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「ステークホルダーとの協議」以降
JICA環境配慮ガイドライン改定
2003年7月14日 メコン・ウォッチ 松本 悟
4.ステークホルダーとの協議
4−1 原則
- JICAは、協力事業の全ての段階において、権利やリスクを考慮した適切なステークホルダーの把握を行い、協議等を通じてその意見を協力事業に適切に反映しなければならない。
- 地域住民等のステークホルダーとの協議は、事前に、十分な情報提供を行った上で、自由に意見が述べられる状況で行わなければならない。自由な意見の表明に困難があると予想される社会状況にある地域に関しては、調査や協議の方法について特段の配慮が必要である。
- 地域住民等のステークホルダーとの協議は、そのプロセスや結果について、透明性が確保されていなければならない。
4−2 ステークホルダーの範囲
- 協力事業や対象プロジェクトによって直接的もしくは合理的な範囲で間接的に影響を受ける地域に居住している住民(不法居住者を含む)
- 協力事業や対象プロジェクトについて意見を有する国内外のNGOや学術機関、及び関連する政府機関など
4−3 協議の時期
- カテゴリーA及び影響が大きい一部のB案件については、JICA環境社会影響調査や初期環境社会調査において、スコーピング段階で地域住民等のステークホルダーを把握し、それに基づいて、ニーズの評価や予想される環境社会影響について協議を行う。
- カテゴリーA及び影響が大きい一部のB案件については、JICA環境社会影響調査や初期環境社会調査のインテリム・レポートやドラフト・ファイナル・レポートについて、地域住民等のステークホルダーとの協議が行われ、調査報告書に協議の結果が適切に反映されなければならない。
4−4 協議記録の作成
- 地域住民等のステークホルダーとの協議内容については協議記録を作成しなければならない。
4−5 協議に関係する情報公開
<第12回改定委員会で松本郁子委員が提出したペーパーで、JICAが行う「相手国での情報公開」として詳述してある通り、JICAは、協議を実施する十分事前の時点で、対象とするステークホルダーが理解できる言語と様式で必要な情報を提供すべきである>
5.モニタリング
<これについては技術協力プロジェクトが該当するものと理解。JBIC環境社会配慮ガイドラインの第1部4.(4)に準じて定めるべきである>
6.フォローアップ
- 協力事業終了後、協力事業の目的である対象プロジェクトの支援となったかどうかを確認し、必要な措置を講ずるためにJICAはフォローアップを行う。
- JICAは、JICA環境社会配慮調査報告書や初期環境社会調査報告書の内容や提言が、対象プロジェクトの現地環境影響評価、住民移転計画、影響緩和策、あるいは代替案の検討などに生かされているかどうかを適宜確認し、その結果を公開する。
- JICA環境社会配慮調査や初期環境社会調査に問題があったために事業化後予期せぬ環境社会影響が生じたなどの指摘がなされた場合は、JICAは問題の把握に努め、必要に応じて現地調査を実施する。
(了)