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2021年4-5月の少数民族地域の被害状況

メコン河開発メールニュース2021年6月25日

 

ミャンマーで続く、国軍の市民に対する暴力はいまだに収まっていません。 少数民族居住地域で特に深刻な被害が出ています。
少し前の情報になりますが、カレン民族平和支援ネットワークとタイ・カチン女性協会(KWAT)からの2つのブリーフィングペーパーをご紹介します。

また、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の緊急アップデート(2021年6月15日)も、ミャンマーからの難民、庇護申請者およびミャンマー国内の避難民の発生状況や人数などをまとめています。
https://reporting.unhcr.org/sites/default/files/Myanmar%20emergency%20update%2015%20June%202021.pdf

***
ミャンマー国軍がカイン(カレン)州北部で激しい攻撃を行ない、7万人以上が避難民となっている状況について、カレン民族平和支援ネットワーク(KPSN: Karen Peace Support Network)が2021年5月25日にブリーフィングペーパーを発表しました。KPSNはミャンマーとタイで活動する30の団体が構成する市民社会ネットワークです。

ミャンマーでは現在、各地で少数民族武装勢力や市民の防衛隊と国軍との戦闘によって数万の国内避難民(IDP)が出ています。KPSNが発表したブリーフィングペーパー(”Terror from the Skies: Coup regime’s escalated offensives cause mass displacement across Mutraw”)には、昨年12月以降のカレン州北部の状況が詳しくまとめられています。

KPSNによれば国軍は2021年2月1日のクーデター以前からカレン州北部で砲撃を行なっており、2021年1月までに5,000人以上が避難民となっていました。クーデター以降も国軍による攻撃は続き、砲撃に加えて約25年ぶりに空爆も行なわれた結果、カレン州のムトロー(パプン)地区では国軍の攻撃より人口の90パーセント近くに当たる7万人以上が避難を余儀なくされています。

KPSNは、攻撃を逃れて国境を越えてくる避難民をミャンマー側に送り返すのを止め、避難民への人道援助の提供を認めるようタイ政府に求めています。また国際社会に対しては軍政への開発援助をただちに停止することなどを求めています。


報告書のページ(2021年5月25日)


報告書 (英語)

Terror from the Skies: Coup regime’s escalated offensives cause mass displacement across Mutraw(PDF)

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タイを拠点とするカチン民族団体のタイ・カチン女性協会(KWAT)が2021年6月16日、ブリーフィングペーパー(”Deadly reprisals: regime steps up attacks on civilians in retaliation for conflict losses in northern Burma”)を発表しました。2021年4月から5月までにカチン州の都市部と農村部、およびシャン州北部のムセー周辺で民間人に対して起きた人権侵害について詳述しています。KWATは海外のドナーに対し、援助が軍事体制を支えたり正当化したりしないようにすること、増加中の国内避難民のために国境を越えた人道支援を行なうことなどを求めています。
ブリーフィングペーパー「死の報復:ビルマ北部での紛争による被害の報復として、軍側は民間人への攻撃を強化」
カチン州のバーモとパカンでは、非武装の抗議行動者に対して治安部隊が実弾を使用し2人が死亡。国民民主連盟(NLD)党員や医師、記者、青年指導者など61人が逮捕された。ミッチーナ、モーニン、カマインでは若者がカチン独立軍(KIA)との関係を疑われて恣意的に逮捕され、拷問を受けた。
治安部隊による脈絡のない銃撃も起きている。モーガウン郡だけでもオートバイに乗っていたり葬儀に出ていたりした民間人に対する銃撃が4件あり、2人が死亡、3人がけがをした。
ミャンマー国軍とKIAとの戦闘が起きている農村部では、国軍が民間人に対して拷問、恣意的な銃撃、居住地域の砲撃などを行なっている。カチン州南東部では砲撃により村人9人が死亡、3人の子どもを含む15人がけがをした。これはKIAが付近で国軍の基地を奪い返すなどしたことへの報復だった。

民間人に対する攻撃が引き金となり、新たに6,000人以上の国内避難民(IDP)が、すでに1万以上のIDPがいたモーマウとバーモの町に逃げた。国軍兵士が避難民の元の家を占領し、食料や家畜を略奪している。他の地域でもIDPの数が増えているが、KIA支配地域については軍政が国内からのアクセスを遮断しているため、そこにいるIDPへの人道支援は国境を超えて行なうしかない。

タイ・カチン女性協会(KWAT)のプレスリリース(2021年6月16日)

報告書(英語)
Deadly reprisals: regime steps up attacks on civilians in retaliation for conflict losses in northern Burma

(PDF、全14ページ。ビルマ語版もあり)

(文責:メコン・ウォッチ)

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