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KDDI、住友商事が事業参画のMPT、インターネット上の監視に協力か

メコン河開発メールニュース2021年7月19日

 

ミャンマーでは現在、通信事業者としてノルウェーのテレノール社とカタールのオレドー社、ベトナム系のマイテル社、そして、ミャンマー郵電公社(MPT)が営業していますが、MPTの通信分野にはKSGM【KSGM (KDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.) : KDDIと住友商事がシンガポールに合弁会社「KDDI SUMMIT GLOBAL SINGAPORE PTE. LTD.」を設置、この合弁会社がミャンマーに子会社KSGMを設立】を通し、KDDI、住友商事が事業参画しています。先ごろ、テレノール社は、レバノンの企業に事業の売却を決めたと発表しています。

テレノール社の売却先企業は、人権侵害への加担が指摘されており、売却を見直すようアクティビスト・グループから批判を受けています。

ジャスティス・フォー・ミャンマーのページ:
https://www.justiceformyanmar.org/stories/telenor-myanmars-buyers-have-financed-atrocities-and-cosied-up-to-dictators

そこにさらに、驚くべき報道が流れてきました。以下にその記事を紹介します。

***
『フロンティア・ミャンマー』誌
「軍事体制による電話やインターネットの監視強化にMPTとマイテルが協力」
(2021年7月5日)抄訳

出典:Myanmar Frontier, “Junta steps up phone, internet surveillance – with help from MPT and Mytel,” July 5, 2021
https://www.frontiermyanmar.net/en/junta-steps-up-phone-internet-surveillance-with-help-from-mpt-and-mytel/

ミャンマー警察のサイバーセキュリティ・チームが国有および国軍所有のモバイル事業者と協力し、ユーザーをリアルタイムで監視し、軍事体制に反対する人たちを特定、追跡している。

ミャンマーの運輸通信省は2020年末、通話やソーシャルメディア使用を監視するためサイバーセキュリティ・チームを設立するようミャンマー警察隊に指示したと、このチームに所属する警官が匿名を条件に『フロンティア』誌に述べた。

新たに設立されたサイバーセキュリティ・チームはクーデターの約1カ月後に活動を開始した。上述の警官によれば、このチームは運輸通信省が導入した「AIシステム」によって特定のユーザーの通話やテキストメッセージや位置情報をリアルタイムで監視することができる。通話中に「抗議」「革命」など特定の言葉が使われるとシステムが自動的に通話を録音する。またその通話を確認できるように警察に通知が行き、必要があればそのユーザーに対する監視が強化されることもある。

上述の警官によれば、監視されているユーザー数はわからないが、相当数が監視されている。また、すべてのモバイル事業者がこの監視システムを採用しているわけではない。ミャンマーのモバイル事業者のうちこのシステムを導入したのは国軍を株主に含むマイテルと、ミャンマー国営郵電公社(MPT)である。MPTは日本の住友商事とKDDIとの共同事業である。

表現の自由を擁護する団体のフリー・エクスプレッション・ミャンマーによれば、2021年2月に行なわれた電子取引法の改正のもと、傍受できるデータの種類や規模には制限がなく、傍受されたデータの取り扱いについても明確な規定がない。

MPTの役員の1人は『フロンティア』に対し、MPTはユーザーのデータを警察のサイバーセキュリティ・チームに提供しているだけでなく、ユーザーの監視を劇的に強化したと述べた。この役員によれば、MPTは通話を監視するチームを設立し、システムが怪しい通話や特定の言葉を感知するとこのチームに通知する。「録音された通話が当局に提供されているかは分からないが…もはや電話での通話は安全ではない」とこの役員は述べた。

上述の警官とMPTの役員は2人とも、安全のために外国所有のオペレーターを使うほうがよいと述べた。MPTの役員はまた、モバイルバンキングなどのサービスを利用する場合にはVPNを使ったほうがよいとも述べた。「当局から、FTTHサービス(注:ファイバー・トゥ・ザ・ホーム。個人宅へ光ファイバーを直接引き込んだもの)を使っている人についての情報提供を求められることがある。過去にはこの情報を提供したあとでその人が逮捕されたと聞いたことがある」

上述の警官によれば、警察のサイバーセキュリティ・チームはインターネット使用も監視しており、とくにフェースブックの公開および非公開のグループを主に監視している。
「フェースブックのグループをどう監視しているかは言えない。こうしたグループで繊細な内容について話し合わないほうがいいとだけ言える」

通話やインターネット使用の監視はNLD政権下の運輸通信省によって始められたが、同省には当時も現在も多数の元軍人が配置されており、MPT役員によれば監視活動を推進したのが政府の国軍側なのか民間人側なのかははっきりしない。

NLD政権下の運輸通信省は「合法傍受」プログラムも始めた。これにより同省はモバイル事業者やISPのユーザーデータを直接入手できる。オープン・テクノロジー・ファンドが公開した予算関連文書によれば、2019年度に同省はこのプログラムで使う機器の購入のために400万ドル相当を受け取った。

NLDの議員も運輸通信省や国軍が支配する内務省からの予算請求を承認した。この予算により様々なデジタルツールが、多くは西側諸国の企業から購入された。クーデター後、これらのツールは軍事体制に反対している人に対して使われている。

シンクタンクの国際危機グループ(ICG)は最近の報告書で、4月に発足した「国民統一政府」(NUG)は、プライバシーを大切にし、自由で開かれたインターネットの確保を約束する政策を発表するべきだと提言した。ICGはまた、NUGは自らの立場を利用し、VPNを使うことの重要性などデジタルセキュリティについての意識を高めることもできると述べた。

しかしNUGの人権大臣であるアウンミョーミン氏はフロンティアに対し、国軍による電話やインターネット使用の監視に焦点を絞ることは、革命というより幅広い目的から注意をそらすことになると述べた。6月5日にNUGの通信情報技術大臣に任命されたティンリンアウン氏は印刷時までにフロンティアの問い合わせに応じなかった。

(文責:メコン・ウォッチ)

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