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ミャンマー>官民ファンドJOIN事業の環境社会配慮情報の不開示取り消しを求め、国土交通省を提訴(第4回)

メコン河開発メールニュース2025年4月8日

 

メコン・ウォッチは、国土交通大臣がメコン・ウォッチに対し、令和5年(2023年)8月8日付でした行政文書一部開示決定(国総海推第73号)のうち、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)のミャンマー事業(Yコンプレックス事業)における環境社会配慮に関する部分の不開示取り消しを求め、2025年2月20日、東京地方裁判所に国土交通省を提訴しました。提訴に至る経緯をご説明するため、メコン・ウォッチがJOINに関し国土交通省に対して行った働きかけや、情報公開請求とその結果について、全5回のシリーズでお伝えしています。

<前回>官民ファンドJOIN事業の環境社会配慮情報の不開示取り消しを求め、国土交通省を提訴(第3回)

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前回お伝えしたように、たった28ページの発表用スライド形式の資料で、環境・社会配慮を含む様々な情報が不開示とされたため、不服申し立ての制度を使い、メコン・ウォッチは行政不服審査法第2条に基づき、この決定の取り消しを求めて2023年10月6日付で審査請求しました。

この審査請求という制度では、行政庁の処分に不服がある場合、処分庁(注:この場合は国土交通省)に対し審査請求を提起することができ、提起を受けた処分庁は原則として、情報公開・個人情報保護審査会に諮問(注:意見をたずねること)し、その答申を受けて審査請求に対する結論(決裁)を出すという仕組みになっています。なお、諮問された審査会は第三者の立場で調査審議を行い、諮問してきた庁に答申しなくてはなりません。

総務省. 開示決定・不開示決定・開示請求に係る不作為に対する不服申立て

https://www.soumu.go.jp/main_content/000411600.pdf

環境社会配慮の情報は、「本来公表されることのない法人の内部情報」や「公にすることにより法人の正当な利益が害される恐れがある」ものとは考えられません。また、「他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれがあるもの」とも言えません。なぜなら、多くの国が環境アセスメントに関する法などを備え、市民に対して情報開示を行っているからです。

ミャンマーでも、2015年12月に環境影響評価手続が施行され(※5)、Yコンプレックスの事業開始時には運用されていました。Yコンプレックスの環境アセスメント報告書はオンラインで公開されています。

また、日本の公的機関が関与する海外事業における環境社会配慮については、一定の情報開示のシステムが、既に日本政府機関の中にも存在しています。財務省が所管する株式会社国際協力銀行(JBIC)は、「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(※6)」を定め海外の事業支援に際してガイドラインに沿った対応を実施しています。また、経済産業省が監督官庁である株式会社日本貿易保険(NEXI)も、同様のガイドラインを運用中です(※7)。外務省所管の独立行政法人国際協力機構(JICA)も、「環境社会配慮ガイドライン(※8)」を定め、JICAの支援する事業の実施者等による適切な環境社会配慮が実施されるよう支援、確認を行っています。JBIC、NEXI、JICAともに、ガイドラインの本文、チェックリストなどの関連資料は全て公開し、影響の大きい事業に関しては、環境アセスメント報告書等の資料を広く一般に公開してもいます。

環境社会配慮の情報が不開示という決定では、日本の他機関と比較しても、到底納得できることではありません。国土交通省の主張する「本来公表されることのない法人の内部情報であり、これを公にすることにより法人の正当な利益が害される恐れがある」は認められないはずです。

2023年10月6日付で提起した審査請求について、2024年1月31日に、情報公開・個人情報保護審査会に諮問されたことが国土交通省から通知され、同3月11日に、情報公開・個人情報保護審査会にメコン・ウォッチから意見書を提出し他機関の環境社会配慮の制度を踏まえた主張を行いました。

メコン・ウォッチ. 令和6年(2024)諮問第91号に対する意見書

しかし2024年6月21日に国土交通省から、審査会は不開示の部分が妥当であると判断した、との通知が届きました。審査は、審査会第5部会(※9)によって行われました。この時点での部会のメンバーは、部会長、藤谷俊之元最高検察庁検事、石川千晶公認会計士、磯部哲慶應義塾大学大学院法務研究科教授でした。

この答申は、これでまで日本で蓄積されてきた「環境社会配慮」に関する情報公開の実績を踏まえておらず、大変残念な判断だったと言わざるを得ません。

諮問91号意見書の結果_情個審2272号写し_20240621

この結果を踏まえ、メコン・ウォッチは、環境社会配慮に関する部分の不開示取り消しを求め、2025年2月20日、東京地方裁判所に国土交通省を提訴するに至りました。



※5 環境影響評価情報支援ネットワーク. 「(1) ミャンマー環境影響評価にかかる法制度の整備状況」
http://assess.env.go.jp/files/0_db/seika/4718_01/5_MyanmarEIA.pdf

※6 JBIC. 環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン
https://www.jbic.go.jp/ja/business-areas/environment/confirm.html

※7 NEXI. 貿易保険における環境社会配慮確認について.
https://www.nexi.go.jp/environment/statement/index.html

※8 JICA. 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(2022年1月版)
https://www.jica.go.jp/about/organization/environment/guideline/index.html

※9 情報公開・個人情報保護審査会委員名簿(部会構成). 令和5年10月5日現在.
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/jyouhou/meibo_bukai.html


第1-3回

官民ファンドJOIN事業の環境社会配慮情報の不開示取り消しを求め、国土交通省を提訴(第1回)

官民ファンドJOIN事業の環境社会配慮情報の不開示取り消しを求め、国土交通省を提訴(第2回)

官民ファンドJOIN事業の環境社会配慮情報の不開示取り消しを求め、国土交通省を提訴(第3回)

(文責:メコン・ウォッチ)

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