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メコン・ウォッチ 松本 悟
世界銀行のセーフガード政策は、自らの業務によって人間や環境に悪影響を生じさせないことを確保するための政策を指しており、環境社会配慮はこれと同義である。世銀のセーフガード政策には、環境アセスメント、自然生息地、害虫管理、文化財の保護、先住民族、非自発的移住、林業、ダムの安全、国際水路におけるプロジェクト、紛争地域におけるプロジェクトの10の政策が含まれている。
世界銀行のインスペクションパネルの経験から、現地の人々や社会、環境に悪影響は必ずしもセーフガード政策の不遵守だけから生じているわけではなく、監督(supervision)や経済評価の政策の不遵守が原因というケースがある(別添表を参照)。代替案分析が不十分だったために回避できた環境社会影響が生じる恐れがあるという経済評価政策の不遵守が最近立て続けに出ている。JICAの場合はこのガイドラインが唯一のセーフガード政策であり、環境社会配慮の趣旨を考えれば、こうした側面もガイドラインに盛り込んでおくべきである。