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ノルウェー中央銀行、KDDIと住友商事を投資除外監視リストに追加

メコン河開発メールニュース2023年12月25日

 

ノルウェー中央銀行は12月18日、ミャンマーで通信事業を行なうKDDIと住友商事を「ノルウェー政府年金基金グローバル(GPFG)」の投資対象から外す可能性がある「監視リスト」へ加えたと発表しました。監視期間は3年間で、後述の倫理委員会が2社の人権リスク管理やミャンマーでのビジネス動向につき監視します。

Decisions on observation and exclusion
https://www.nbim.no/en/the-fund/news-list/2023/decisions-on-observation-and-exclusion3/

KDDIと住友商事がシンガポールに合弁会社KDDI SUMMIT GLOBAL SINGAPORE PTE. LTD.を設置し、この合弁会社がミャンマーに子会社KDDI Summit Global Myanmar Co., Ltd.(KSGM) を設立、ミャンマー郵電公社(MPT)の通信分野に参画しています。

GPFGは、ノルウェー財務省が所有し、財務省に代わりノルウェー中央銀行投資管理部門(NBIM)が運用しているものです。現在、69カ国11,549社に投資する世界最大級の政府系ファンドで、現在のレートで172兆円規模の資産を有し、世界の投資に大きな影響を持っています。 (https://www.nbim.no/en/the-fund/investments/#)

基金の運用に際しては、倫理委員会(The Council on Ethics)が、投資先が倫理指針に沿っているか評価し、同国財務省に勧告する仕組みです。この倫理指針の第4条(b)には、「投資先の企業が戦争または紛争の状況下における個人の権利の深刻な侵害に加担している、または責任があるリスクが高い場合には、除外または監視の対象となる」と定められています。

倫理委員会はKDDIと住友商事に対する投資除外勧告の文書(2023年6月29日付)の中で、現在の軍の体制の権限下にあるMPTが民間人の監視を可能にする技術を導入し、かつ、クーデター後に監視が強化され、警察や軍の部隊がMPTの生成した監視データにアクセスできるようになったと推定している、と述べています。また、倫理委員会の勧告は投資先からの除外でした。

KDDI(非公式英訳):
https://files.nettsteder.regjeringen.no/wpuploads01/sites/275/2023/12/KDDI-ENG.pdf
住友商事(非公式英訳):
https://files.nettsteder.regjeringen.no/wpuploads01/sites/275/2023/12/Sumitomo-ENG.pdf

2022年12月15日にノルウェーは、タイ国営の石油会社PTTとその子会社であるPTTオイル・アンド・リテール・ビジネス(PTTOR)を投資の除外対象としています。両者が、ミャンマーでのガス事業でのミャンマー石油ガス公社(MOGE)とミャンマー・エコノミック・コーポレーション(MEC)との直接の提携を通じて軍事作戦や人権侵害の資金となりうる相当な収入源をミャンマー軍に提供しており、将来きわめて深刻な人権侵害に加担するリスクがあると判断したからです。

ノルウェー政府年金基金、人権侵害でタイ企業を投資先から除外(2023.2.27)
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20230227_01.html

一方、同じく世界最大級の規模である日本の年金基金を管理する年金積立金管理運用独立法人(GPIF)は、投資判断の全部を一任する投資一任契約を運用受託機関と締結し、運用、議決権行使、エンゲージメントに関わる全ての判断と実行を運用受託機関に委託しています。政府が投資に倫理的な責任を持つ仕組みとはなっていません。2022年度末時点でも、GPIFはPTTとPTTORの株式を保有しています。当然とも言えますが、日本の大企業であるKDDIと住友商事の債権と株式も所有しています。

GPIF 2022年度の運用状況の「保有全銘柄(2022年度末)」
https://www.gpif.go.jp/operation/79328564gpif/unyoujoukyou_2022_15.xlsx

日本の年金の運用でもESG投資などが言われて久しいのですが、ミャンマーの事例から見る限り、それが投資において紛争や自然破壊を防止する具体的な行動にはまだ結びついていないのが現状です。

参考:
ミャンマーでの通信の監視状況については、『フロンティア・ミャンマー』誌 の2021年7月5日の記事、「軍事体制による電話やインターネットの監視強化にMPTとマイテルが協力」を、以下で抄訳により紹介しています。

KDDI、住友商事が事業参画のMPT、インターネット上の監視に協力か(2021.7.19)
http://www.mekongwatch.org/resource/news/20210719_01.html

ノルウェー政府年金基金グローバル(GPFG)について
(ノルウェー大使館のサイト)
https://www.norway.no/ja/japan/norway-japan/news-events/news/5/

(文責:メコン・ウォッチ)

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