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メコン河開発メールニュース 2005年11月2日
中国からビルマ・タイを流れる東南アジア大陸部の国際河川サルウィン川のダム開発をめぐるニュースです。
以下は、メコン・ウォッチの秋元由紀(ワシントンDC)の解説と翻訳です。
2005年5月末にタイとビルマとが共同でサルウィン川とテナセリム川流域の水力発電開発をするMOU(覚書)に署名しました(MOUの主な内容については本文の 最後をご覧ください)。
先日、このタイ・ビルマ両国によるサルウィン川開発に中国が参加したいという意思表明をしました。以下は、タイのMatichon Dailyの記事の英語訳を抄訳したものです。
Matichon Daily、2005年10月12日
タイ・ビルマ両政府が共同でサルウィン川の水力発電開発をする内容のMOUに署名した。現在、次の5地点(合計1万メガワット以上)について初期の開発計画が練られている。
タイ発電公社(EGAT)のKraisi Karnasuta総裁によれば、生産される電力についてはタイのみが購入する。
同総裁はまた、水力発電は天然ガスその他の燃料に比べてもっともコストが低いと述べた。それでも1メガワットの電力を生産するために100万ドルの投資が必要だと試算されているため、仮に上の全5地点で同時に発電所建設が行われた場合、EGATには4兆バーツ(100億ドル)が必要となる。
この点について呉儀・中国副首相は9月にタイで開かれたタイ・中国経済協力委員会の会合で、中国のダム建設大手、中国水利水電建設集団公司(Sinohydro)がサルウィン川開発への参加に興味を持っており、投資の可能性を探っていると述べた。
EGAT総裁もまた、Sinohydroがタイ・エネルギー省の代表に対し、サルウィン・テナセリム川開発事業への投資に関心があることを伝えたことを認めた。ただし、電力の中国への輸出はないとした。
*上記はPipob Udomittipong氏による英訳を抄訳したものです。
サルウィン川およびテナセリム川流域での水力開発・発電・送電・配電・関連施設の活用の可能性について両国が共同で研究・調査を行い、相互投資の可能性を評価する。
MOUの履行機関はタイ側がタイ発電公社(EGAT)、ビルマ側が同国電力省の水力発電局。
履行を監督する共同協力委員会(JCC)と、技術的作業を担当する作業部会とを設置する。作業部会は技術的専門家から構成される。共同研究・調査の年間計画を作成しJCCに提出する。
両国が更新手続きを取らなければ、MOUは発効日から6か月後に失効する。
(MOUには生産された電力の用途について特に記述がありませんが、これまでの新聞記事などではタイが買うとされています)