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ペトロナス、PTTEP、ENEOS、三菱商事、日本政府がイェタグン・ガス事業から無責任な形で撤退か

メコン河開発メールニュース2022年7月5日

 

日本の官民が権益を持つイェタグン・ガス田については5月初旬までに、日本の事業者を含め、海外勢の同事業からの撤退が表明されましたが、ミャンマー側は事業を継続する意向だとみられていました。これに関し、国軍のビジネスの実態を暴いてきた活動家のグループ、ジャスティス・フォー・ミャンマー(JFM)がプレスリリースを発行しました。現地での報道やJFMが入手した情報によると、タイ系企業、ガルフ・ペトロリアム・ミャンマーがオペレーターとなる模様です。
これが事実であれば、私たちが求めてきた「責任ある撤退」とはなり得ません。

   【プレスリリース】ENEOSのミャンマーからの撤退は一定の前進 イェタグン・ガス田の責任ある形での廃坑を求める(2022/05/04)

以下に、JFMのプレスリリースの和訳を紹介します。

***

ジャスティス・フォー・ミャンマー(Justice For Myanmar

メディアリリース

2022628

ペトロナス、PTTEPENEOS、三菱商事、日本政府がイェタグン・ガス事業から無責任な形で撤退

軍政はガルフ・ペトロリアム・ミャンマーを新オペレーターに任命

https://www.justiceformyanmar.org/press-releases/petronas-pttep-eneos-mitsubishi-corp-japan-gov-irresponsibly-exiting-yetagun-gas-project


事情を知るジャスティス・フォー・ミャンマー(JFM)の情報源および『ミャンマー・ナウ』紙の報道(1)によれば、ミャンマー軍政はガルフ・ペトロリアム・ミャンマー(GPM: Gulf Petroleum Myanmar)をイェタグン・ガス事業のオペレーターに任命した。

ペトロナスとその共同事業者らが無責任な形で撤退することで、ミャンマー軍政は収入源を維持することになり、また枯渇が近いイェタグン田の廃坑にあたり環境面でのリスクも高まることになる。

イェタグン・ガス事業のオペレーターであるペトロナスは事業からの撤退を決めている。共同事業者はPTTEPのほか、ENEOSの連結子会社であるJX石油開発が日本政府と三菱商事とともに出資しているJXミャンマー石油開発だ。

FoEジャパン、JFM、メコン・ウォッチは、イェタグン・ガス事業の出資者に対し、責任ある撤退(2)をするよう繰り返し求めてきた。責任ある撤退には、事業の収益がミャンマー軍政に流れないやり方で廃坑を行なうために適切な措置を講じること、また人権や環境への継続的な影響を回避することを含む必要がある。

国軍の支配下にあるミャンマー石油ガス公社(MOGE)に制裁を科すべきであるとの市民社会からの一貫した呼びかけも無視されてきた。これまでにMOGEに何らかの制裁を科しているのは欧州連合(EU)だけである。

ガルフ・ペトロリアム・ミャンマーとは?

GPMは民間の石油ガス会社で、タイのタクシン・チナワット元首相の電話帳ビジネスの取締役を務め、チャワリット・ヨンチャイユット元首相の顧問でもあったタイの有力者、チャチャイ・イェンバムルン(Chatchai Yenbamroong)氏の支援を受けている。

チャチャイ氏のミャンマー国軍との商取引関係の始まりは1995年にまで遡る。当時チャチャイ氏は、国軍支配下のミャンマー郵電公社から、ミャンマー版イエローページを発行する10年間のライセンスを取得した。

GPMは、タイに拠点を置くノーザン・ガルフ・ペトロリアムのグループ企業である。GPMのウェブサイト(4)によれば、ノーザン・ガルフ・ペトロリアムはバミューダにある複数のペーパーカンパニーによって組織されており、シンガポールに持ち株会社がある。国際調査報道ジャーナリスト連合のオフショア・リークス(5)というデータベースによれば、チャチャイ氏とノーザン・ガルフ・ペトロリアムはイギリス領ヴァージン諸島にもオフショア[ここでは租税回避地のこと=訳者による注記]会社を設立している。

バミューダ諸島、イギリス領ヴァージン諸島、シンガポールは法人税の租税回避地(6)(タックスヘイブン)である。

タイのメディアによる報道(7)によれば、ノーザン・ガルフ・ペトロリアムは、タクシン政権下で19回目の石油開発入札に参加するために2004年に設立された。ノーザン・ガルフ・ペトロリアムは資格を欠いているにも関わらずコンセッション契約を勝ち取り、タクシン首相が2006年の軍事クーデターで追放された後に付与された。チャチャイ氏はカナダとオーストラリアの石油・採掘企業にも投資したことがある。

GPMの会長であるチョーチョーフライン(Kyaw Kyaw Hlaing)氏は、SMART Group of CompaniesSMARTグループ)(8)の取締役会長である。SMARTグループはミャンマーの以前の独裁政権下だった1994年に設立され、国軍が支配する石油産業で事業を行った。GPMの別の取締役であるザーニスウェ(Zarni Swe)氏は、SMARTグループの複数の子会社の取締役を務める。

GPMの取締役であるニールウィンソー(Ni Lwin Soe)氏は、タイサット・グローバルのミャンマー支社、ノーザン・ガルフ・ペトロリアム・ミャンマー、ミャンマー・ガルフLNGなど、チャチャイ氏の企業の多くで役員を務めている。

非合法軍政は2022514日、ペトロナスに代わるイェタグン事業のオペレーターおよび株主を早急に決めるため、520日を締め切りとして入札参加者を募集(9)した。

他の入札者には、国軍と関係のあるシュエビャインピュー・グループ(10)の関連企業も含まれた。

業界内の情報源はJFMに対し、GPM531日に事業を引き継ぎ始めたと明かした。ペトロナスは、酸性ガス除去ユニット(AGRU)プロジェクトが終了した後にGPMへの移譲を完了させる予定である。ペトロナスは以前、GPMと売買契約を結んでいた。

GPMは稼働再開や契約の詳細、また共同オペレーターを置くかどうかについてのJFMからの質問に回答しなかった。

JFMのスポークスパーソンであるヤダナーマウン(Yadanar Maung)は次のように述べた。「ガルフ・ペトロリアム・ミャンマーがイェタグン・ガス事業を引き継いだことは、戦争犯罪や人道に対する罪を犯し、一切の責任を問われないテロ組織であるミャンマー軍政への資金の流れを確実にするものである。

「ガルフ・ペトロリアム・ミャンマーとその役員や株主は、国軍の犯罪を幇助していることについて責任を問われるべきである。

「ガルフ・ペトロリアム・ミャンマーの参入は、米国、日本、その他の政府がミャンマー国軍の支配下にあるミャンマー石油ガス公社に制裁を科していないために可能になった。

「私たちは、軍政が石油・ガスからの収入にアクセスするのを妨げるために緊急かつ協調的な制裁が科されることを求める。

「ペトロナス、PTTEPJXミャンマー石油開発は、イェタグン・ガス事業から撤退することによって引き起こされる人権、環境面の影響について責任がある。

「三社は、人権と環境に関するデューディリジェンス状況を開示し、国民統一政府や市民社会、被影響コミュニティと協議した上で悪影響を是正するべきである」


注:

(1)   https://www.myanmar-now.org/mm/news/11692

(2)   http://www.mekongwatch.org/PDF/pr_20220326.pdf

(3)   http://www.mekongwatch.org/PDF/pr_20220504.pdf

(4)   https://gulfpetroleummyanmar.com/

(5)   https://offshoreleaks.icij.org/nodes/178999

(6)   https://cthi.taxjustice.net/en/

(7)   https://mgronline.com/daily/detail/9600000006760

(8)   https://smartmyanmargroup.com/

(9)   https://www.dfdl.com/resources/legal-and-tax-updates/myanmar-tender-bid-submission-in-og-sector/

(10)   https://www.justiceformyanmar.org/stories/shwe-byain-phyus-military-links-exposed


(文責 メコン・ウォッチ)

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