「環境・持続社会」研究センター(JACSES) 、原子力資料情報室、国際環境NGO FoE Japan、メコン・ウォッチの4団体は、7月27日、財務省、経済産業省、国際協力銀行(以下JBIC)、日本貿易保険(以下NEXI)に対して、原発の公的支援に当たって安全審査と情報公開を徹底することを求める提言書を提出しました(賛同団体15団体)。
現在、日本政府は、JBICやNEXIを通じた公的信用により日本企業の原発輸出を推し進めようとしていますが、これらの公的信用付与の際、放射性廃棄物処理や事故の対応、情報公開などに関して十分な審査指針は現段階では存在していません(注1)。
原発が日本国内ですら多くの問題をはらんでいることを踏まえれば、ガバナンスや技術面、民主的な参加プロセス等において更なる課題を抱える発展途上国で原発事業を進めることは地元社会にとって大きなリスクを伴います。よって、私たちは、発展途上国の原発事業に日本が公的資金を使って関与するべきではないと考えます。しかしながら、すでに原発輸出が推進されている現状を踏まえ、政府が原発関連設備・事業に対する公的信用の付与を行う場合、最大限の配慮を行い、慎重に進める必要があるとの認識から、下記の内容の提言書を作成し、提出しました(注2)。
(注1)JBICおよびNEXIの環境ガイドライン改訂に関するコンサルテーション会合では、原子力関連プロジェクトの公的信用の取り扱いが議論されましたが、新ガイドラインには原子力固有の問題に関する規定は含まれませんでした。一方、近藤正道参議院議員の質問主意書に対する日本政府の答弁には、「JBICにおいては、プロジェクト実施主体により、プロジェクトの安全確保、事故時の対応、放射性廃棄物の管理等の情報が適切に住民に対して公開されていない場合には、貸付等を行うことのないよう、今後指針を作成する」と記されました。一方、NEXIにおいては、指針作成の予定はありません。
(注2)提言書の本文は、下記のリンクからご参照ください。なお、提言書は先進国・途上国を問わず全ての原発輸出を対象にしています。
原子力関連プロジェクトの公的信用付与の取り扱い及び原子力固有の問題の確認に関するNGO提言書(2009年7月27日)