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メコン河開発メールニュース2022年5月31日
イギリスのミャンマー民主化支援団体であるビルマ・キャンペーンUK(BCUK)が5月10 日に「ダーティー・リスト」を更新しました。ダーティー・リストとは、ミャンマーの国軍とビジネスをしていること、または同国での人権侵害などとの関連が明らかになっている企業や組織の一覧で、日本の企業や組織も含まれています。
今回の更新では日本の横河ブリッジホールディングスを含む新たに56の企業が追加され、掲載企業は合計で172社となりました。BCUKによれば次の更新は7月頃とのことです。
BCUKのダーティー・リストはこちら:
https://burmacampaign.org.uk/take-action/dirty-list/
日本からは17の企業と組織がダーティー・リストに含まれています。以下は2022年5月10日現在、ダーティー・リストに掲載されている日本企業の一覧です。各企業の説明は、ダーティー・リストにある記述に基づくものです。個別ページには、掲載の根拠となる資料へのリンクなどが示されています。
Daiwa House Group/Fujita Corporation
大和ハウスグループ/フジタ
https://burmacampaign.org.uk/take-action/daiwa-house-group-fujita-corporation/
フジタは東京建物、国際協力銀行(JBIC)、官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)とともにヤンゴンで不動産開発事業(通称「Yコンプレックス」)を行っている。この事業の建設用地の賃料は年間約200万ドルと推定され、国軍に支払われるものである。
Fukken
福建調査設計
https://burmacampaign.org.uk/take-action/fukken/
ミャンマーの子会社 Fukken Myanmar が、国軍所有のマンダレー・ブルワリーのための事業を行っている。過去には同じく国軍所有のミャンマー・ブルワリーのための事業も行った。ダーティー・リストに掲載後、同社は国軍所有企業との事業についての情報をウェブサイトから削除したが、BCUKがPDFとして保存したものが上記ページで閲覧可能。
GMO Internet Group/Global Sign
GMOインターネットグループ/GMOグローバルサイン
https://burmacampaign.org.uk/take-action/gmo-internet-group/
GMOグローバルサインは、日本のインターネット事業会社であるGMOインターネットグループのセキュリティ事業を担う連結会社である。国軍所有のミャワディ銀行にセキュリティソフトウェアを提供している。
Japan Bank for International Cooperation (JBIC)
国際協力銀行(JBIC)
https://burmacampaign.org.uk/take-action/japan-bank-for-international-cooperation/
JBICはフジタ、東京建物、官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)とともにヤンゴンで不動産開発事業(通称「Yコンプレックス」)を行っている。この事業の建設用地の賃料は年間約200万ドルと推定され、国軍に支払われるものである。
*メコン・ウォッチによる注記:JBICはフジタ、東京建物、JOINによるYコンプレックス事業に融資を行っている。
Japan Credit Bureau (JCB)
https://burmacampaign.org.uk/take-action/japan-credit-bureau/
JCBは国軍が支配するミャワディ銀行にカード決済システムを提供している。
Japanese Overseas Infrastructure Investment Corporation (JOIN)
海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)
https://burmacampaign.org.uk/take-action/japanese-overseas-infrastructure-investment-corporation/
JOINはフジタ、東京建物、国際協力銀行(JBIC)とともにヤンゴンで不動産開発事業(通称「Yコンプレックス」)を行っている。この事業の建設用地の賃料(年間約200万ドルと推定)は国軍に支払われるものである。
*メコン・ウォッチによる注記:JBICはフジタ、東京建物、JOINによるYコンプレックス事業に融資を行っている。
Kamigumi Co., Ltd
上組
https://burmacampaign.org.uk/take-action/kamigumi-co/
上組は他4社とともにティラワのTMIT港を所有している。TMIT港は国軍所有の海運会社ファイブスターラインの船がTMIT港を利用するのを許可している。
KDDI Corporation
KDDI
https://burmacampaign.org.uk/take-action/kddi-corporation/
KDDIは住友商事と共同で KDDI Summit Global Myanmar (KSGM) を設立。KSGMは国営ミャンマー郵電公社(MPT)との共同事業を行っている。2021年2月のクーデター後、この共同事業の国有部分が国軍の支配下に入ったため、KDDIと住友商事は国軍と共同事業を行っていることになる。クーデター後、MPTは国軍の命令に従って通信傍受装置を導入した。
Marubeni
丸紅
https://burmacampaign.org.uk/take-action/marubeni/
シャン州北部の武力紛争が続く地域でシュエリ第三ダムの建設に関与。住民の移転や環境破壊が起きる恐れがあり、地元住民は建設に反対している。
Nissen Kaiun
日鮮海運
https://burmacampaign.org.uk/take-action/nissen-kaiun-2/
2021年10月6日、日鮮海運が保有するコンテナ船(Green Clarity) が国軍所有のティーダン港に停泊した。この船は2022年1月12日にも同港を利用した。
Satake Group
サタケ
https://burmacampaign.org.uk/take-action/satake-group/
サタケは国軍が支配するミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)が所有する Adipati Agricultural Produce Trading Limited (AAPT)をセールスパートナーとして活動しており、AAPTに機材も販売している。
Sumitomo Corporation
住友商事
https://burmacampaign.org.uk/take-action/sumitomo-corporation/
住友商事はKDDIと共同で KDDI Summit Global Myanmar (KSGM) を設立。KSGMは国営ミャンマー郵電公社(MPT)との共同事業を行っている。2021年2月のクーデター後、この共同事業の国有部分が国軍の支配下に入ったため、KDDIと住友商事は国軍と共同事業を行っていることになる。クーデター後、MPTは国軍の命令に従って通信傍受装置を導入した。
Tasaki
タサキ
https://burmacampaign.org.uk/take-action/tasaki/
子会社であるミャンマー・タサキが国軍所有のミャンマー真珠公社(MPE)を通じて真珠を調達している。2021年2月1日のクーデター以降 MPE は国軍の支配下にあり、収入が国軍に流れるため、英国と米国の制裁対象となっている。ダーティー・リストに掲載後、タサキはミャンマーへの言及部分をウェブサイトから削除したが、BCUKがPDFとして保存したものが上記ページで閲覧可能。
Tokyo Tatemono Co
東京建物
https://burmacampaign.org.uk/take-action/tokyo-tatamono/
東京建物はフジタ、国際協力銀行(JBIC)、官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)とともにヤンゴンで不動産開発事業(通称「Yコンプレックス」)を行っている。この事業の建設用地の賃料(年間約200万ドルと推定)は国軍に支払われるものである。
*メコン・ウォッチによる注記:JBICはフジタ、東京建物、JOINによるYコンプレックス事業に融資を行っている。
Toshiba
東芝
https://burmacampaign.org.uk/take-action/toshiba/
中国の子会社である東芝水電設備(杭州)有限公司がシャン州のイェユワ・ダムにタービンを供与している。建設により住民の移転や環境破壊が起きるとされ、地元住民は建設に反対している。
Toyota Group/Toyota Tsusho Corporation
トヨタグループ/豊田通商
https://burmacampaign.org.uk/take-action/toyota-group-toyota-tsusho-corporation/
トヨタグループの一員である豊田通商は他4社とともにティラワのTMIT港を所有している。TMIT港は国軍所有の海運会社ファイブスターラインの船がTMIT港を利用するのを許可している。
Yokogawa Bridge Holdings Ltd
横河ブリッジホールディングス
https://burmacampaign.org.uk/take-action/yokogawa-bridge-holdings-ltd/
子会社である株式会社横河ブリッジが国軍所有のミャンマー経済公社(MEC)と覚書を締結した。
*メコン・ウォッチによる注記:この覚書は日本の政府開発援助(ODA)事業であるバゴー橋建設に関連して締結されたもの。
参考
Yコンプレックス事業についての詳細
http://www.mekongwatch.org/report/burma/ycomplex.html
*ダーティー・リストに掲載のフジタ、東京建物、国際協力銀行(JBIC)、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が関与
メコン河開発メールニュース「ODA事業(バゴー橋建設)に国軍系企業子会社との関係が指摘される」(2021年3月27日)
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20210327_01.html
*ダーティー・リストに掲載の横河ブリッジホールディングスに言及
ヒューマン・ライツ・ウォッチ「ミャンマー:日本大手鋼橋メーカーは軍系企業との事業提携を止めるべき」(2022年2月7日付プレスリリース)
https://www.hrw.org/ja/news/2022/02/07/381114
*ダーティー・リストに掲載の横河ブリッジホールディングスに言及
メコン河開発メールニュース「開発に脅かされる先住民(1)海のジプシーと真珠」(2020年3月27日)
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20200327_01.html
*ダーティー・リストに掲載のタサキに言及
メコン河開発メールニュース「シャン州北部でも軍事衝突」(2020年10月15日)
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20201015_01.html
*ダーティー・リストに掲載の東芝が関与するイェユワ上流ダムに言及
プレスリリース「ESG ファンドがミャンマー国軍と関係のある企業に株を保有、と報告書/大和ハウス工業、住友商事、丸紅など日本 7 企業も掲載」(2022年4月12日)
http://www.mekongwatch.org/PDF/pr_20220412.pdf
*日本の企業のうち6社がダーティー・リストにも掲載
メコン河開発メールニュース「『制裁を科すべき』リストに日本企業や日本人理事も」(2021年3月31日)
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20210331_01.html
(文責 メコン・ウォッチ)