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ミャンマー>JBIC「質高インフラ環境成長ファシリティ」案件Y コンプレックスに関するリーク情報

メコン河開発メールニュース2021年5月31日

 

ミャンマーでは、国軍がクーデターを起こしてから4ヶ月がたちました。国軍による市民の弾圧が続いていますが、人びとの抵抗は続いています。

国軍の資金源を断つための様々な調査・提言活動を続けている活動家グループ、ジャスティス・フォー・ミャンマー(JFM)は、昨年5月に日本企業が公的資金の支援を受け建設中の大規模不動産開発事業の賃料が、国軍に流れている可能性が高いと指摘しました。

詳しくはこちらのファクトシートをご覧ください。
http://www.mekongwatch.org/PDF/Ycomplex_FS.pdf

以下に、3月下旬にJFMが発表したDDoSecrets(*)というサイトに掲載されたリーク情報に基づいた続報についてお伝えします。

*DDoSecrets(ディドゥシークレッツ)は2018年に立ち上がったNPOで、独裁者や石油会社、租税回避地等に関するリークされた情報をサイトに公開する。ミャンマーに関しては、ハッカーから提供をうけた、投資・企業管理局とミャンマー投資委員会の300Gバイトを超える情報が公開されている。
*Y コンプレックスは事業の通称名、かつ現地会社の社名です。

***
ジャスティス・フォー・ミャンマー
日本の政府と企業が土地賃料の支払いを通じてミャンマー国軍と関係

2021年3月24日

日本の政府機関と民間の投資団が、ミャンマー国軍に利益を生むヤンゴンの大規模不動産開発計画に何百万ドルもの資金を提供している。

総額3億2,000万米ドルのこの開発事業は「Y Complex(Y コンプレックス)」。ヤンゴン中心部のミャンマー国軍所有の歴史ある土地に建設中で、オークラ・プレステージ・ホテルのほか店やオフィスが入る予定である。

ジャスティス・フォー・ミャンマーが昨年報告したとおり、
https://www.justiceformyanmar.org/stories/y-complex
この土地は国軍が2013年にヤンゴン・テクニカル・アンド・トレーディング(YTT)という国内の民間企業に賃貸し、YTTがさらに Y コンプレックスに転貸したものである。

このたび新たにリークされ DDoSecrets が入手した文書によれば、Y コンプレックスに投資する日本の企業が、ミャンマー陸軍の兵站総局への土地賃料の準備と支払いに中心的な役割を果たしている。兵站総局長は武器の購入を担当する。これらの武器には、2021年2月1日のクーデター以降、国軍が平和的抗議者を故意に殺害する際に使われているものも含まれる。

日本のフジタコーポレーション、東京建物、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)がY コンプレックスの80パーセントを出資している。JOINは日本政府の監督下にある。
https://www.join-future.co.jp/english/about/shareholders/

日本からの資金の流れ

ジャスティス・フォー・ミャンマーはリークされた2017年12月付の Y コンプレックス社の土地賃貸借契約を検証した。契約によれば YTT には毎年216万3,000米ドルの土地賃料を国軍に支払う義務がある。

しかし契約によれば、YTT自体がこの支払いをする必要はない。国軍への支払いは、「賃料準備口座」というミャンマー国内の銀行口座から行なわれることになっており、この口座は YTT と Y コンプレックスが共同で管理している。

この口座には、兵站総局への将来の支払いに備えて十分な資金がなければならない。日本企業が80パーセントを所有する Y Complex はこの資金の大半を提供する義務があり、またこの口座から行なわれるすべての支払いを承認している。YTTがこの口座に提供しなければならない資金はこれよりもずっと小額である。

さらにジャスティス・フォー・ミャンマーが検証した文書によれば、YTTは自らの土地の所有分に対する頭金として2,480万米ドルを現金で、また Y コンプレックスの持ち分20パーセント(3,520万米ドルと見積もられている)も日本企業から受け取ることになっていた。

というわけで、日本側は土地の賃料をミャンマー国軍に直接支払っているわけではないが、賃料の支払いを間接的に管理し、そのための資金の大半を提供しているようである。

同じ文書について報じたロイターに対し
https://www.reuters.com/article/us-myanmar-politics-japan-insight-idUSKBN2BG0FF
日本の企業や政府の関係者は、賃料はミャンマー国軍ではなくミャンマー政府に支払われていると思っていたと述べた。日本の国土交通省は、ミャンマーの国防省が政府機関であるため「軍とは『直接的にも間接的にも』関係ないと判断していた」とロイターは報じた。

しかしジャスティス・フォー・ミャンマーはこの回答を信用できないと考えている。Y コンプレックスと YTT との間の賃貸借契約では、最終的な賃貸人が「陸軍司令官室、兵站総局」であると明示されているからである。契約には、土地の賃料は国防省に対して支払われると書いてある。国防省は国軍が支配している。

国軍は今から2030年までに土地賃料によって2,163万米ドルを得ることになる。リークされた収益予測によれば、これは同じ期間にYTTが配当金として受け取ると予想される2236万米ドルとほぼ同じである。日本側は2030年までに Y コンプレックス の配当金から8,940万米ドルを稼ぐと予想されていた。

Y コンプレックス への日本の出資者にとって国軍は無言のパートナーであると言える。国軍は配当金ではなく土地の賃料の形をとった収益を得ている。日本の出資者にはJOINを監督する日本政府も含まれる。

歴史ある建設用地

Y コンプレックスが建設中の土地には英国植民地時代にできた壮麗なジュビリー・ホールがあった。そこでは第二次世界大戦後にミャンマー初の憲法が起草された。

ジュビリー・ホールは独裁政権時代の1985年に取り壊され、土地を手に入れた国軍はそこに博物館を建てた。2013年、国軍はホテルやオフィスの建設のために土地をYTTに賃貸した。

YTTはタダ乗り?

YTTはミャンマーの複合企業であるアヤヒンターの子会社である。国軍と日本の投資者との間の仲介役を務めた YTT はたっぷりと報われている。YTTは事業用地の自らの所有分に対する賃料として毎年182万米ドルを得ている。これとは別に、日本側から現金と事業の持ち分を合わせて6,000万米ドル分も稼いだ。

これほど儲けているにもかかわらず、リークされた2017年12月付のジョイントベンチャー契約には、YTTは事業費用に対して「現金での…出資をする義務を負わない」と明記されている。契約上、YTTは、建設のために土地を片付けるなどのちょっとした費用を負担し、事業を進めるために政府や国軍と交渉するだけでよい。

3億2,000万米ドルの費用はすべて日本側が負担し、それに含まれる1億4400万米ドルの融資のうち4700万米ドルは日本の国有銀行であるJBIC:国際協力銀行(注:日本の政府金融機関)が出している。

Y コンプレックス事業を停止するべき

国軍がミャンマーの民間人を弾圧するなか、Y コンプレックス のような事業からの収入は違法の軍事支配や残虐行為を後押しすることになる。Y コンプレックス への投資者はただちに行動し、ミャンマー国軍の犯罪に加担するのを止めるべきである。具体的には、最低でもミャンマーに民主主義が復活し国軍が文民統制下に入るまでは事業を停止しなければならない。国軍財閥は解体されなければならない。

 

原文:
Land Lease Payments Tie Japanese Gov and Investors to Myanmar’s Military, Justice for Myanmar, March 24, 2021
https://www.justiceformyanmar.org/stories/land-lease-payments-tie-japanese-gov-and-investors-to-myanmars-military

本文で言及されるロイター記事:
「焦点:日本の官民連合、ミャンマーで不動産開発 土地賃料が国防省に」(2021年3月25日)
https://jp.reuters.com/article/myanmar-politics-japan-idJPKBN2BH0ZT

 

(文責:メコン・ウォッチ)

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