取引やミャンマー企業への投資をしている企業は、ミャンマーの治安部隊、特に国軍、またはそれらが所有もしくは支配する企業といかなる形の取引関係を始めるべきでも、続けるべきでもない、と勧告する。さらにミャンマー国軍への直接の、またはミャンマー企業との取引関係を通じた出資や寄付その他の資金提供を禁じるべきであるとも勧告している。

 

<参考リンクなど>

*国連のミャンマーに関する事実調査団は2017年3月、ミャンマーの国軍と治安部隊による人権侵害の実態を調査するために国連人権理事会によって設立された。

国連のミャンマーに関する事実調査団のページ
https://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/MyanmarFFM/Pages/Index.aspx

報告書 “Economic interests of the Myanmar military”(2019年8月5日)
https://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/MyanmarFFM/Pages/EconomicInterestsMyanmarMilitary.aspx
*一部企業からの反応も掲載。

上記報告書の訂正一覧(2019年8月9日)
https://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/FFM-Myanmar/EconomicInterestsMyanmarMilitary/Update_FFMM.pdf

報告書発表時のメディア向けリリース(2019年8月5日)
https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=24868&LangID=E

 

(文責:メコン・ウォッチ)

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