ホーム > 政策提言 > アジア開発銀行情報公開政策 > アジア開発銀行情報公開政策及び情報政策改定への提言
2003年11月14日
FoE Japan、メコン・ウォッチ
私たちはアジア開発銀行(ADB)が融資を行うプロジェクトの環境社会影響を監視してきたNGOとして以下の提言を行います。
私たちはADBの情報公開は2つの意味で重要だと考えています。1つは、ADBの最大の出資国である日本の納税者として、私たちにはADBの政策・業務について情報を受ける権利があります。2つ目に、ADBの融資によって多くの地域住民が被害をこうむっており、こうした人々の十分な情報に基づいた意思決定への参加を促進するために、より広い情報が公開される必要があるからです。
ADBの透明性とアカウンタビリティを向上し、ステークホルダーの十分な情報に基づく参加を促進するため、この提言の内容を新政策に盛り込むよう強く求めます。
1995年に制定されたADBの現行の情報公開政策は、全ての情報を公開とするとの原則の下、非公開となる情報、公開手続き等について定めています。しかし実際には、ADBへの情報公開には多くの困難が付きまといます。例えば、公開されるべき情報が公開されず、あるいは回答を得るために非常に長い日数がかかり、また非公開とされた理由も不明快な場合が多数あります。さらに、非公開決定がなされた場合、この決定に異議をとなえる方法が整備されていません。
ADBは以下のような情報公開制度の組織的枠組みを供えるべきです。
プロジェクトの影響を受ける人々が使いやすい制度とするため、情報公開の請求方法について以下の改革が行われるべきです。
情報公開請求は厳格な手続きに則って行われるべきです。
また、現行政策では非公開決定に対し何ら異議を唱えることができません。異議を受け付ける審査機関は、先進国のみならずタイなど途上国でも整備されつつあります。公的機関であるADBも、非公開決定に関する異議申し立てを受け付ける機関を設置すべきです。
現行政策でも自動的に公開される文書が定められていますが、更に広い文書が公開の対象となるべきです。以下の文書について新たに公開対象とするべきです。
政策形成への市民社会の参加を促進するために、以下の文書が公開されるべきです。
ADBの意思決定機関である理事会の情報はこれまでほとんど非公開とされてきました。ADBのアカウンタビリティを向上する上で、理事会情報の公開は欠かせません。多くの国では国会や議会は公開されており、法案等も全て公開情報です。ADBはこうした最高意思決定機関の情報公開水準に従うべきです。以下の文書が公開されるべきです。
影響住民による十分な情報に基づく参加を促進するために、最低限以下の文書が公開されるべきです。ADBはプロジェクトの形成・実施過程で生じる文書の一覧を作成し、公開が可能かどうか検討すべきです。
ADBの民間セクター業務に関する情報はほとんど公開されていません。少なくとも同様の業務を行っている世銀グループの国際金融公社と同様、プロジェクト情報及び環境関連文書が公開されるべきです。
言語はプロジェクトの影響を受ける人々にとって十分な情報を得る上で大きな障害となってきました。影響住民による十分な情報に基づく参加を促進するために、以下の情報は影響住民が理解できる言語に翻訳されるべきです。翻訳された文書はADBウェブサイトに掲載すると同時に現地事務所で入手可能であるべきです。
特定非営利活動法人メコン・ウォッチ(担当:福田健治)
〒110-0015 東京都台東区東上野1-20-6 丸幸ビル2F
電話:03-3832-5034、ファックス:03-3832-5039
メールアドレス:info@mekongwatch.org