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サルウィンダム>タイ・ビルマが新たな覚書調印

メコン河開発メールニュース 2006年1月12日

中国からタイ・ビルマを流れる国際河川のサルウィン川のダム開発をめぐって、タイとビルマが新たな覚書を交わし、優先的に進めるダム計画が変更されるなど新たな局面を迎えています。

以下、メコン・ウォッチの秋元由紀(ワシントンDC駐在)による報告です。


2005年5月末に共同でサルウィン川などでの水力発電開発を行う覚書(MOU)を交わしたタイ・ビルマですが(2005年11月18日付メールニュース参照)、11月末でこのMOUが失効したのに伴い、新たにMOUを交わしました。今回のMOUではビルマ・カレン州内サルウィン川上のハッジー地点が優先的に開発されることになった模様です。

以下、タイの新聞報道の内容などをまとめました。

タイ発電会社(EGAT、旧タイ発電公社)のクライシ総裁によれば、タイとビルマとは2005年12月9日、サルウィン川に複数の水力発電ダムを共同で建設する覚書(MOU)に署名した。これらのダムが完成すれば合計出力は1万メガワット以上になるとされる。

さらに総裁は、この共同開発によってタイは安価な電力を、ビルマは非常に必要な外貨収入を得ることができると述べた。東南アジア諸国連合(ASEAN)の電力網計画の一部としても貢献することになると言う。

サルウィン川では、ビルマ・カレン州内のハッジー水力発電ダムが最初に建設されることになる。完成には5、6年かかる予定で、出力は1200メガワットとされる。ハッジーの次にはビルマ南部のテナセリム川に出力600メガワットのダムが建設される。このダムが生産する電力はタイのSahaviriya製鉄所に供給される計画だ。

EGATはタイ国内外の投資家に本開発計画への参加を呼びかける予定だ。すでに中国はタイ・ビルマの共同開発計画への参加に興味を示しており、クライシ総裁は「中国が参加すれば建設経費が軽減されるだろう」、さらに「中国は長江で三峡ダムの建設を終えようとしているところなので、三峡ダム建設に使った機材をサルウィン開発にまわすことが可能だ」と述べた。

サルウィン川開発問題に取り組む環境団体の連合体、サルウィン・ウォッチは2005年12月7日にプレスリリースを出し、タイ政府およびEGATに対し、世界ダム委員会のガイドラインやタイ憲法に従い、被影響住民の参加や合意のないままでのMOU署名を控えること、また実施可能性調査や環境・社会影響評価など関連情報をすべて一般公開することなどを求めた。

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