ホーム > 追跡事業一覧 > 国境を超える開発問題 > メコン河本流ダム開発(下流) > バーングム水力発電堰(旧名:バーングム水力発電ダム)
建設予定地付近(写真提供TERRA)
タイ東北部ウボンラチャタニ県とラオス・チャンパサックの間を流れるメコン本流に、バーングム水力発電ダム建設計画が持ち上がっています。同ダムは、サマック・スンタラウェート氏が首相であった2008年、不透明な経緯で急に調査が始まりました。元首相は、「ダムの堤高さは1m」、「ダムで沈むのはラオス側で7村だがタイ側はたったの2村」などと発言し、物議をかもしました。サマック氏の失脚後も企業による調査は続いており、地元住民はダムの賛成・反対に揺れ始めています。事業は「堰(せき)」と名称を変更していますが、ダムの堤高29m、幅524mというメコン河本流をせき止めるものです。
メコン河本流に流れ込み式(Run of River)の水力発電ダムを建設するため、暫定メコン河委員会が実施した予備調査で、優先順位の高い事業としてリストアップされた計画のうちの一つ。その後、2003年にはタイ・エネルギー省代替エネルギー開発・エネルギー保全局が、7つのメコン本流ダムについてパンヤーコンサルタント社(Panya
Consultants Co., Ltd)とマハーナコンコンサルタント社(Mahanakhon Consultants)に建設可能性調査と初期環境影響調査を委託した際、その対象ともなっています。
2008年3月、タイ政府とラオス政府の間で、15か月間の実現可能性調査実施の合意が成立、タイ・建設大手のイタリアンタイ(イタルタイ)が調査を開始しています。しかし、同社の調査手続きの正当性については異論が差し挟まれている状況です。また、この時期にタイ政府は「ダム」という名称を「堰(せき)」に変更しています。
ダムの高さ 29m
ダムの長さ 524m
発電可能量 1,872MW
予想投資額 900億バーツ(1バーツ=約3円)
影響村 タイ側1村、ラオス側3村
影響住民 タイ:29世帯 ラオス:215世帯
(代替エネルギー開発・エネルギー保全局データによる)
インタビュー スラソーム・クリサナヂュータ専任講師 (タイ国立ウボンラチャタニ大学)