国際協力銀行(JBIC)は、政府開発援助(ODA)の円借款事業の実施と、輸出金融・投資金融など日本企業の海外進出を支援の2つの顔を持つ世界最大の国際金融機関です。1999年10月に誕生して以来、毎年2〜3兆円もの資金を途上国政府や企業に貸し付けてきました。
一方では、JBICが融資したプロジェクトによって、多くの途上国の住民が被害を受けています。環境破壊、住民移転、人権侵害など、JBICのプロジェクトによって苦しめられてきた人々がいます。
こうした被害を防ぐために、JBICは環境配慮のためのガイドラインを有しています。しかし、現行のガイドラインの元でも様々な問題がメコン河流域のみならず世界中で引き起こされており、より厳格な環境ガイドラインと、透明性の高い環境審査プロセスが求められてきました。
1999年に設立された際、JBICはODA業務及び非ODA業務共通の環境ガイドライン制定を義務付けられました。2000年にはNGO・学者・関係省庁及びJBICスタッフによる研究会が設置され、統合ガイドラインへの提言が出されました。これを受けて2001年4月、国際協力銀行は新しい「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」を発表しました。1年半の周知期間を経て、新環境ガイドラインは2003年10月以降に要請があるプロジェクトについて適用されます。
新環境ガイドラインは、環境アセスメントの義務付け、現地住民の参加と社会的合意の重視、住民移転・先住民族・女性などプロジェクトの社会影響への配慮、審査中のプロジェクト情報の公開など、一定程度評価できる内容となっています。
メコン・ウォッチでは、JBIC融資による被害を防ぐために、このプロセスに関わってきました。今後も、新環境ガイドラインの実施状況を監視していくと同時に、ガイドラインの更なる改善を求めて活動していきます。また、ガイドラインに盛り込まれた異議申立て手続きを実効性あるものにするための政策提言活動に取り組んでいます。