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カンボジア鉄道復興事業>ADBに移転問題の改善を求めたNGOに対し、カンボジア政府が警告・活動停止処分 

メコン河開発メールニュース2011年9月8日

アジア開発銀行(ADB)が8,400万ドルを融資するカンボジアの鉄道復興事業では、住民移転をめぐってふたたび多くの課題が発生しています(本事業や移転問題の詳細については、以下をご覧下さい)。
http://www.mekongwatch.org/report/cambodia/GMSRailway.html

昨年5月、カンボジア北西部のバッタンバン移転地付近の池で移転世帯の子ども2名が溺死する、痛ましい事件が起こりました。当時バッタンバン移転地では飲料水供給設備の整備が遅れ、2名の子どもは池で取水中であった疑いがもたれるため、10月、事件を重視したカンボジアのNGO4団体がADBの黒田東彦総裁に書簡を提出し、ADBの非自発住民移転政策でも約束されている、移転地の条件整備を早急に実施するよう要請しました。

ところが、それから10カ月後の今年8月中旬、カンボジア政府外務省は書簡を提出したNGO4団体に対して、こうした働きかけが政府の威信を損ない、民衆を扇動する行為にあたるなどとして、文書による警告を発しました。さらに、うち1団体については、内務省が5カ月の活動停止処分を下しています。

NGOの提言活動は、ADBをはじめとする国際援助機関に政策の遵守を促す重要な活動です。8月19日、ADBも今回のできごとに対する憂慮を表明し、その声明の中で、鉄道事業の住民移転問題を改善する上でNGOの働きかけが有効であったとしています(ADBの声明は、以下をご覧下さい)。
http://beta.adb.org/news/cambodia/partnerships-are-vital-success-development-projects-adb

しかし、NGOに対する活動停止処分は現在もそのままです。また、事業が継続する中、移転住民はNGOの支援を受けられない状態に直面しています。これでは、ADBが十分な開発事業を実施する条件が整っていません。ADBはカンボジア政府との対話を通して、一刻も早くこの事態を正常化すべきです。

今回の出来事は、カンボジアの開発動向を考える上で重要ないくつかの課題をはらんでいますが、以下では、NGO法案の制定に関連付けた報道を日本語訳で紹介します。

援助機関に提出した書簡をめぐってカンボジア政府がNGOに警告

Thin Lei Win
AlertNet
2011年8月23日

バンコク(AlertNet)−プノンペンポスト紙の報道によると、1億4,200万ドルの鉄道事業を支援する国際機関にNGOネットワークが批判的な書簡を提出したところ、カンボジア政府がこのNGOネットワークに警告を発した。

昨年、88の構成団体からなるネットワーク、カンボジアNGOフォーラムは、アジア開発銀行(ADB)総裁とオーストラリア政府の国際援助プログラムであるAusAIDの代表に書簡を提出し、鉄道復興事業が移転を余儀なくされた沿線住民に及ぼす悪影響について懸念を表明した。

この書簡では、カンボジア北西部のバッタンバン州の移転地で設備が不十分なため池に水汲みに出かけた二人の子どもが溺死したと述べている。

カンボジア外務省が文書で発した警告の背景には、フンセン首相を公然と批判しはじめた、成長期の市民社会とカンボジア政府との間で高まる緊張がある。

「NGOフォーラムに警告することで、要はカンボジア政府がADBをはじめとする開発パートナーに口出しはやめろと言い、異議を唱える市民グループへの弾圧を拡大しているのだ」とヒューマンライツウォッチ・アジア課のフィル・ロバートソン副課長はAlertNetに語った。

ロバートソン副課長は、「援助機関は二国間、多国間に関係なく、批判的な市民団体を弾圧し人権を侵害するこのような政府が、ますます先細りする開発援助を提供するパートナーとしてふさわしいかどうか真剣に再検討すべきだ」と続けた。

書簡に名を連ねたその他のNGO、Bridges Across Borders Cambodia(BABC)、Sahmakum Teang Tnaut(STT)、Housing Rights Taskforceも警告の対象になっている。

ドイツ政府の開発担当部門であるGIZから助成を受けているSTTは、今月初旬、住民を扇動して鉄道事業に反対させたとして5カ月間の活動停止を言いわたされている。報道によると、先週、BABCも外務省職員に呼び出されている。

カンボジア外務省のKoy Kuong報道官は、NGOフォーラムやBABCが二人の子どもの死について「不公正」で「虚偽」な主張をしていると非難した。

NGOフォーラムのChhith Sam Ath代表は、プノンペンポスト紙に、政府の警告に対して反論を準備しているとしたが、それ以上のコメントは避けた。

BABCによれば、ADBは8,400万ドルの低利融資を、AusAIDは2,150万ドルの無償資金を鉄道事業に投じており、事業では線路沿いの住民4,000世帯以上に影響が及ぶ。

カンボジアでは、市民社会封じ込めの手段として反対勢力から懸念や批判の声の多いNGO規制法案が審議されようとしており、そんな中、今回の事件が発生した。

8月中旬、130のNGO・市民団体は連名で声明を発出し、STTの活動停止処分について「独断きわまりなく、憲法が保障する表現と結社の自由を侵害し、人権を擁護しようとする人々を攻撃している」と訴えている。

NGO声明はさらに、「不明確な組織運営上の仔細を理由に活動停止処分が下されたことで、カンボジア政府がLANGO(Law on Associations and Non-Governmental Organisations=NGOおよび団体法)を使って、社会の周縁に追いやられている人々の権利を代弁するNGOなどの団体の活動をどのように封じ込めようとしているかがおそろしく明確になっている」と続けている。

ロバートソン副課長も、「カンボジア政府が地元NGOのSTTを活動停止処分にしたことには根拠がなく、言ってしまえば違法だが、そこには、多くの人々が一貫して確信してきたことがはっきりと示されている。すなわち、NGO規制法を制定する真の動機は、市民団体を統制下に置き、人権侵害や公務員の汚職を暴露する人々を一気に黙らせることだ」と述べた。

カンボジア政府と援助国・機関との関係も長年にわたって緊張状態にある。

火曜日(8月23日)、カンボジア政府は援助国・機関の高官との会合を無期限に延期した。これに先立って先週、首都の高級住宅建設予定地での強制立退きを防止できなかったことで、世界銀行がカンボジア政府への融資を停止するとの声明を出していた。

原文(英語)は以下のサイトで閲覧可能
http://m.trust.org/alertnet/news/cambodian-govt-warns-ngos-over-letter-to-donors-paper

(文責・翻訳 メコン・ウォッチ)

 

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