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ミャンマー>天然ガス開発には日本政府の権益も

メコン河開発メールニュース2021年6月11日

 

ミャンマーでは、4つの沖合の海洋上にある大規模ガス田(ヤダナ、ゾウティカ、シュエ、イェタグン)から生産される天然ガスが、外貨獲得に大きな役割を担っています。ミャンマーで生産される天然ガスは8割が海外(2016年でタイ75% 、中国25%)に輸出されています[1]。

2000年に生産を開始したミャンマー南部のイェタグン・ガス田は、天然ガスと随伴して生産されるコンデンセート(軽質液状炭化水素:ガスが液化したもので、性質は石油と同様)が生産されていますが、日本政府と企業がその権益を保有しています。割合は、オペレーター(事業主体)でもあるマレーシア国営企業のペトロナス・チャガリ社が40.9%、ミャンマー石油ガス公社(MOGE)が20.5%、タイ政府系のPTTエクスプロレーション・アンド・プロダクション(PTTEP)が19.3%、JXミャンマー石油開発が19.3%です[2]。イェタグンのガスはタイ石油公社PTTに販売され、100%タイに輸出され、タイ国内のラチャブリ発電所とワンノイ発電所の発電に供給されています[3]。独立系発電事業者(IPP)のラチャブリ発電所には、JERA(東京電力と中部電力の合弁)や豊田通商が出資しています[4]。ラチャブリ発電所は、2000年代初頭に、地元住民の大反対をうけて頓挫したヒンクルート石炭火力発電所が前身です[5]。

このJXミャンマー石油開発は、日本政府50%、JX石油開発40%、三菱商事10%(2013年から参画)の共同出資会社です[2]。日本政府の出資分は、多額の損失から強い批判を受け石油天然ガス・金属鉱物資源機構に改変された石油公団が保有していたものを、経済産業省が承継したもののようです[6]。

JXミャンマー石油開発は、1991年に、イェタグン・ガス田がある鉱区M-13、14、そして翌92年にM-12の権益を取得、探鉱を行い、埋蔵量の評価作業、パイプラインを含む生産・出荷設備の建設を行ない、同ガス田を開発してきました[2]。

ミャンマーでは、ガス田の生産時の生産分与契約(PSC)[7]の政府取分が6-9割と高い割合となっています。また一般的に、生産時に100米ドル/km2のエリア・レンタルフィー、年間10万米ドルのトレーニング・ファンド、12.5%のロイヤリティ、25%の所得税、輸出時の付加価値税8%等、政府に対して多くの支払い義務があります[8]。現在、MOGEが国軍の管理下にあることから、事業関連のこうした支払いは国軍を利することとなります。

報道によれば、今年4月、ペトロナス・チャガリ社は産出量が急減し技術的な限界値を下回ったことを理由に、不可抗力により契約続行が不可能と宣言し、生産を停止しています[9]。もともと、イェタグンのガスは枯渇が近いとみられてはいました[10]。しかし、過去、イェタグン・ガス田からの収入は、ヤダナのそれと共に、ミャンマー軍政を支える重要な収入源でした。これらが、今回の国軍によるクーデター発生後もガス生産停止前後に支払われていなかったか、また今後も支払われることがないのか、一切明らかではありません。日本政府、JX石油開発、三菱商事は、クーデター後、これらについて何ら発言をしていません。

イェタグンのガスの販売益は2000年以降、2011年までの間、ミャンマー国軍の支配を支える重要な財源となっており、かつ、日本企業がタイで実施する電力事業に使われ収益をもたらしていました。また、ミャンマーの天然ガス開発は、長く日本の関心を引いてきました。国際協力機構(JICA)の前身である、海外技術協力事業団は1963年に「ビルマ天然ガス資源開発計画調査」を実施しています。肥料生産やセメント工場に使用するため、当時のビルマ(ミャンマー)政府からの要請の調査となっていますが、詳しい地質調査などが行われたことが記録されています。このように、ミャンマーの資源開発には、日本の深い関与が見られるのです。


[1] 石油開発情報センター.「産油・産ガス国開発支援協力事業・人材交流事業ICEP ミッション(ミャンマー連邦共和国)報告書」2017年. 12p.
http://www.icep.or.jp/02_zigyou/jinzai_link/icep290131.pdf

[2] https://www.nex.jx-group.co.jp/project/southeast_asia/myanmar.html

[3] 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC).「ミャンマー大水深探鉱状況」.2017年.
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/_res/projects/default_project/_project_/pdf/7/7993/1707_m_myanmar_exploration.pdf

[4]https://www.jera.co.jp/business/projects/ratchaburi

[5] メコン・ウォッチ.【ストップ!ヒンクルート&ボーノーク】<第16号 トーメン撤退>. 2004年.
http://www.mekongwatch.org/report/thailand/hinkrut_shb16.html

[6] https://www.sekkoren.jp/pdf/oil_naturalgas_2020.pdf

[7] 石油・天然ガス開発会社がコントラクターとして産油国政府等から探鉱・開発を自身のコスト負担で請負い、コストの回収分及び報酬を生産物で受け取ることを内容とする契約のこと。

[8] JOGMEC. 「ミャンマーにおける天然ガス生産減少と上流開発投資の誘致に関する課題」.2018年.
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1004762/1007564.html

[9] 日本経済新聞. 「ミャンマー、外資がガス採掘相次ぎ停止 国軍資金に圧力」2021/4/19
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM08EAA0Y1A400C2000000/

[10] NNA. 「イェタグン天然ガス田、23年に生産停止へ」2019/12/19
https://www.nna.jp/news/show/1988182

(文責:メコン・ウォッチ)

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