ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > ミャンマー >「制裁を科すべき」リストに日本企業や日本人理事も
メコン河開発メールニュース2021年3月31日
ミャンマーでは、2月1日のクーデター以降、非暴力で国軍の権力掌握に抗議する市民に対し、「治安部隊」による虐殺・暴力行為が続き、既に500名以上が亡くなっています。この中には家にいた7歳の少女も含まれています。拘束された先で死亡した国民民主連盟(NLD)メンバーの遺体には、拷問の跡がみられると報道されており、常軌を逸した状況です。恣意的に拘束されている人は2000名を超えています。しかし、この残虐行為は、ミャンマーが「民政化」したとされた時期でも、少数民族地域では変わらず続いていたことです。
国軍の行為を止めるためには、資金源を断つことが有効な手段となります。このリストに上がった個人はもとより、国軍ビジネスと「重大な商業関係にある企業」も、ミャンマーの市民、そして世界から厳しい目を向けられており、自らの行為に説明が求められています。また、国軍の指示する残虐行為を終わらせるために、自らが重要な役割を担っていることを強く自覚していただきたいと思います。また、ミャンマーで事業を行う各社は、合弁先やサプライチェーンに、これらの企業がないか早急に精査し、対策を取るべきです。
既に、日本の政府開発援助(ODA)事業のバゴー橋建設では、横河ブリッジとミャンマー経済公社(MEC)の子会社である、No. 2 Steel Mill And Fabrication Shop (Myaungdagar)との関係が内部告発という形で報道され、ミャンマーの市民の怒りを買っています。
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20210327_01.html
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国軍のビジネス等を調査してきた団体「ジャスティス・フォー・ミャンマー(JFM)」は、国際社会が対象限定型制裁を科すべきとするミャンマーの企業や関係者のリストを発表しています。(当初2021年2月4日に発表、その後更新を経て最新版は3月8日付)
3月8日付のリストには、国軍が所有する企業132社とその理事170人、それらと重大な商業関係にあるミャンマー内外の企業138社、そしてクーデター後、国軍の支配下に入った国有企業32社が掲載されています。
リストは「国軍所有企業」「国軍所有企業の理事」「重大な商業関係にある企業」「国有企業」の四つに分類されています。このうち「国軍所有企業」にはミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)とキリン・ホールディングスとが合弁で経営するミャンマー・ブルワリー社とマンダレー・ブルワリー社が、また「国軍所有企業の理事」にもミャンマー・ブルワリー社とマンダレー・ブルワリー社の理事として日本人6人が掲載されています。
さらに「重大な商業関係にある企業」にもJCB、キリン・ホールディングス、オークラニッコーホテルマネジメント、Y Complex、Nisshin (Myanmar)(日新運輸株式会社が所有)など日本の企業7社が掲載されています。JFMによれば、掲載情報は主として投資企業管理局(DICA)を通じて入手した記録に基づいているとのことです。
このほか、「国有企業」については、以前は文民による監視下にありましたが、2月1日のクーデター後は国軍の支配下に入ったため国軍にとって重要な収入源となる、とJFMは述べています。ここには日本の株式会社TASAKIの合弁相手であるミャンマー真珠公社(MPE)が含まれています。
JFM作成のリスト(2021年3月8日付の最新版)
*テキストの下にエクセルファイルへのリンクがあります