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ホーム > 資料・出版物 > メールニュース > メコン下流本流ダムサイヤブリダムの行方(その10)〜CK社、ラオス政府の追加調査を認める

 メコン下流本流ダム>サイヤブリダムの行方(その10)〜CK社、ラオス政府の追加調査を認める

メコン河開発メールニュース2011年5月24日

シリーズでお伝えしている、ラオス・サイヤブリダム建設計画をめぐる動きです。サイヤブリダムを主導しているのは、タイの建設業界大手チョーカンチャーン社です。【1】4月19日、メコン河委員会(MRC)合同委員会がダム計画の是非は閣僚の判断にゆだねるとした後も、現地メディアでは、同社の強気の発言が報じられてきました。

「ラオス政府は計画を推進すると非公式に言ってきた」。「ラオス政府から1・2週間のうちに計画を進める正式な通知が届くものと思っている」。「わが社のEIA報告書は手続きに則っていると言われている。銀行団もわが社にコミットしている。(ダム計画については)なにも変わっていない」。【2】

しかし、チョーカンチャーン社もついに、「ラオス政府から、サイヤブリダムのEIA報告書の見直しを行う独立した専門家を雇用することになるとの報告を受けた」ことを認めたようです。以下は、この件を報じる現地英字紙『バンコクポスト』の日本語訳です。

サイヤブリダム延期〜チョーカンチャーン社は、再調査を待つことに

バンコクポスト紙
2011年5月11日

ラオス政府が、事業を請け負うタイ企業に対し、メコン河に計画されている38億ドルのサイヤブリダム建設事業について、さらなる環境影響調査が必要であると公式に伝えたことで、論議を呼んでいる同事業の建設は延期されることになった。

タイで第2位の建設会社であるチョーカンチャーン(CK)社は、環境影響評価(EIA)の見直しが行われるまで、この1,280メガワット(MW)の事業の現場での作業を延期すると述べた。

「ラオス政府から、サイヤブリダムのEIA報告書の見直しを行う独立した専門家を雇用することになるとの報告を受けた」とCK社の人事・総務を統括する取締役兼副社長であるAnukool Tuntimas博士は語った。

「したがって、建設は追加の報告書が完成するまで延期される」と博士は述べた。

また、Anukool博士は、ラオス政府がCK社に再調査の費用を捻出するよう要請したとの報道を否定した。

「これはなにかの誤解だと思う」と同博士は述べ、CK社は、追加調査にどのくらいの時間がかかるかを把握していないが、同社が最初のEIA報告書を完成させるのに6ヶ月はかからなかったと付け加えた。

Anukool博士は、「わが社は、果たすべき務めと法律で求められている全ての工程を実施してきた」と言い、「今はラオス政府が自分の仕事を終わらせ、わが社が同事業の建設を開始できるようになるのを待っている」と述べた。

先にCK社は、同社が、建設契約および同事業に融資する銀行との融資契約に署名すれば、すぐにダムでの作業が開始されると述べていた。

これまでにCK社は、ルアンパバーンから80キロ地点に位置するダム近くの道路建設の一部を開始している。

サイヤブリダムは、メコン河下流に計画されている11カ所のダムのうち、最も進捗している事業である。環境団体は、同事業が、生態系や流域の地域社会に損害を与える可能性があるとして批判してきた。

特にベトナム政府は、ダム計画を10年間延期することを提案してきた。

報道によれば、ラオスの電力局のDaovong Phonekeo副局長が、ラオス政府がCK社に対し同事業の再調査に資金を拠出するよう要請すると言ったとされている。 【3】

「この事業を永久に遅らせるわけではない」とDaovong副局長は言い、「工程を議論し、事業者に追加調査の資金を出すよう要請しているだけだ」とした。

ラオスは、各国がサイヤブリダムに反対する根拠となったメコン河委員会(MRC)の調査結果を確認するために独自の調査を実施しようと試みている。

「再調査の費用は、何人の専門家を雇うかによる」と副局長は述べ、「時間的には、6〜12ヶ月となるだろう」と言った。

MRC事務局は、ラオス政府から同事業の延期に関する公式な報告を受けていないと言い、確認が得られるまでそれ以上のコメントは差し控えると述べた。

「もちろん我々はベトナムやラオスの政府当局に説明を求めた。ベトナム政府は報道を認めた。ラオス政府からの回答を待っているところだ」とMRC事務局は語った。

タイ証券取引場での、昨日(5月10日)のCK社の株の終値は、25サタン下がり8バーツとなり、取引は2億4,699万バーツだった。


【1】チョーカンチャーン社のHP(http://www.ch-karnchang.co.th/index_en.php) によれば、同社は1972年設立。1994年、タイ証券取引所(SET)に上場。従来、首都圏の交通整備に関わってきたが、2000年代中葉から海外の電力セクター事業にも進出。ラオスでナムグム第2ダムの建設・運転にも関わっている。サイヤブリダムでは、サイヤブリパワー社の株を保持すると同時に、建設を請け負っている。

【2】発言の出典は順番に、『ネイション』Laos power plant to get nod in 30 days, Ch Karnchang says(4月23日)、『バンコクポスト』Ch. Karnchang sees way clear for dam(4月23日)、『バンコクポスト』CK: Xayaburi still on course(5月2日)。

【3】ブルムバーグの報道Laos to Ask Ch. Karnchang to Finance Mekong River Hydropower Dam Review(5月10日)だと思われる。

(文責 メコン・ウォッチ、翻訳 東智美/メコン・ウォッチ)

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