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JICA環境・社会配慮ガイドライン第5回改定委員会
2002年3月27日 松本 悟、川村 暁雄
環境社会配慮とは、開発事業が引き起こすであろう現地の人々や社会、環境に与える悪影響を特定し、代替案の検討などを通じてその悪影響を回避もしくは最小化した上で、やむを得ず生じる環境社会面での悪影響に対して環境回復や生活再建など必要な手段を確保することである。
環境社会配慮の目的は、著しい悪影響が明らかな事業の調査や技術協力プロジェクトを支援しないこと、「プロジェクトなし」という選択肢を含めた代替案や事業の実施可能性などについての適切な提案を相手国政府・実施機関に行うこと、また、技術協力プロジェクトが現地の人々や社会、環境に与える影響を回避することである。
環境社会配慮は、開発調査、無償資金協力、技術協力プロジェクトにおいてJICAが関与するプロジェクトサイクルの全ての段階で実施されなければならない。
環境社会配慮の手段として、開発計画の初期段階での戦略的環境アセスメント(SEA)、個別の開発事業の環境・社会影響評価(EIA/SIA)、それを適切に実施するための相手国の制度・人員・能力などに関する現状調査や改善のための支援、更にJICAの実施体制や制度の充実などを通じて適切な環境社会配慮の実施を確保する。
環境社会配慮は、相手国政府・実施機関が行う環境社会配慮が適切かどうかをJICAが確認する場合と、JICA自身が環境社会配慮の支援を行うことの双方を含んでおり、相手国政府・実施機関同様にJICA自身も環境社会配慮の主体として責任を担う。
環境社会配慮の達成には、透明性とアカウンタビリティーを確保したプロセス及び、現地の住民やNGO等のステークホルダーの意味ある参加が欠かせない。
環境社会配慮の結果は、日本政府やJICAによる援助実施の意思決定に適切に反映されなければならない。
本ガイドラインの目的は、以上をもって、JICAの事業の透明性とアカウンタビリティーを高め、開発事業に伴う環境・社会面での悪影響をなくすことで、相手国の人々の生活の安定と向上に寄与する事業の発掘・支援に寄与することである。