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タイ問題プロジェクト>ADB・JBIC事業の被害住民が結束

メコン河開発メールニュース 2006年5月9日

4月30日の本メールニュースでお伝えしましたように、アジア開発銀行(ADB)や 日本の国際協力銀行(JBIC)が融資した事業で悪影響を受けたタイの住民の代表者が、バンコクでADBやJBICに申し入れを行いました。 以下は、申し入れ後の住民たちへのインタビューに基づく現地英字新聞の記事を、 メコン・ウォッチの土井利幸が翻訳したものです。

住民が一体となって融資機関に働きかけ

プリーヤナット・パナヤンゴー記者

バンコクポスト紙2006年4月28日(原文英語)

開発プロジェクトによって被害を受けている住民たちが、融資機関やタイ社会に対して、自分たちの苦境への理解を深めてもらうためにネットワークの立上げを構想している。住民たちは、一般の人びとに開発プロジェクトが地域にもたらす害を知らせ、国際融資機関に融資プロジェクトの透明性や責任性を高めるよう働きかけることを期待している。

「将来、同じあやまちをくり返さないためにも、開発プロジェクトがもたらした私たちの苦痛と惨状を一般市民に知ってもらう時がきた」と、北部ランパーン県 メーモ火力発電所被害住民の一人であるナルドン・スチャートポンさんは語った。

多くの住民がアジア開発銀行(ADB)、国際協力銀行(JBIC)、世界銀行が融資する開発プロジェクトによって被害を受けているが、こうした住民の声が、幅広い層の人びとの耳に達することはほとんどない。

「私たちが手をとりあって、一般の人びとに事実を知ってもらう必要がある。石炭発電所など、環境を悪化させ住民生活を破壊するプロジェクトは止めるべきだ」 と、ナルドンさんは述べた。

同じくメーモからやってきたマリワン・ナクウィローイさんは、メーモが、深刻な汚染や健康被害など、ADBの融資する石炭発電所がもたらす被害を知る格好の教訓となりうるだろうと述べた。

「私たちの身にふりかかった辛酸を、ほかの人びとに味わわせたくありません。 このネットワークは、そうしたプロジェクトと闘うために、私たちが団結する手段の一つなのです」と、マリワンさんは語った。

ネットワークには、メーモ発電所のほか、ラヨン県マプタプット工業団地にあるBLCP石炭発電所(出力1434メガワット)、サラブリ県のゲンコイ天然ガス発電所、サムットプラカン県のクロンダン汚水処理施設など、ADB、JBIC、世界銀行が融資したプロジェクトによって被害を受けた住民が参加する。

以上は、ナルドンさんとマリワンさんが昨日(4月27日)、石炭火力発電所の問題点を指摘するためにジーン=ピエール・フェルビエストADBタイ担当課長と会見を行った後の談話である。

会見で二人は、ADBに対して、メーモ石炭発電所と褐炭鉱山の拡張計画に対して融資を行わないこと、環境面での包括的審査を実施するまでBLCP石炭発電所の融資を撤回することを求めた。

ラヨン県から参加した住民たちは、ADBに対して、天然資源・環境計画政策局とタイ発電公社に働きかけて、マプタプットの大気汚染に関する最新調査の結果と オーストラリア・コール・ホールディング社と結んだ25年間の売電契約書の内容を、マプタプット住民や一般の人びとにも公開させるよう求めた。

マリワンさんは、会見には失望したと述べた。

ADBからは、住民と協力しようという誠意や姿勢はかけらも感じられなかった。 しかし、フェルビエスト課長は、来週、メーモを訪問すると言った。

「待っていますが、現れてくれるかは分かりません」と、マリワンさんは語った。

「フィルビエストさんには、プロジェクト事業者の不正確な報告書ではなく、現地の人々の苦しみから学んでほしいと思います」

 

マプタップ在住のスティ・アチャサイさんも、ADBをはじめとする融資機関は自分たちの融資がもたらした被害に対してもっと責任を取るべきだと語った。

住民たちの代表は、5月3日から6日にADB年次総会が開催されるインドのハイデラバードを訪れ、ADBに対して要請に応えるよう働きかける。

【注】記事が言及している開発プロジェクトについては、以下をご覧下さい。

 

「JBICウォッチ」のサイトもあわせてご覧下さい。

 

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