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カンボジア国道1号線(無償)>JICAはガイドライン遵守を主張

メコン河開発メールニュース2008年3月12日

2月28日にお伝えした、日本のODAで進められているカンボジア国道1号線改修事業に関する続報です。移転住民への被害を明らかにしたNGO報告書は、JICAの環境社会配慮ガイドライン違反を具体的に指摘していますが、プノンペンポスト紙によれば、JICAはガイドラインに沿って対応していると主張しているようです。

NGO報告書の概要(日本語版)は以下でご覧いただけます。
国道一号線改修プロジェクトによる住民移転への影響に関するフィールド調査報告書の日本語要約

以下、現地住民の声とJICA・カンボジア政府の反応を伝えるプノンペンポスト紙の記事の翻訳です。

国道1号線の改修工事、住居問題を引き起こす

2008年3月7日-20日、プノンペンポスト紙
Cheang Sokha記者

プノンペンから南下しネアックルンに向かう国道1号線の改修事業が、数百の道路沿いの移転住民とのトラブルに直面している。(カンボジア)政府と日本の援助機関、村人との間の紛争が解決されなければ、改修事業は中断する可能性がある。

プノンペンからネアックルンまでの56kmの道路は、日本からの無償資金協力によって改修中である。工費は7500万ドル(訳注:約82億円)と予想されている。改修工事は2005年11月に始まり、2010年3月までに終了する予定。公共事業交通省が事業の実施を担当している。ネアックルンからベトナム国境のバベットまでの区間は、既にアジア開発銀行からの融資で改修済みだ。

公共事業局局長のChhin Kong Hien氏は、コキ市場からプノンペンに向かう事業の第3区間について問題があることを認めている。彼によれば、道路沿いの住民との問題は未解決であり、日本政府は第3区間の開始前の問題解決を待っているという。「我々が問題を修正できなければ、改修工事は中断してしまうと思う」とKong Hien氏は語った。

プノンペンに近いキエンスバイ区コキトム集合村に住むBorn Ban氏は、道路沿いの元の家屋と農地から立ち退かされ、道路から2km離れた場所に移転させられたと言う。彼は480ドルの補償金を受け取った。「これっぽちのお金でどうやって生活すればよいのだ」と彼は言う。移転前の土地では、彼は道ばたで露店を経営し、一年で200万リエル(500ドル)の収入を得ていた。

4人の子を抱える寡婦であるMoeun Ngoeun氏は、道路工事のため近く家を移さなければならないと語った。500ドルの補償金を受け取る予定だが、補償金だけでは家屋の再建に十分でないという。「私はどこに移転させられるのか聞いていない」とNgoeun氏は泣きながら言った。「私には何の財産もない。」

国際協力機構(JICA)の職員は、JICAには補償問題の責任はないという。JICAのプロジェクトアドバイザーである山下晃氏は3日ポスト紙に対し、「補償についてはカンボジア政府に責任がある」と語った。「JICAが補償金を支払うことはありえない」とし、JICAは自身の環境社会配慮ガイドラインに従っていると付け加えた。

カンボジア政府は移転を強いられる住民に対して移転地を用意し、排水管、トイレ、国道までの接続道路を整備したと山下氏は言う。「我々は悪影響を避けるため慎重に調査を行っているが、影響を緩和しなければならないケースがいくつか残っている。」

「建設期間中、我々は影響を監視し、(カンボジア政府)省庁間住民移転委員会と定期的に会合を持っている」と山下氏は語った。彼によれば、プノンペン・ネアックルン間には4000世帯が道路沿いに居住しており、そのうち400世帯がこれまでに移転した。

カンボジアNGOフォーラムと関連団体の移転行動ネットワークは昨年8月に調査を行い、1800世帯以上が国道1号線事業によって移転を強いられることを明らかにした(訳注1)。NGOによれば、当時の住民移転手続と補償内容は不十分であるという。

カンボジアNGOフォーラム事務局長のチット・サムアット氏は、過去の経験に照すと、道路事業は不十分な補償と移転の実施により地域社会の生計に大きな影響を与えると語った。2月27日の声明の中で、サムアット氏は、NGOフォーラムは開発事業は歓迎するものの、国道1号線がカンボジアにおける過去の道路事業の過ちを繰り返すことを懸念しているとしている。

NGO調査に参加したNGO「カンボジアの保全と開発」のアドバイザーであるカイ・レアック氏は、「NGO報告書の内容に基づき、JICAやカンボジア政府・日本政府が地元住民の直面する困難に対処するよう期待してる」と語った。「JICAもカンボジア政府も、国道1号線沿いの住民に問題が生じることを望んでいるわけではないと信じている。」

訳注1 NGO報告書は移転世帯数についての調査は行っていない。移転世帯数はいまだに公開されていない。

(文責・翻訳 福田健治/メコン・ウォッチ)

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