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メコン河開発メールニュース2023年5月8日
ミャンマーで2023年度の防衛予算が前年度より9億2千ドルも増えた、と指摘するニュースをご紹介します。
ミャンマーチャットと米ドルとのレートの変動等により、防衛予算の増減の傾向を述べるのは難しいのですが、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータを用いた世界銀行の統計では、2012年に29.7億米ドルだった防衛費は、2019年まで減少傾向にありました。
世界銀行統計
https://data.worldbank.org/indicator/MS.MIL.XPND.CD?locations=MM
そもそもミャンマー国軍のいう「防衛」は、自分たちの体制に異を唱える人々を虐殺することでもあり、予算増額は重大な人権侵害の増加に直結し、憂慮される事態です。
以下、ラジオ・フリー・アジア(RFA)のビルマ語放送からの英訳記事「防衛費増額は民間人死者の増加につながる、と観測筋 約10億米ドルの防衛費増額を軍政が承認」の和訳です。
出典 RFA, “Military budget boost will lead to more civilian deaths in Myanmar: Observers,” April 12, 2023
https://www.rfa.org/english/news/myanmar/budget-04122023161634.html
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防衛費増額は民間人死者の増加につながる、と観測筋
約10億米ドルの防衛費増額を軍政が承認
RFAビルマ語放送 2023年4月12日
ミャンマーの防衛費が10億米ドル近くも増額されたことは同国の激しい内戦を悪化させ、民間人死者の増加につながるだろう、と4月12日に観測筋が述べた。観測筋は、軍政の収入を断つための緊急な行動を国際社会に求めた。
クーデターで権力を掌握してからの26カ月間で、国軍は全国で攻撃作戦を行い、ミャンマーの人々は殺人や放火、性暴力、拷問に見舞われてきたが、ミンアウンフライン上級大将は今回の増額の前に、国軍の実効支配が国の約3分の2にしか及んでいないことを認めていた。
同じく増額の前に、ミンアウンフラインは国軍記念日に行った演説で、国内の抵抗勢力を「撲滅する」と誓っていた。
ミンアウンフラインが4月5日に承認した予算によれば、2023年度の防衛費は5兆6,000億チャット(27億米ドル)だった。これは18億米ドルだった前年度から9億2,000万ドルの増額である。
退役軍人で構成されるテイニンガ戦略研究所のテイントゥンウー事務局長は、増額は国内の武力紛争を抑えるのではなく、国軍を「現代的水準」にさらに近づけるために「アップグレード」するのが目的だと述べてその正当性を主張した。
「防衛技術の向上についていくために軍事予算が増額されなければならないのは驚くべきことではない」とテイントゥンウーは述べ、国軍をアップグレードするには「予算全体の3分の2が必要となる」とつけ加えた。
しかし影の政府である国民統一政府(NUG)のアウンミョーミン人権大臣はRFAに対し、国軍の予算の大きさは国内の民間人の死亡者数に直接比例していると述べた。
「国軍が武器を買えば買うほど人々が苦しむ。軍備が拡大した期間を通じて罪のない民間人の殺害が増え、外国から輸入されたジェット燃料を使った空爆も増え、民間人の資産が焼き払われることも増えたからである」とアウンミョーミンは述べた。 「現状下で軍拡のために予算を増額することは、文字どおり軍政を増強して罪のない人をさらに多く殺すための武器を与えることになる。民間人の死亡が増えるのは確実だ」
軍政がこれまでに犯した残虐行為の責任を追及し、国軍予算増額を可能にする収入源を遮断するために、国際社会は軍政に対して早急に効果的な法的措置をとる必要がある、とアウンミョーミンは述べた。
国の支配をめぐる戦い
タイにある政治囚支援協会(AAPP)によれば、ミャンマー当局は2021年2月1日のクーデター以降、少なくとも3,240人の民間人を殺害した。このうちの多くは国軍が反軍政武装勢力や民族武装勢力に対して広い範囲で行っている焦土作戦で死亡した。 しかしながらミンアウンフラインは最近、ミャンマーに330ある郡のうち198郡しか支配下に置いていないことを認めた。この発言がされてから、国軍はザガイン、マグウェ、バゴー、タニンダーリ各管区域とチン、カチン、カイン、モン、シャン各州での掃討作戦を加速させている。 政治分析家のサイチージンソーは、軍政の軍事費の増加はこうした作戦を完了させようという試みの一環だと考えている。
「国軍は軍隊内の割当額を満たし、抵抗勢力をより激しく攻撃するためにより大きな予算を必要としている」とサイチージンソーは述べた。
「軍政の長は3月27日[原注:国軍記念日]の演説で、国軍は抵抗勢力を壊滅させると表明した。全国で増えている抵抗勢力だけでなく、それらの勢力を支援する民族武装勢力も壊滅させると述べた。これが、軍政が軍事予算を増やした理由だと思う」 追放されたアウンサンスーチー氏の国民民主連盟が軍事予算を3兆4,000万チャット(16億米ドル)とした2020年度以降、軍政は毎年、防衛費を増額してきた。
ビルマ語からの翻訳:ミョーミンアウン
編集:ジョシュア・ライプス、マシュー・リード
(文責 メコン・ウォッチ)