メニューを飛ばして本文へ移動。

    English site

[メコン・ウォッチ]

ホーム | お問い合わせ | メールニュース登録 | ご支援のお願い


イベント | メコン河とは? | 活動紹介 | 追跡事業一覧 | 資料・出版物 | ギャラリー | メコン・ウォッチについて

ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > カンボジア立ち退き問題 > 頻発・深刻化する貧困層への強制立ち退き

カンボジア立ち退き問題>頻発・深刻化する貧困層への強制立ち退き

メコン河開発メールニュース2009年9月29日

カンボジアにおいて強制立ち退きの問題が深刻となっています。

現地NGOの報告によると、2003年から2008年の5年間に強制立退きや打ちこわしなどの人権侵害を経験した住民は13州で5万3,758世帯(約25万人)に達し(注1)、全国でさらに15万人(2008年時点での試算)が立退きを強制される可能性があります(注2)。

中には、警官隊が出動し催涙ガスやゴム弾が住民に向かって発砲されるケース、妊娠中の女性に電気棒が使用されるケースなど、暴力的な立ち退きも生じています(カンボジア・プノンペンにおける土地紛争・強制立退きの発生例についてはこちらをご覧ください。 )。

立退きを強制された住民が補償金や代替地を提供されることもあるものの、たいていの場合、補償は資産の価値に見合わず、住民はそれでも受け取らざるを得ない状況に追い込まれています。

現在の強制立退きの頻発は、カンボジア国内の土地権、紛争解決、住民移転・補償にかかわる政策や制度の不備に起因し、都市部における地価の高騰による土地投機がそれに拍車をかけています。世界銀行(世銀)、アジア開発銀行(ADB)などは、カンボジア政府に対して、土地制度や補償政策を整備するための経済支援を行ってきましたが、残念ながらそれらの支援は、都市貧困層をはじめ、最も支援が必要な人々にほとんど恩恵をもたらしていないようです。

世銀、ADBやドナーである各国政府はこうした強制立退きの激化を憂慮し、2009年7月16日、「カンボジアの都市貧困層への立退きの停止を求める」と題する声明を出しています(注3)。オーストラリア、ドイツ、イギリス、アメリカなど多くの国々が名を連ねる中、日本の名前はありません。

カンボジアにおいて、住民移転や紛争解決のための政策や制度の不備がますます明らかになるにもかかわらず、日本政府は、相変わらず多くの住民移転を伴う大型インフラ案件を支援し続けています。立退き停止を求めるドナー声明が出された2週間後の7月30日、日本政府は国道1号線改修事業第3期の無償資金協力の交換公文に調印しました。また、現在、第2メコン架橋(ネアックルン橋)建設事業への無償資金協力に向けた検討が進められています。強制立ち退きの問題と露呈する制度の欠陥を放置して、日本がこのような支援を続けることは、カンボジア政府にこの問題への真剣な対処を求める国際社会の努力に水を差しかねません。

メコン・ウォッチでは、今後、数度にわたって、カンボジアにおける強制立ち退きの問題について重点的にお知らせします。以下のウェブサイトもあわせてご覧下さい。
カンボジアにおける強制立ち退き問題
(2009年9月25日)

 

注1)Cambodian League for the Promotion and Defense of Human Rights(LICADHO). Land Grabbing & Poverty in Cambodia: The Myth of Development.May 2009.
注2)Amnesty International. Rights Razed---Forced Evictions in Cambodia.February 2008.
注3)Development Partners Call for Halt to Evictions of Cambodia's UrbanPoor

(文責 土井利幸/メコン・ウォッチ)

このページの先頭へ

サイトマップ
特定非営利活動法人 メコン・ウォッチ
〒110-0016 東京都台東区台東1-12-11 青木ビル3F(地図
電話:03-3832-5034 Fax:03-3832-5039 
info@mekongwatch.org
© Mekong Watch. All rights reserved.